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Dec 13, 2007
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カテゴリ: 映画・読書
 今日、観てきました。

 映画 『エンジェル』

 私の評価 ☆☆☆☆☆


 原作は20世紀中頃の英国の作家、エリザベス・テイラーの小説。


angelangel2




 あらすじ:

 20世紀初頭のイギリス。エンジェル・デヴェレルは、幼いころから上流階級の生活に強烈な憧れを抱き、近くにあるお屋敷“パラダイス”に住むことを夢見ている少女。その憧れを小説として書き綴ることで、16歳にして作家デビューを果たし、思い描いた人生を手に入れる。人気作家としての名声、“パラダイス”での贅沢な暮らし、そして上流階級出身の画家との結婚。夢をすべて実現したエンジェルだったが、やがて驚愕の真実を知ることとなる…。

http://movies.jp.msn.com/film.aspx?P_MediaID=28944  MSNムービーより)
   ↑予告編もここから見れます。



 私は、めちゃくちゃ好きです。

 主人公のキャラクターも、役者も、ストーリーも、映像も。


予告編を見て、メチャクチャ見たい、と思った作品。

 今の自分が、サクセスストーリーを欲してたのかもしれない。
 そして、予告編から伺える主人公が魅力的だった。感情移入できそうな気がした。

 彼女は欠点も沢山ある。そう、「完璧な人間」が手にした100%ハッピーなサクセスストリー ではない ところに強烈に惹かれたんだと思う。







 「 望んで、望み続けたら、夢が叶うと信じてた 」という言葉が好き。


 「信じてた」。そう、過去形な所がポイント。
 「既に手に入れた人」の言葉。



 小さい頃は、いつもそう思ってた。





 いつの間にか、

 夢みたいなことを考えずに、現実に目を向けるのが大人になる、ってことだ、

 そう考えるようになってた。


 「望む」と「願う」の響きの違い。


 彼女の「望む」という行為は、つねに行動を伴っている。




 望んで、望み続けて、彼女が手に入れたものは・・









感想 *以下、ネタバレ有




 出版社から手紙が届くシーン。

 感激するエンジェル。主役のロモーラ・ガライの「激しい喜び」の演技に、思わずもらい泣く。
 夢見る少女、激しさと傲慢さ、無神経なまでの純粋さ。これらをガライ以上に表現できる女優はおそらくいないだろう。



 「単語1つ、コンマ1つ変えません」

 その、こだわりと自信。

 ツンとして出版社を後にし、駅で悔し泣き。



 下調べをせず、読書もしない彼女が書くのは煌びやかな虚構の世界。

 その夢に巻き込まれる読者。


 才能のなせる業。



 そして、そんな彼女の才能を見出したのはセオ・ギルブライト。

 我侭な彼女の要望を受け入れ、出版を決意する懐の広い人。

 エンジェル役のガライだけじゃなくて、ギルブライト役のサムニール、その妻役のシャーロット・ランプリング等、他の 役者 も最高だった。


 売れに売れる小説。煌びやかなパーティー。そういう場面は見ていて心躍る。


 彼女の夫となる画家エスメ役を演じるマイケル・ファスベンダー、最初のパーティーのシーンではあまりカッコイイとは思わなかった。でも、アトリエでのシーンはかっこよかったな。


 そして映像美。


 屋敷の内装や、ドレス、特に 使いが美しかった。

 寝室や、エスメと婚約した日のドレスの真紅、エスメのアトリエを訪れた最初の日&肖像を描いてもらう日に着ていたドレスの青が特に好き。
パンフレットによると、冒頭のシーンは寒村と彼女の暗い生活を反映させた暗めのブルー・茶系、成功に応じて華やかな色に、時代背景を無視した彼女の夢の世界のドレス、なんだそうだ。エスメの死後は黒がベース。でも、赤も多く使われてる。情熱の赤は彼女の色なんだろう。愛人を訪れるシーンの呪詛でも吐きそうな格好も非常に凝ってた。




彼女の手に入れたもの

 小説家としての成功、名声、棲みたいと望み続けた屋敷<パラダイス>、愛する人。

 その中で、最後まで持ち続けたものは屋敷だけだ。



 エスメは本当に彼女を愛していたのか。
 はじめから、金目当てだったのか?


