りぶらりだいあり

りぶらりだいあり

PR

×

Profile

りぶらり

りぶらり

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

'Ageing is not a de… New! 恵子421さん

本とバッグ なすび0901さん

読書とジャンプ むらきかずはさん
片手に吊革・片手に… もりのゆきさん
From おおさか mayu0208さん

Calendar

Comments

おきま@ Re:「PRIDE 池袋ウェストゲートパークX」石田衣良を読んだ(07/30) 約32年前に池袋のウェイターに騙されて風…
深青6205 @ Re:「恩讐の鎮魂曲」中山七里を読んだ(08/16) こんにちは。御子柴シリーズはお気に入り…
りぶらり @ Re:「我が家のヒミツ」奥田英朗を読んだ(06/18) なすびさん,お久しぶりです。僕が本を買…
なすび0901 @ Re:「我が家のヒミツ」奥田英朗を読んだ(06/18) 好きな作家の一人 図書館で借りないでア…
2010.08.03
XML
この6月に刊行されたばかりの島田荘司の歴史ミステリーを読んだ。

○ストーリー
かつては浮世絵の研究家として名を成した〈私〉は,大学を去り,美術館学芸員の職も失い,小さな学習塾を経営していた。さらに子どもが事故に遭い,妻からも見放され,自殺まで図る。だが偶然見つけた写楽と思われる肉筆画を契機に,〈私〉は写楽の正体を明かし,それを発表することで再起を期すのだった。だが〈私〉の仮説は・・・

-------------

700ページ近くのハードカバーで,ラップトップと一緒に運ぶのには重かった。正直なところ最初の2/5程度は,ウツウツとした内容で読むのがツライ。確かに主人公には不幸が訪れるのだが,彼の周りの人物が島田荘司がよく描く”権威主義でひがみっぽい日本人”一辺倒なので,島田荘司の日本人への冷たい視線がイヤになってしまった。

こうした逆境を跳ね返すために,知り合いの編集者が主人公に,研究書を出版することを勧める。この提案とサポートのおかげで,主人公が行動を始め,物語も歴史ミステリーとして動き始める。

物語は〈私〉とチームが写楽の正体を探る『現代編』と,写楽を世に出そうとする蔦屋重三郎が苦労をする『江戸編』とが交互に語られる。動き出した『現代編』も,主人公が他人に頼ってばかりなので,ある場面以外はあまり心が動かない。それに対して『江戸編』は,洒脱な江戸ことばのひびき,チカラの入った歌舞伎関連の描写,主人公・蔦屋の反骨精神など,魅力にあふれている。

この作品を『現代編』だけにして,きちんとした歴史ミステリーのフォーマットに留めるべきであった,という批評も目にするが,やはり『江戸編』なくしては,この作品に通っている活き活きとした魅力はあり得ない。

-------------



もっともこの作品では,写楽=○○○○という説で動き始め,それが中盤で挫折し,別の説を採る,という構成だ。おそらく作者・島田荘司の考えの流れをそのままなぞったのだと思う。広いバックグラウンドやフィールドリサーチは感じさせられるが,不発だった説をいちいち小説にまでも述べなくてもいいような気がした。

結論としている説も,作者自身が述べているように危険が大き過ぎ,蔦屋と写楽の正体に接点が無さ過ぎて,なかなか苦しいと思う。確かに年月のタイミングなどは,神業のように一致はするが,その発見の喜びだけでは成立が難しいと思う。

大事なのは蔦屋重三郎の権威に対する反骨精神だと思う。それを具現化するためのツールが”チーム写楽”であった,ということは説得力がある。ただ,そのために○○○○○が写楽であった,というのはちょっと行き過ぎかな?

小説形式なので,蔦屋が活き活きと描かれているので,それだけでもこの作品の価値があるのではないだろうか?

-------------

主人公をサポートするのは編集者だけでなく,美貌の女性教授も登場する。この女性は,魅力的な人物として描かれているが,作者・島田荘司の日本人への反感の裏返しで,西欧人の血が入っているから既成概念に捉われず,自分の意見もきっちりと言う,ということになっている。

そうした考え自体が欧米権威への盲目的な追随の証左で,相変わらず「日本ダメ,西欧OK」的なロジックが悲しい。

せっかくの蔦屋の存在を,この魅力的はある女性が打ち消してしまっているようで残念だった。

島田荘司作品に登場する純正日本人男子は,女性の手を借りずに自分の足で立ち上がるべきだ。蔦屋重三郎に笑われてしまうぞ。

-------------

島田荘司的には書き残したことがあるらしく,続編を匂わせているが,この作品の魅力はもう語られているので,このままそっとしておくべきだと思う。









お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2010.08.03 23:35:19
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: