April 7, 2009
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カテゴリ: 映画
去年観た映画だが、書いてあった感想をアップするのを忘れていた。

原題は「ITALIANETZ」、イタリア人という意味。ロシアの孤児が裕福なイタリア人夫婦の養子に選ばれる、というところから映画はスタートする。

しかしこの6歳の男の子は、すでに養子に引き取られていった子の母親が突然現れたことで、会ったことのない母親に会う決心をし、孤児院を脱走し追っ手やチビギャングと熾烈なバトルを繰り広げながら、ついに母親の家をつきとめていく。

日本名のタイトルから想像されるようなセンチメンタルな話ではない。6歳の男の子の、知恵と勇気と根性の物語である。母に会いたい一心で独学で文字を覚え、資料室で住所を調べ、孤児院の女子を使って売春業を営む年長の孤児の上前をはねて資金にし、脱走してからは追っ手と血みどろの戦いをする。

6歳の男の子がここまでやるか、という執念に圧倒され、すがすがしい感動を呼ぶが、しかし「号泣」させられるのは、わたしにとっては、ついに母親の家をつきとめるシーンではなく、
たどり着いた別の孤児院の院長に会おうと、ドアの前に椅子を置き、懸命に背伸びをして室内に入ろうとするシーンだった。

身長1メートルにも足らない子どもの一途な執念、ひたむきな健気さが感じられるそのシーンは、ほとんど崇高といえるものだったし、そうした崇高さをドキュメンタリー映画のような緊張感ある映像で描き出した表現はまったく見事だった。

また、この映画は巧まずして「ロシア人論」になっている。ひとりだとテロリストで、ふたりだとチェスをやり、三人集まると革命党を作り、四人だと弦楽四重奏をやるといわれるロシア人。この映画ではロシア人は概して、悪賢く、拝金主義で、暴力的に描かれているが、ぎりぎりのところでは人が好いというか、かろうじて人間性が残っている、そういう民族として描かれている。

悪賢く暴力的で無法な「ロシア」を、しかしぎりぎりのところで救出した映画といえようか。



アンドレイ・クラフチュークという監督の名はこの一作だけで不朽のものとなるだろう。





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最終更新日  April 9, 2009 04:09:05 PM
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