 一時期は、本当に彼女を愛していたんだと思う。

 彼女が「”踏切”の絵」が一番いい、と言ったとき、
 「イタリア」にまつわる秘密が「嫉妬」だと告白したとき、
 エスメの心は動いたのだろう。


 エンジェルは、何故「踏切の絵」が一番いい、と言ったのか。

 彼の気を惹くため?いや、あの時点では、イタリアを暗示するカラフルな世界に対する嫌悪が強かったからだろう。


 でも、彼女が最終的に望んだのは、色鮮やかな「孔雀の絵」だった。

エンジェルが住んでいたのは虚構の世界、色鮮やかで煌びやかな夢の世界。人を騙し、自分自身を騙し、その世界に居続けようと強く固執する。


 エスメが棲んでいたのは、彼の絵のような暗い色の世界。軟派な表の顔の裏で、真実を追究し続ける人。


 エンジェルは情熱の人。「欲しい」と思ったら、情熱と金で手に入れる。相手の気持ちまでは心が廻らない。いや、仮にきづいたとしても、自分を騙すのだ。

 (自分の気持ちに正直で愛に一途なところ、嘘で塗り固めた世界に住んでるところ、はフィッツジュラルド「ザ・グレート・ギャツビー」のギャツビー氏に似ている。ただ、違うのは、エンジェルにとって一番大事なのは自分、ギャツビーにとってはデイズィ。)


 エンジェルが用意した、豪華な、南向きの明るく広いアトリエはエスメの気に入らない。


 暗い色の「踏切」の絵を評価したはずのエンジェルは、彼の絵を「本当はそんな暗い色じゃない」と批判し、明るい絵を描いて、と頼む。


 エスメは「人気作家」のエンジェルと共にいることで、画家として評価されない自分の肩身の狭さが強調されてしまう。自分は幸せなエンジェルはそんなところまで気が回らない。



 エンジェルの引きとめを振り切り、戦地に赴くエスメ。
 エンゼルの知らぬ間に「休暇」でロンドンに戻り、愛人と過ごすエスメ。それを目撃するノラ(エスメの姉でエンジェルの崇拝者、エンジェルの私設秘書)とセオドライト。


 やがて片足を失って戦地から戻るエスメ。

 彼は、自分の愛人が結婚したことを知る。
 そして幸せそうな二人を見る。


 屋敷<パラダイス>で首を吊るエスメ。

 葬儀で偽りの話を読み上げるエンジェル。
 彼は私を愛するあまり死んでしまったのだ、と。



 墓穴の底に置かれた棺の上に孔雀の羽を投げ込むエンジェル。

 彼女は、原色の夢の世界に、エスメと共に棲みたい、と願い続けた。
 いや、そうしているのだと自分を信じ込ませようとしつづけた。
 自分の夢の世界に住まわせることで、彼を幸せにできると信じ続けた。


 エスメは彼女の真実を知りたいと思った。そして、彼女に真実がないことを知る。
 自分の求めるものが、エンジェルの中にないことを知り、愛人の中に居場所を見出す。苦労人の彼女には、自分の悲哀が理解できるような気がしたのだろうか。しかし、彼女(愛人)は真実より現実をとった。


 彼の死後、彼の書斎で発見した手紙から、彼の浮気を偶然知るエンジェル。
 エスメが彼女に求めたお金は、実は賭博による借金ではなく、愛人と子どもを養う費用であったことをノラから聞かされる。

 愛人を訪ねたエンジャルは、
 彼女がかつての<パラダイス>の住人、アンジェリカであることを知る。

 顔色一つ変えずに、エンジェルの小説を褒め称えるアンジェリカ。
 そして、浮気の証拠となる手紙を、顔色一つ変えずに受け取るアンジェリカ。
 そして、エスメの面影ある息子を見るエンジェル。





 その頃はもう、小説家としての名声も過去のものとなる、最愛の人は他の女性を心に抱いて他界、屋敷は荒れ果てる。そんな中、ノラに看取られて最期を迎えるエンジェル。それは彼女の処女作、「レディ・イレニア」のエンディングシーンと非常に良く似ていた。「私を本当に愛してくれたのは貴女だけ」とノラに言い残す。


 エスメの絵は彼の死後評価されるようになり、<パラダイス>を彼の絵を展示する美術館にしよう、という話が持ち上がる。エンジェルを振り返るものは、ない。



 全てを手に入れて、全てを失ったエンジェル。
 灰色の世界に光を見出せなかったエスメ。
 不幸を乗り越え、強かに生きるアンジェリカ。
 最後に報われたノラの愛。



 激しくて壮絶なエンジェルの人生。
 決して幸せな最後とは言えない。

 それでも、キラキラの人生を駆け抜けた彼女の姿は、見るものを惹きつけて止まない。


































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Last updated  Dec 14, 2007 01:50:26 AM
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