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2009.04.29
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カテゴリ: びしびし本格推理
有栖川有栖が活発な動きを見せた年である2008年の作品を読んだ。

○ストーリー
”妃”と呼ばれ若い男たちを取り巻きに持つ女性から,多額の借金をしていた男が死んだ。だが3人の容疑者たちは皆1つずつ犯罪を実行できない理由があった。男は自殺なのか?それとも誰かが「猿の手」の魔術により不可能を成し遂げたのか?

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有栖川有栖のメインキャラクター・火村准教授が活躍する作品で,「猿の左手」と「残酷な揺り籠」の2つの中編が収められている。「火村英生に捧げる犯罪」の出来映えにはややガッカリしたが,この作品は楽しめた。

2つの中編とも大がかりなトリックを駆使しているわけでも,印象深いキャラクターが登場するわけでもない。けれども全体に『有栖川カラー』とでも言う,優しく品行方正で物悲しい雰囲気が満ちている。どこか冷たさを感じさせる探偵・火村と,ブツブツ言いつつもお供をする作家・有栖川のコンビの見事なハーモニーも健在だ。

実は中編に挟まれて「幕間」という短い文章が掲載されている。ミステリー要素は皆無で,作家・有栖川の日常を描写しているだけなのだが,彼が立ち寄るレトロなバーがこの作品のカラーを決定付けている。ポルトガルの民謡”ファド”の流れる店で,女性マスターからギリシアのお酒”ウゾー”をもらう・・・まるで1960年代のヨーロッパ映画のようでもある。

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残念ながらミステリーとしては,この作品の評価は高くない。前半の中編は悪くなく,あるどんでん返しにビックリさせられるが,後半の作品は動機や犯人の行動などが不自然で全体的に説得力が薄い。



善意に解釈すれば,この甘さも有栖川有栖の持ち味だと言える。

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作品へ加えられたスパイスの1つとして「猿の手」という有名な恐怖小説のストーリーがある。一般的には「安易な方法で幸せをつかもうとした者には報いが訪れる」という論調で語られるのだが,この小説に対して全く新しい解釈を火村准教授が述べていて興味深い。

この部分を読むためだけでもこの本を読んでみる価値はあるかも知れない。












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Last updated  2009.04.30 13:28:07
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