プレリュード

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2007年05月24日
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カテゴリ: クラシック音楽
いつの間にか200,000アクセスを超えていました。 ご訪問いただきました方々には感謝、感謝でいっぱいです。 200,000目をアクセスいただいた方はどなたかわからないのですが、どうもありがとうございました。 またいっそう励んで更新致しますのでよろしくお願い申しあげます。

昨日から体調(高血圧)があまり良くないので、今日は昨年の同日の日記を再掲載させていただきます。 尚、若干の加筆・修正はおこなっております。 悪しからずご了承下さい。

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今日のクラシック音楽 』 ベートーヴェン作曲 ヴァイオリンソナタ第9番イ長調 「クロイツェル」 作品47

ベートーヴェン(1770-1827)はヴァイオリンソナタ第5番「春」を書いた後、6番ー8番を作品30として一括して出版したあとに、1803年5月にイ長調の第9番「クロイツェル」を書き上げています。 ベートーヴェン32歳の春でした。 交響曲では3番「英雄」が完成間近の頃にあたります。 

彼はヴァイオリン・ソナタを全部で10曲書いていますから、「傑作の森」と呼ばれる中期以前の第1期にすでに9割のソナタを書き上げてしまったことになり、最後の10番の完成はほぼ10年経った1812年まで待たねばならないのです。そして1812年以降、亡くなるまでの15年間はとうとうヴァイオリンソナタを書くことがありませんでした。

さて、この第9番の「クロイツェル」ですが、様々なエピソードが残されています。
第一に、ベートーヴェン自身が副題をスコアに書いているのが「ヴァイオリンの助奏を伴うきわめて協奏的なピアノのためのソナタ」と指示していますが、とんでもない、この曲は「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」と呼ぶべき、きわめて二重奏的な色合いの濃い曲となっています。 



演奏時間は30分を超す雄大・壮大な規模で書かれており、3楽章形式です。

第1楽章 は、二つの楽器の対話で進む緊張感にあふれたアダージョ・ソステヌートで始まり、大規模な主部へと進んでヴァイオリンとピアノの掛け合いによる張り詰めた緊張を伴う音楽に耳を奪われます。 ベートーベンのほとんどの音楽がそうであるように、とても腰が据わった安定感のある旋律・リズム・和声で貫かれた堂々とした音楽に耳を奪われます。

第2楽章 は、アンダンテでしかも変奏曲風にと書かれていて、変奏曲スタイルによる緩やかなテンポの楽章で、風格ある主題が提示されたあとに4つの変奏が行われ、しかもカデンツァとコーダ付きという重厚なアンダンテ楽章です。 雄大・壮大な規模の音楽と打って変わって、ベートーベンはこれほどに優しいのかと思うぐらいに優美な旋律の楽章です。

終楽章 は、プレストでまるで「タランテラ舞曲」を想起させるようなリズミックな躍動感にあふれ、華麗で、力強い音楽で締めくくられています。

まさにヴァイオリンソナタの音楽史上でも稀な大傑作です。

ベートーヴェンは、この曲をイギリス国籍のブリッジタワーというヴァイオリニストに献呈するために書いたと言われています。 ですから初演はこのブリッジタワーとベートーヴェンによって行われたのですが、完成が遅れたために初演のステージでは、楽譜の清書が間に合わず、第2楽章はヴァイオリンは草稿のまま、ピアノはスケッチで演奏されたというエピソードが残っています。

ブリッジタワーに献呈するために書かれたこの曲が、何故「クロイツェル」なのか? 

それは初演のあとベートーヴェンとブリッジタワーが不仲となり、献呈はフランスのヴァイオリニストのロドルフォ・クロイツェルに献呈されてこの副題がつけられたそうです。

しかし、クロイツェル自身がベートーヴェンの激しい音楽を好んでいなかったので、彼によってこの曲は一度も演奏されなかったという後日談が残っています。

この曲にまつわる話は、ロシアの文豪トルストイが書いた小説「クロイツェル・ソナタ」があります。 

倦怠期のロシア貴族の一家庭の不倫事件を扱っており、貴族の妻が家庭に出入りするヴァイオリニストと恋に落ち、夫が嫉妬のあまり妻を殺すという物語ですが、その不倫の発端となったのがこの「クロイツェル・ソナタ」の合奏だったのです。 トルストイはこの小説の展開上、この曲を重要な予想として扱っています。



この「クロイツェル」は1803年の今日(5月24日)、ブリッジタワーのヴァイオリン、ベートーヴェンのピアノでウイーンで初演されています。

愛聴盤

ギドン・クレーメル(VN)  マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)

UCCG7062
(ドイツ・グラモフォン 447054-2 輸入盤)

緊張感の漲った演奏で丁々発止と受け渡しをしながら演奏される名人芸に酔うのに格好のディスク



UCCP7040 1962年録音 5/24
(Philps原盤 ユニヴァーサル・ミュージック 1967年録音)

風格がただよう、オイストラフの遅めのテンポが王者の足取りのように聴こえてきます。 しかも力強い気迫のこもった熱い演奏で、40年以上の前の録音というのを忘れてしますほどの堂々とした熱演で、これこそ名演奏と呼べる記録だと思います。現在は1000円盤で第5番「春」とのカップリングもうれしいディスクです。

アルテュール・グリュミオー(Vn) クララ・ハスキル(P)

UCCP9521 1957年録音 5/24
(Philips原盤 ユニヴァーサル・ミュージック UCCP9521 1957年モノラル録音)

私が14-5歳の頃に買って聴いた懐かしい録音で、しなやかで温かみのあるグリュミオーのヴァイオリンとハスキルの奏でるピアノは、至福の時空へ誘ってくるれような演奏です。

西崎崇子(Vn) イェネ・ヤンドー(ピアノ)

5/24
(Naxos 8.550283 1989年録音)

可もなし不可もなしと言ってしまえばそれまでですが、西崎の実に素直な音色が美しい演奏で、こういうのを「普遍的」と呼べる演奏ではないでしょうか。 Naxos社長夫人という地位にありながら、さすが世界で最も録音の数が多いヴァイオリニストの演奏と肯ける模範的で万人に薦めたいディスクです。

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今日の音楽カレンダー

1803年 初演 ベートーベン ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」
1810年 初演 ベートーベン 劇付随音楽「エグモント」
1918年 初演 バルトーク オペラ「青ひげ公の城」

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ともの『 今日の一花 』         テッセン(クレマティス) 白


5/24撮影地 大阪府和泉市 2006年5月17日   





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最終更新日  2007年05月24日 00時11分57秒
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