題名キッチンカーの舞台裏 ~笑顔と涙の再会~
冷たい風が頬をかすめる春先の午後。キッチンカーの前には、
今日も人だかりができていた。
揚げたてのコロッケとメンチカツの香ばしい香りが、道の駅常総に広がっている。
私はいつものように、
ヘリコプター付きの赤い帽子を
かぶりながら、笑顔でお客様を
迎えていました。
「おじさん、写真撮ってもいい?」
ふと顔を上げると、
小さな子どもたちが目を輝かせながら帽子を指さしている。
最近では子どもたちだけでなく、若いママさんや年配の女性 ――
いや、女優さんみたいに品のあるご婦人まで「記念写真をお願いします」と
声をかけてくれるようになった。
ちょっとした人気者になった
気分になります。
そんな温かい空気の中、
不意に胸の奥に寂しさがこみ上げる。昨年末に兄が天国へ旅立った。私にとっては、
人生の良き先輩であり、
時に厳しく、時に優しく
支えてくれた存在だった。
合掌 🙏
。
でも、だからこそ私は笑顔でいようと決めた。亡き兄が
見守る空の下で、
今日もお客様を明るく迎えようと。
次に
バレーボール少女たちの報告
がありました。
そのとき、元気な声が響いた。
「おじさん、優勝したよー!」
振り向くと、見覚えのある小学生の女の子たちが満面の笑みで駆け寄ってくる。
彼女たちは、半年前にキッチンカーに立ち寄ってくれたバレーボールチームの子たちだった。
あのときは試合に負けて、
悔し涙を流していた。
「おじさんに報告しなさいって、
ご父兄の皆さんに言われたの!」
そう言いながら、
彼女たちは誇らしげに胸を張る。
その瞳の奥には、
努力と成長の軌跡が輝いていた。
「そっか!やったな!よく頑張った!」
私は思わず拳を突き上げ、
彼女たちとハイタッチを交わした。
あのときの涙が、今は笑顔に変わっている。人の成長って、
こんなにも眩しいものなんだな。
「じゃあ、お祝いに今日もメンチカツいっとくか?」
「もちろん
メンチカツで勝つゾ!」
少女たちは笑いながら、
嬉しそうにメンチカツを手に取った。その後、
ご父兄の方々とも握手を交わし、
「また、愛(あい)ましょう」と再会を約束した。
別れ際、少女たちは大きく
手を振りながら言った。
「おじさん、またね!」
その言葉が、胸にじんわりと染み渡る。
私にとって、キッチンカーはただの商売の場じゃない。ここは、人と人とがつながる劇場だ。今日もまた、新たなドラマが生まれた。
涙と笑顔が交差する場所 ――
それが、僕のキッチンカー劇場なのだ。
今日も
修行の場である
劇場に出向きまする。
#ロコレディ
#伎芸型おもてなし商売道
#キッチンカーでの出来事