March 20, 2009
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カテゴリ: クラシック音楽
男声、それもテノールとバリトンばかり9人の団体、Belcanto?というグループの9回目のコンサートを聴いてきた。

同じ大学で声楽を学んだ人たちが4年前に結成し、半年に一度、公演を積み重ねているらしい。今回は、その大学の講堂でのたぶん最初で最後となるコンサート。何でも、学生時代は試験や発表会などでよく使ったホールらしく、出演者にはゆかりの場所のためか思い入れが感じられた。

それにしても珍しい。男声合唱というのはよくあるが、バスを欠き、テノールとバリトン、すなわち高音域と中音域だけというのはどんな響きがするのか興味があった。

平均年齢は30歳くらいだろうか。声にもパフォーマンスにも、若さだけでなく、ほどほどの成熟が感じられ、<人生の黄金時代>であるところの<30代>に対するノスタルジーを喚起させられた。

前半はヘンデルの「ハレルヤ・コーラス」で幕をあけ、ロッシーニやドニゼッティのオペラのソロや重唱、「となりのトトロ」「もののけ姫」のナンバー。後半は前半に比べるとやや堅めのアリアのあと、モーツァルトのオペラ「魔笛」からの抜粋。

器楽に比べてレベルが低かったのが札幌の声楽界。二期会はあったが、首をかしげる演奏が多く、おかげで声楽が嫌いになってしまった時期があるほどだが、この若手のうち何人かは国際的な舞台で活躍するだけの力量があるのではと感じるくらい。パフォーマンスも洗練されているとは言い難いが学芸会的ではない。

この数十年の変化というか進歩には感慨深いものがある。

のびのびと、やりたいことをやっていて、やや荒削りのところもあるが、これからまだまだ伸びる可能性がある、そんな勢いのある演奏とステージが心地よかった。

残念だったのは無伴奏(ア・カペラ)の曲がなかったこと。キングズ・シンガーズのようにポピュラーなナンバーをア・カペラで聴かせる、そんなプログラムがあったらいいと思った。



音楽のすばらしさを最も感じとりやすいのが合唱を始めとする声楽だが、合唱はアマチュアが主流だし高齢化も進んでいる。プログラムも特殊な分野に偏りがちで失望することが多い。

しかし、こういうプロとしても通用するレベルの人たちの活動が盛んになると、音楽の裾野は大きく広がっていくにちがいない。

こういう活動を支持する意味でも、これからは毎回、この団体のコンサートに足を運ぶことにした。





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最終更新日  March 21, 2009 12:35:53 PM
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