September 3, 2015
XML
カテゴリ: クラシック音楽
バーゼル音楽院教授のフルーティスト、フェリックス・レングリを迎えての非常にバラエティに富んだコンサート。レングリのソロによるブーレーズとホリガーの作品をめあてに出かけたが、むしろアンサンブル曲が刺激的かつ楽しかった。

フルートオーケストラやフルートアンサンブルは音色が単調で退屈する。長い時間きいていられるものではない。

しかしヘンデル「シバの女王の入場」とボワモルティエ「5本のフルートのための協奏曲」による開始は実に鮮やか。札幌の若手奏者たちがレングリの向こうを張ってまったく位負けしていないのにも驚く。

このあとはレングリのミニ・リサイタルのような趣向で、マラン・マレー「ラ・フォリア」とブーレーズ「エクスプロザント・フィクス」、モーツァルト「フルート四重奏曲ハ長調」、休憩をはさんでベルリオーズ「キリストの幼子」のトリオ(第2フルートは阿部博光)、ホリガー「クリ」、ヴィラ=ロボス「ショーロス第2番」、ラヴェル「序奏とアレグロ」。最後に出演者12人でラヴェル「マ・メール・ロア」から「妖精の園」。

レングリはニコレとグラーフに学んだという人で、現代音楽のスペシャリストとして活躍しているらしい。

安定したテクニックを持ち、特に音量のコントロールが優れている。大きい音も鋭い音色、太い音色と音楽の要求する音色で吹き分けるあたりがすごい。ただ、ソリストとしての、舞台人としての華はそれほどなく、どこかアカデミックな人という感じがする。オーケストラ・プレイヤーや教授職を長くやると、そういう「体臭・体質」みたいなものが身についてしまうことがあるが、モーツァルトなどをきくとそういう傾向を感じなくもない。

一方のマレのようなバロック音楽、ブレーズやホリガーといった現代曲は、自分の体の一部のようにごく自然に演奏している。無調の音楽と調性の音楽にヒエラルキーを持ち込まない、こういう姿勢はヨーロッパでも少数なのではないだろうか。

最後の3曲はコンサート・ピースとして文句なく楽しめた。考えてみれば「序奏とアレグロ」などは名曲の割にめったにきく機会がない。

こうした地味だが内容・質とも高いコンサートが2000円程度で、毎週のようにきけるなら札幌も住みいい街だと思うがこんなことはめったにない。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  January 3, 2016 10:52:18 AM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

ペスカトーレ7

ペスカトーレ7

バックナンバー

December , 2025
November , 2025
October , 2025

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: