November 28, 2012
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30年ぶりに三里塚現地闘争に参加してきた。

きっかけは5月のマレーシア旅行以降、探していた。寒さを避け物価の安いところでロングステイとか、守りの旅はやめようと思ったからだ。野宿にこだわって旅をするとか、「自分ルールの旅」をしている人もいる。それなら反原発、反基地などの闘争現場に行く「自分ルールの旅」があってもいい。

折しも横堀団結小屋が仮執行付きの不当判決によって強制撤去されるという。この小屋は反対同盟の83年3・8分裂のときの熱田派のものであり、敷地内農民を中心とした「話し合い拒否」の北原派からは脱落派と呼ばれる側のもの。しかし立場はどうあれ、「円卓会議」での約束を反故にした団結小屋破壊は違法であり正義はこちら側にある。悪や不正義と闘わない人間は卑怯者であり弱虫だ。卑怯者や弱虫になりたくなかったので参加した。

当日の行動は以下の通り(大地共有委員会のサイトから引用・一部略)

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11・28横堀団結小屋破壊を許さない緊急行動に参加する仲間たちは、27日、闘争前夜に横堀研修センターに結集した。

 28日、午前六時、横堀団結小屋前に集まった仲間たち30人は、「横堀団結小屋破壊許さない!」の横断幕を掲げ、「団結小屋破壊工事をやめろ!強制執行をはねかえすぞ!われわれは最後の最後まで闘うぞ」のシュプレヒコールを横堀地区一帯に響かせた。すでに千葉県警の公安政治警察と機動隊、ガードマンが大量に配備されているが、毅然として闘争態勢を組んでいった。

 柳川さん、加瀬さん、山崎さんは、団結小屋内で待機する。外の仲間たちは、ガッチリとスクラムを組んでいった。

 小山広明さん(大阪府泉南市会議員/反空港全国連絡会)は、「政府は『いかなる状況においても強制収用はしない』と言ってきた。国交省と反空連との交渉(一一・九)でも態度は変わっていないと言っていた。だが空港会社は、裏から地権者を動かし千葉地裁が強制執行を行おうとしている。こんなペテンを許してはならない。三里塚の原点と人権を守り抜くために大阪から駆けつけた。最後までガンバロー」とアピール。



 その後、重機によって立木伐採、団結小屋破壊を強行した。作業員の中には、ヘルメットを被らず、安全靴も履いていない者もいる。急遽集められたアルバイト作業員たちだ。地裁が労働災害防止のための労働安全衛生法違反を黙認するほどだ。重機が動いている中、危険な作業を強いる悪徳業者を使わなければならないずさんな強制執行作業なのだ。

 不当排除後、ただちに抗議集会を開始する。

 柳川さんは、「執行官に対して山崎さんの同意なしに個人の財産である植えた樹木や水道ポンプを伐採、破壊するなと抗議したが、すべて拒否してきた。道祖神でさえも神主にお払いさせてどこかに持っていこうとしている。結果的には見てのとおりだが、こういう問題は今後も続く。皆さんとともに頑張っていきたい」と決意表明した。

 山崎さんは、「空港会社が団結小屋破壊を強行したのは、やはり一坪共有地運動の拠点として機能してきたからだ。共有地強奪裁判提訴と同時に団結小屋破壊裁判も提訴したことに現れている。今日の闘いは、断固とした空港反対闘争が健在であることを示した。全国の三里塚に心を寄せる仲間、反原発を闘う仲間たちとともに国策である成田空港建設に反対していこう」とアピールした。

 最後に抗議のシュプレヒコールを行い、工事監視行動に移っていった。解体業者は正午過ぎ、2台の重機を使って建物の破壊にとりかかり、日没過ぎまで解体、伐採作業を行った。翌29日は敷地内の樹木を全て切り払い、午後8時までには完全に更地にしてしまった。

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面白かった。こんなに面白くも楽しい「旅」ははじめてだ。カンパニア集会やデモではなく、現場での攻防は、もちろんケガや逮捕の危険はあるにしても、この世にこれ以上楽しいことがあるだろうかとさえ思う。「とうそうがいちばんたのしかっただ」という、大木よねの言葉を思い出す。

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この小屋は新潟大と宇都宮大の全共闘が作り、その後労活評という政治グループが管理。山崎さんという人が23年にわたって居住してきた。居住者がいる建物の強制収容は20年ぶりという。

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面白いのは道祖神があり、わざわざ神主を調達しておはらいをやっていたこと。生きた人間よりもこうしたものを重視するのが国家の本質だ。

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入り口にピケを張り阻止するが、ひとりまたひとりとゴボウぬきされていく。

非暴力の抵抗=レジスタンスに対して、恐怖にかられた国家権力は必ず暴力をふるってくる。それに対し素手で、次には敵から奪った武器でと攻防はエスカレートしていく。管制塔占拠も、前年の東山薫君虐殺と鉄塔破壊、横堀要塞破壊を経て行われた。三里塚闘争では警察による銃発射もあり、撃たれた人もいる。一方の要塞戦では火焔で機動隊を殺そうとした活動家を別の活動家が抑止した例もある。たとえ機動隊といえども目の前にいる人間をそう簡単に殺せるものではない。しかしノーヘルの野戦病院ボランティアをガス銃の水平打ちで殺した蛮行は「機動隊せん滅やむなし」といった気分を醸成していった。



現場から少し離れたところにいるのが公安。警察の中のエリートであるこいつらは危ない場面には出てこない。ふだんは指図し情報を集めるだけ、闘争の現場では若い機動隊を楯に逃げるだけのことしかしない連中だ。ひとりだけちがう色のジャンパーを着ている男がトップのようだ。若い警察官とちがって、陰険な目つきに邪悪な人間性を感じる。

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30名ほどの参加者は朝6時から午後1時まで意気軒昂に闘いぬいた。それに対し逆ピケを張る機動隊は30分おきに交代するが意気は低い。明らかにこの仕事がいやでいやでしかたがない、というオーラを出している機動隊員もいた。それはそうだろう。正義を守るために警察官になったのに、違法行為・脱法行為の手伝いをさせられるのだから。

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混乱の中、やはりポールを折るなどの警察の暴力があった。面白かったのは「逮捕だ」と叫ぶ警察官に対し、IPADをかざして「全世界に放送しているからな」と言ったところ手を引っ込めたこと。こうした監視行動だけでも力になるということだ。

団結小屋破壊は見ることができなかった。白い幕で敷地全体を覆ってしまったからで、マスコミからもブーイングが飛んでいた。こうした映像が流れることで反対運動が活性化してはたまらないのだ。世界中で「ノーモア・ナリタ」を合い言葉に空港建設が行われるようになったが、国家権力も後ろ向きとはいえ「学んだ」とはいえようか。

いろいろな出会いも楽しかった。とりわけ加瀬勉さんの話を聞くことができたのは幸運だった。半生を闘争に費やしてきた加瀬さんは3時間以上にわたって菅沢老人や北原さんの娘さんのエピソードなどを語った。第二次強制代執行のとき、北原さんの高校生の娘は、灯油をかぶって抗議の焼身自殺をする寸前だったのだそうだ。それを止めたのが婦人行動隊。「機動隊のようなゴミのために命を粗末にするな」という一喝ではっと気がついたのだという。



泉南市議の小山さんのパワーもすごかった。70歳というのに、深夜バスを使いネットカフェで寝泊まりしながら全国に行っているらしい。議員経験の長さから弁舌もたくみで、そのユーモラスな抗議に土建業者の中には苦笑いする者もいた。

埼玉から来たTさんというやはり70歳の男性のパワーもすごかった。細身の体に、100リットル以上の大きなリュックを背負ってきた。満員の場合を考慮してテントや寝具を持参したというからアタマが下がる。この人も小山さんと同じように全国の闘争現場にかけつけているらしい。

小山さんやTさんのような人が1000人、2000人と現れたらと思うと愉快になる。必ず現れるにちがいない。

勝てないことは負けることではない。こんな簡単なことが闘争の現場を知らない人にはわからないのだ。だから観念的になる。

暴力と非暴力の問題はその典型だ。平和的なデモなど非暴力の運動は、革労協のゲリラや中核派の実力闘争、この日の団結小屋破壊糾弾闘争などによってできた自由の時空間があるからこそ可能なのだ。誤解をおそれずに言えば、新左翼やアナキストの暴力は平和的運動を守る前衛の役目を果たしている。

農民も代替わりし土地を手放した人も多い。そのこと自体は責められない。誰しもがそれぞれの人生を送っているからだ。

しかし現地反対同盟が仮に消滅したとしても、空港廃港の闘いは空港がある限り永久に続く。大木よねを「日本一の貧乏ばばあ」とののしり機動隊暴力で排除した空港会社の罪は永久に消えないからだ。

旅費は欠航便のバウチャーを使ったので札幌~千歳間のバス代1800円のみ。闘争終了後に泊まったホテルは3000円。2泊3日で4800円の旅は短期旅行としては最高のパフォーマンス。毎日新聞のチャーミングな女性記者と知り合うという余禄までついた。





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最終更新日  December 9, 2012 08:06:21 PM
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