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私
: 1978年1月7日
の ニューヨーク・タイムズ紙
の第1面に「 第2次大戦時、東京で原爆研究、日本側資料から明らかに
」という見出しが踊ったという。
同様の記事は ワシントン・ポスト
にも掲載された。
これは デボラ・シャブリー
というライターから 特ダネ
として提供されたものだという。
この記事は明らかに 反日的な意図
であったようだ。
A氏
:原爆の唯一の被爆国ということから、アメリカを非難しているが、日本でも原爆を開発しようとしていたこと。
そして、もし、 それが成功していたら、アメリカに対してためらわず、原爆を使っていた
だろうというわけか。
私
:それ以外に、 ダワーが
指摘しているのは、次のことだね。
すなわち、日本は自分たち自身が戦時中に 原爆研究
をしていたことを 30年間、意図的、効果的に隠蔽してきた
。
それによって、 日本が道義的に優れているとする偽善的な態度
をとってきたという 反日的な印象
を与えるところに狙いがあるのだという。
A氏
:日本は二枚舌だというわけか。
背景に、当時の 日本のTVや自動車のアメリカ進出による反日感情
があるね。
私
:質が悪いのは、この「 暴露記事」が嘘
であることだね。
ニューヨーク・タイムズとあろうものが、嘘の記事にだまされるとはね。
というのは、 1949年
にすでに イェール大学のチトシ・ヤナガ
が 日本の原爆研究について出版
しているし、 英語の一般的な書物
で明らかであった。
日本の研究者
からも、この「 暴露記事」の10年以上も前
に、英語に訳されたものがいろいろ出版されている。
占領期
には 米軍当局
は日本で原爆について議論することは厳しく抑えていたが、 1949年頃から緩和
されてきたという。
そして、この「 暴露記事
」に対して、ある アメリカの専門家
は、第2次世界大戦時に原爆製造を計画した他のすべての国と同様に、 日本においても計画を始動させたのは軍部や政府高官でなく、科学者および技術者であったこと
を述べているという。
そして、 日本の原爆計画
が明らかになったことで、 アメリカ、ソ連、イギリス、ドイツ、フランス、日本
と第2次世界大戦時の状況を描いた ジグソーパズルのセットが完成
したとしているという。
「 技術の持つ推進力:技術が求める普遍的要請
」を例証しているというものであったという。
A氏 :それも本当なのかね。
私
: これも嘘
だね 。
日本で原爆研究は行われたが、 欧米と異なり、科学者が推進していない
。
物理学界の長老
であり、当時、日本のもっとも権威ある学術機関である 帝国学士院の院長
であった 長岡半太郎
は軍事雑誌に寄稿し、 核研究を中止して、資源をもっと可能性のある兵器開発に振り向けるように主張
していたという。
だから、原爆研究は 陸軍と海軍がバラバラだが推進役
だね。
1942年の暮れから45年4月
まで東京で行われた 陸軍
による「 ニ号研究
」。
海軍
の後援により 1943年なかばで開始
され、ほとんど成果をあげることなく敗戦を迎えることになった「 F研究
」だね。
「 ニ号研究
」は科学者のリーダー格だった 仁科芳雄
の名前からとられた名称のようだね。
「 F研究
」は京都大学の 荒勝文策
教授らのチームで、Fは核分裂を意味するfissionのFをとったという。
「 F研究
」の成果は、理論研究に関する数編の論文と、 安定した純粋な金属ウランの製造に日本で始めて成功
したことであった。
その 金属サンプル
は3センチ角の切手ほどの大きさで、厚さは1ミリだったという。
A氏 :要するに全然、日本では本格的な研究らしい研究はしていなかったということになるね。
私 :ウランを求めて朝鮮、中国、東南アジアと歩きまわったようだね。
A :日本は原爆研究で ドイツと連携 しなかったのかね。
私
:戦争末期に鉱石探査をしているとき、ドイツから ピッチブレンド
を送るように要請して、 潜水艦は途中で撃沈
されたという。
1945年5月
、 酸化ウランを積んだドイツ潜水艦
は、日本に向かう途中、ドイツの降伏を知って 大西洋上でアメリカに投降。
ところで、ドイツでは ヒトラー
は「 ユダヤ科学
」に敵意を持っていた。
西側諸国はドイツの原爆の可能性を心底から警戒していたが、 杞憂
であった。
ソ連の原子核研究
は早くから始まっていたが、ドイツの原爆が不可能だということを早くから知っており、 ドイツが不利になった1943年から原子核研究を再開
した。
最近、 ソ連崩壊後
に明らかになったが、 ソ連の核研究再開の要因
は、ソ連がアメリカの マンハッタン計画
に潜入させた「 ペルセウス
」という暗号名の、 今なお正体が明らかにされないスパイ
であったという。