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Dec 17, 2007
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カテゴリ: 映画・読書
 『リバティーン』 The Libertine

 2005年 イギリス

 監督: ローレンス・ダンモア 

 出演: ジョニー・デップ、サマンサ・モートン、ジョン・マルコヴィッチ、他


☆ジョニーデップDVD大特集!リバティーン

 私の評価:☆☆☆★★(3.5)



 あらすじ:

 17世紀、王政復古のイギリス。追放されていたある男が、恩赦を受けてロンドンへと戻ってきた。ジョン・ウィルモットことロチェスター伯爵である。悪友たちが演劇議論を交わすバーに寄った彼は、国王チャールズ二世の親族を前に、性描写の入った政府批判の詩を詠んだ武勇伝を話してきかせた。世間を騒がし続ける破天荒なジョンだが、その才能は国王も認めるところだった。ある日、劇場でひとりの女優エリザベスを目にしたジョンは、演技指導を申し出るが。




―ジョニー・デップ






 上記のジョニー・デップの言葉が気になって、以前から見たい、と思っていた作品。
 やはり、彼の演技力は素晴らしい。冒頭から惹き込まれる構成になっている。

 退廃的な雰囲気の作品は嫌いではない。大抵の場合、その裏には芸術に対する渇望であったり、なにかキラキラする強烈なものが隠されており、それを映画の中に感じることができるから。

 だか、この作品は少し趣が違って、その光の部分が曖昧なままで、毒の部分が強調されている。そして、彼の本音は所々でサラリと語られ、「実はこうだったんだ!!!」的なわざとらしい演出はない。
 見た後に、また見ながら、観客に考えさせるような構成。

 でも、『汚さ』を強調するあまり、妻やリジーに愛される理由となるべき魅力が分かりにくい。

 ただ、考えさせるにしては深さが足りない気がするのと、もやっとしたスッキリしない感が
残るので、手放しでは褒められない、というのが私の感想。


原題の”libertine”には「放蕩者、ふしだらな男/宗教上の自由思想家」という意味があるらしい。




気になる『最初の3行』の部分。
 確かに、成程惹き込まれる構成。

 「初めに断っておく
  諸君は私を好きになるまい
  男は嫉妬し女は嫌悪し 物語が進むにつれてどんどん私をきらいになる
  (後略)」

 黒い背景の中に浮かび上がるジョニー・デップ扮するロチェスター伯爵(ジョン)。
 自分の汚い部分を吐露し、自分を好きにならないでくれ、と観客に訴える。


 下品な政治批判、常に酒を飲み、淫売宿に入り浸りる。

 ある日、主人の小額の金をくすめたとして殺されかけてる使用人オールコック(”全身男根”という意味らしい)を助け、金を与える。
 「改心させようとしてもムダだ」と主人。「改心されたら困る。俺が善人になってしまう」と答えるジョン。彼の本心は果たして・・・。
 結局、オールコックは改心し、彼の元に戻り、ジョンに仕えるようになる。

 演劇を鑑賞していたとき、酷い大根役者が登場。客席から様々なものを投げつけられ、ソデに引っ込む彼女。しかし、そんな彼女に「魂に輝きがある」と、強烈な魅力と才能を見出すジョン。

 彼女をクビにしないように計らい、
 その女優、リジー・バリーに演技指導をしようと持ちかける。

 仲間と「彼女を2週間で大女優に育てられるか」賭けをするジョン。


 体が目当てなんでしょう? 私が大女優となったときに「自分が育てた」と自慢したいからでしょう?と罵り頑なに拒むリジー。

 「感動したいんだ。
  実人生に何も感じないから 芝居で心を動かされたい」

 「人生を謳歌しているのでは?」

 「この黄金時代を冷笑してるだけさ
  チャールズ(国王)と神が与えし 公正かつ豪華な料理には 吐き気がするばかり

  人生には何の意味もない 
  人の行動には何の力もない

  だが芝居小屋では 善悪すべての行為に結果がついてくる
  ハンカチ1枚が苦悩をもたらす

  芝居は俺にとって唯一の薬だ
  重病には最高の良薬が要る」

  リジーは彼の演技指導を受け入れることにする。


  賭けの結果はジョンの見事な勝利。



  相変わらず酒におぼれる日々。
  母親の説得にも耳を貸さない。

  妻の愛にも応えようとしない。


  彼の魂の深さに気づき、信じようとするリジー。



  国王はジョンに
 「フランスの新しい大使を歓迎するための作品を書け」、という。

  知性あふれる壮大な芝居、
  人生を讃える壮大な戯曲を、と。

  しかし、ジョンが書いたのはワイセツな宮廷批判。
  怒りに振るえ、帰ってしまう大使。



  梅毒に冒され、目も見えなくなってしまうジョニー。
  娼婦とオールコックと3人で、妖しげな医者に扮し、庶民から金を騙し取って生活していた。
  ようやくジョニーを探し当てた王。
  彼がジョニーに与えた晒し首以上の罰をは「無視する」ことだった。


  行き場がなく、自宅にもどるジョニー。
  妻に対して、「まだ家政婦が辞められないのか」と暴言を吐く。

  「あなたの悪魔がどうやって入り込んだのか分かるわ」と泣き崩れる妻、エリザベス。



  病床を訪れた牧師は彼に、
  あなたは理性にしがみつき、理性で神を嘲笑したのだ、と言った。


  「もういちど聞かせてください イザヤ書の言葉を」とジョニー。

  「彼は 蔑まれ 拒まれ
   苦難を背負い 病を知る」と応える牧師のあとを継いで、

  「我々は彼から顔を背ける
   神よ 床を出て勤めを果たさせたまえ」というジョニー。



  彼は宮廷に赴く。議会では、「国王の弟を亡き者にするための法律」が議決されるかどうか、という場面。
  国王側が不利な状況。

  しかし、突然現れたジョニーの演説で時代は急変、大差で国王側の圧勝、国王の弟は一命をとりとめた。


  劇場に訪れて、久しぶりにリジーに再開するジョニー。

  ジョニーを題材にした演劇「当世風の男」が上演されていた。

  ジョニー役のハリスに彼がいう。

  「役者は羨ましい ”時(きっかけ)”が決まっている
   さあ 今 着替えだ  さあ 今 登場だ
   だが 人生は ”今”の連続じゃない
   のろのろダラダラの”何故俺が?”なんだ」

  リジーに、

 「愛人ではなく、妻にしたかった」というジョニーに、


 「愛人生活に嫌気がさしたんじゃない あなたに飽きたの」と応えるリジー。

 「私は誰の妻にもなる気はない 私は私であり続ける

  不実な愛より 確かな栄光を選んだの」


 彼女はジョニーの子どもを産んでおり、つけた名前は「エリザベス」だった。


 「あなたは生きる手段を教え 私は人生そのものを教えた
  もう 会う必要もないわ

  ロンドンにいる間 お金を払えば私を見れるわ

  それ以外は永遠にあなたの心の中にいるわ

  でも あなたへの恩義は果たした」



  「俺はまだ33歳なのに死んでゆく
   真実を語ろうとして 真実に裏切られた」 

  妻に「誘拐の話(*)をしてくれ」とせがみ死んでいく。

  *彼と彼の妻が結婚したいきさつ。
   18歳で莫大な遺産を相続したエリザベスを彼は待ち伏せして誘拐した。



 エピローグ。再び現れる黒い背景の主人公。

 「死の床で改心した 敬虔なる放蕩者・・」と自分を称する。

 「君は私が好きか?」と問いかけながらフェードアウトしていく。










  哀しげな音楽と、劇場を1週させる映像が美しかった。

  「劇場」や演劇は暗示的に使われている。

  ジョニーが辛い現世の中でつかの間に見る夢。

  妻がジョニーに、
  「あなたが夢中なのは酒でも淫売宿でもなく、芝居小屋だ」と言うシーンがある。



  彼は何故、ムリヤリに酒を飲み続け、抱きたくないときも娼婦を抱き続けたのか。


  公園で夜な夜な行われる強かんや男色を彼が憂う場面がある。。


  「チャールズ(国王)と神が与えし 公正かつ豪華な料理には 吐き気がするばかり」

  彼は厭世家だ。


  表で上品振る人々に嫌気がし、自らを堕落させたのか?

  酒におぼれたが、酒だけでは酔い足りず、更に強い麻薬として演劇を求めたのか。


  でも彼は、自分の悪癖の言い訳をすることなく、自分を汚らわしいものとして位置づけようとする。


  彼は 蔑まれ 拒まれ
  苦難を背負い 病を知る

  我々は彼から顔を背ける
  神よ 床を出て勤めを果たさせたまえ


  彼の人生を暗示するかのようなイザヤ書の言葉。


 彼は人に蔑まれるために、あのように振舞ったのか?
 それとも、単に、この言葉が彼の改心のきっかけになっただけなのだろうか。





 彼が愛したリジーの最後の言葉は残酷なようにも聞こえる。
 でも、彼女があのような精神の女であったからこそ、彼は惹かれたのだ。


 弱い彼は、彼女の強さに惹かれたのだと思う。



 ジョンに何度も酷い言葉を投げつけられながらも、最後まで彼を待ちつづけた妻エリザベス。
 彼女は何故、あそこまで彼を愛することができたのか。

 知識と才能あふれる昔の面影だけを追い求めていたわけではないだろう。































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Last updated  Dec 17, 2007 09:59:55 PM
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