プレリュード

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2007年05月25日
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カテゴリ: クラシック音楽
今日のクラシック音楽

大バッハ(1685-1750)とベートーベンの(1770-1827)の大きな違いは、バッハは世俗音楽に比べて数多く教会音楽を書き遺していることです。 バッハは教会に仕えて宗教行事に携わっていたという周囲の環境もあって、教会音楽に絶えず関わっていました。 ベートーベンは、あくまでも自由な作曲家・演奏家という「芸術家」としての職業から、貴族や一般人に聴かせる演奏会用音楽を書いていたという違いがあります。

ベートーベンにはキリスト教に関わる曲は、「ミサ曲ハ長調」と今日の話題曲「荘厳ミサ」の2曲しか書いていません。 決して信仰心がなかったのではありません。 ヨーロッパの文化はキリスト教に基づいていると言っても過言ではなく、絵画・建築など目にするものだけでも相当なものがあります。 

「神への畏れ」を常に心に生きる人たちの文化で、仏教が大半を占める日本とは異なった文化であり、キリスト教信仰に根ざした人たちの文化に圧倒されます(建築だけで言えばお寺などの文化も大したものだと思いますが)。  

そんな環境の中で育ったベートーベンも「神への畏れ」「神への救済」「神の栄光」を常に心に根ざしていたのだと思います。

この「荘厳ミサ」に対してベートーベンは言ってます。 「歌う人にも、聴く人にも、宗教的な念を起させ、またそれを持続せしめるためにも作曲したのだ」と。

ピアノ三重奏曲「大公」を献呈されたベートーベンのパトロンでもあったルドルフ公へ捧げられた曲で、公が枢機卿に昇進後に、オルシュミッツ大司教に就任することとなって作曲されていますが、ベートーベン自身の周りの騒音が激しい時期と自身の病気もあって、結局大司教就任三周年記念式典で初演されています。

最初にバッハとの違いを書きましたが、この宗教音楽でも大きな違いがあります。 



一部の学者は、この音楽の壮大さと交響楽的な響きがカソリックの典礼音楽としてふさわしいものではないと、主張しているそうですが、この曲を聴くとそういう問題ではないことがわかります。 魂・心を揺さぶられ、圧倒される音楽です。

曲は、

I.  キリエ (あわれみの賛歌) 

 (1) 主よ、憐れみ給え
 (2) キリストよ、憐れみ給え
 (3) 主よ、憐れみ給え

II.  グローリア (栄光の賛歌)

 (1) 天のいと高きところには、神に栄光

 (3) 主のみ聖なり、主のみ主なり、主のみいと高し
 (4) 父なる神の栄光のうちに。 アーメン
 (5) アーメン、アーメン、父なる神の栄光のうちに

III.  クレド (信仰宣言)


 (2) 聖霊によりて
 (3) 天に昇り父の右に坐したもう
 (4) アーメン、来世の生命を待ち望む。 アーメン

IV.   サンクトゥス (感謝の賛歌)

 (1) 聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、万軍の神なる主
 (2) 主の大地に満つ
 (4) 前奏曲
 (5) ベネディクトウス ほむべきかな、主の名によりて来る者

V. アニュス・デイ (神の小羊)

 (1) 神の小羊 御身世の罪を除きたもうた主よ
 (2) 我らに平安を与えたまえ
 (3) 神の小羊、おん身世の罪を除きたもうた主よ
 (4) Presto

これだけの、神への畏れ、神への感謝、来世の永遠の命を望む敬虔な信仰心に貫かれた音楽が約80分あまり続く、独唱、重唱、合唱、管弦楽で描かれた、まるで大伽藍建築を思わせるような壮大なスケールで、キリスト教信者であるか、ないかを問わず聴く者を圧倒してきます。

生涯に一度は聴いておきたいベートーベンの傑作です。

愛聴盤

(1) オットー・クレンペラー指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団・合唱団
   エリザベート・シュトレーム(S) マルガ・へフゲン(A) 
   ヴェルデマール・クメント(T)  マルッティ・タルヴェラ(Bs)

TOCE59103 1965-67年録音
(EMI原盤 東芝EMI TOCE59103 1965-67年録音)

クレンペラー80歳の録音で、遅めのテンポで克明に旋律を描いて、壮大なスケールと厳しい音楽で表現した、まるで霊峰を望むかのような演奏。 もう40年前の録音ですが、今なお色褪せないクレンペラー畢生の名演盤。 今では1700円で買い求められます。


(2) レナード・バーンスタイン指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
   ヴィルヴァーサム・オランダ合唱団 エッダ・モーザー(S) ハンナ・シュヴァルツ   (A)  ルネ・コロ(T)  クルト・モル(Bs)

UCCG3855 1978年ライブ録音

生命の燃焼を思わせるような熱情にあふれたライブ録音。 紹介ディスクは第9とカップリングされた1,500円でお買い得です。 但し、「荘厳ミサ」の録音はライブ録音特有の制限の中で収録されているためか、すごく平面的な音になっているのが惜しまれます。

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今日の音楽カレンダー

1830年 初演 ドリーブ バレエ音楽「コッペリア」
1910年 初演 ドビッシー 前奏曲集第一巻
1934年 没  グスタフ・ホルスト(作曲家)

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ともの『 今日の一花 』     赤花夕化粧


5/25








5/25
撮影地 大阪府和泉市

赤花科 マツヨイグサ属

南アメリカ原産
明治時代にアメリカから渡ってきたそうです。
5月から9月頃まで、ピンク色のきれいな4弁花が咲かせています。

夕方に開花することから命名されたそうです。






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最終更新日  2007年05月25日 00時42分50秒
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