July 3, 2009
XML
カテゴリ: クラシック音楽
アンコールの3曲、山田大輔の独奏による「男はつらいよ」とデュオによるセルジオ・アサド「さよなら」「おやすみ」が素晴らしかった。特に、日本映画「夏の庭」の音楽として作られたという「さよなら」のデリケートな美しさには時間が止まったような感銘を受けた。

クラシック音楽を聴いて40年にもなると、ほとんど知らない曲というのはなくなる。未知の素晴らしい音楽と出会う、というのはビギナーにのみゆるされている特権で、たとえば同じ映画を何度も見ると感動が薄れるように、よほどの「名演」でなければ感動しなくなる。

しかし、それでもこの「さよなら」のような未知の美しい音楽との出会いに恵まれることがあるのだから人生はまだ捨てたものではない。

吉住和倫は札幌の、山田大輔は神奈川在住のギタリスト。第35回日本ギターコンクールのオヌール部門(プロを目指す人のための最上級部門)で揃って入選したコンクール仲間らしい。どちらもまだ20代とおぼしき若者で、若手のホープ二人の共演ということになる(北海道立文学館)。

ギタリストには優れた演奏家が多い。これは、比較的遅く始めてからでも上達しやすいからで、音楽にかけるパッションが、おけいこごとの延長で終わるバイオリンやピアノ学習者とは格段に異なる。

吉住和倫の演奏はまさにそういうパッションを強く感じさせるもので、ドメニコーニの「トッカータ・イン・ブルー」、ヒナステラの「ソナタ」のような表出力の強い音楽を選び、ギターという楽器の枠を超えようとするかのような意志と迫力が印象的だった。

とはいえバッハのリュート組曲第2番からの「プレリュード」ではたおやかさも聴かせて大器を感じさせた。

山田大輔は吉住に比べると都会的に上品で、最初は線が細く感じられた。しかし、聴いていくとそれも個性のうちという説得力のある演奏で、特にスペインもの、アルベニス「カタルーニャ」などがあまり民族色を感じさせない洗練された演奏で清潔感があった。

この人は作曲や編曲の才に恵まれているようで、「テッカメン」という自作曲も面白く聴けた。



最後にデュオで2曲。ボッケリーニ「序奏とファンダンゴ」、セルジオ・アサド「ジョビニアーナ第1番」。

フラメンコ音楽を取り入れた前者は、もう少しためを入れたりお互い挑発したりというゆとりや遊びがほしかったが、いずれ劣らぬ優れた技巧の持ち主二人のかけ合いが見事。アサド作品はプログラムの最後にふさわしい抒情性と華麗さが共存した佳曲で演奏も白熱した。

それにしても複数のギターが鳴るときの響きの美しさは独特で、ソロとはまたちがった世界が広がるようだった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  July 4, 2009 12:06:42 PM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

ペスカトーレ7

ペスカトーレ7

バックナンバー

December , 2025
November , 2025
October , 2025

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: