(前回からのつづき)
〇街道の峠道(早朝)
山南敬介と沖田総司が立ち止まる。
眼下に朝焼けの京の町が見える。
沖田「山南さん、本当に良いのですか。私は 山南さんを師と仰い できたのです。その山南さんが女のために新選組を抜け出すことが許 せない気持ちと、生き抜いてほしいと思う気持ちとが今、ここへきても戦っているのです」
山南「俺もお前も、もう生きるも死ぬも、居 場所は新選組しかないのかもしれない。ご法度で追いかけてきたお前に真剣勝負で負けたからには、戻って沙汰を待つしかない」
〇屯所の庭(朝)
山南と沖田が裏戸をくぐると庭に近藤勇(31)が立っている。
近藤「戻ってきたか!山南君。法度だぞ!」
山南「わかっています。覚悟して戻りました」
× × ×(同庭で時間が経過)
切腹の場がととのっている。
左前に着物を着た山南が北に向かってすわる。
沖田は白装束に菊一文字を握っている。
検視役は近藤勇。
山南の目の前の桜が満開に咲き誇っている。
近藤が山南にかわらけを渡して銚目の子か ら酒を左酌で2度注ぐ。
山南が舌で酒の味を転がして飲む。
酒の配膳を近藤が手づから下げ、短刀の乗った四方を山南の前に置く。
沖田「介錯人沖田総司」
沖田が名乗り、山南に一礼して後ろに回り刀に 水を掛け構える。
山南は近藤に一礼して、右肩を脱いで 左手で短刀をとり右手に持ちかえる。
左手で腹をなで、へそ上に短刀を突き
刺し左から右へ切る。
沖田が菊一文字で介錯する。
一瞬の春風が山南の目の前で舞ってお
ちていく。
完
幕末・女医と剣士(3) 2017.07.17
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