September 5, 2010
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カテゴリ: 映画
原題は同じ。2008年のアメリカ映画だが、無名監督のデビュー作だという。地味な映画なので日本公開が危ぶまれたが、東京の勇気ある映画館の働きかけによってやっと日本公開が実現したらしい。

予告編から、サスペンス映画だとばかり思っていた。もう年齢的に謎解きやドキドキハラハラの映画は遠慮したい。そのためサスペンスを観る機会は減ったが、蠍座で上映するならいい映画にちがいないと思って観たところ、これが心に残る秀作だった。

カナダとアメリカの国境の町で暮らす白人家族がいる。ギャンブル依存症の夫が家を出て行ったあと、二人の子どもを抱えた母は生活に困窮し、先住民の女と組んで不法移民の密入国で金を稼ぐようになる。その女も夫を事故で亡くし、子どもを義母に奪われていた。

氷が割れそうな、凍った川を車で渡り不法移民を運ぶシーンだけでなく、いたるところで緊張感のある、というかいったい何が起きるのかと思わせる場面が続いて一瞬も飽きさせない。二人の女の家庭の事情も、あえて説明的なシーンは少なく、観客が読みとって理解していくように作られている。そのため、どのシーンが重要かは最後まで観ないとわからないため、集中して観てしまう、というか画面に引きつけられる。

しかしこれはサスペンス映画ではなく、子を持つ母の友情のドラマだった。そのことは最後になって明らかになるが、子を持つ女性なら、男であるわたしよりもはるかに強く胸を打たれたにちがいないと感じるラストだった。最後の最後でどんでん返しというのはサスペンスの常套だが、この映画ではそれが人間の魂の変化によってもたらされ感動的なのだ。

たった97分の映画で、言いたいことをすべて鮮烈に表現した監督の腕前は見事というほかない。この監督は34歳の女性でコロンビア大学で映画を教えているというが、アメリカ映画界の底力には圧倒される。








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最終更新日  September 6, 2010 11:18:41 PM
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