October 1, 2015
XML
カテゴリ: クラシック音楽
北海道出身で長くフランスのリヨンで活動していたチェリストの津留崎直紀を中心に、ヴァイオリンの硲美穂子とギターの竹内永和の3人によるコンサート。札幌パブテスト教会というなじみのない会場のせいか、不穏な天候のせいか客席はまばら。

前半はバイオリンとチェロによるモーツァルトのトルコ行進曲(津留崎編)で始まり、ギターソロ(ペルナンブーコの鐘の音)、チェロとギターでショパンのワルツ、バイオリンとギターでファリャのスペイン舞曲第一番、パガニーニの三重奏曲。後半はカサドの無伴奏チェロ組曲からの2曲で始まり、ギターソロ(ガルデルの思いの届く日)、チェロとギターでヴィラ=ロボスのブラジル風バッハ第5番よりカンティレーナ、バイオリンとギターで「アルフォンシーナと海」、チェロとギターでラヴェルのハバネラ、トリオでビゼー(津留崎編)のカルメンから「アラゴネーズ」「ハバネラ」「ボヘミアの踊り」、ピアソラ「リベルタンゴ」というもの。アンコールはピアソラ「オブリビオン」。

曲と編成をつらつらと書いたのは、こうしたコンサートのプログラムとして理想的とは言えないまでも、かなり参考になると思われるから。

単独楽器のリサイタルに付き合うのはしんどい。とはいえ、室内楽のいいコンサートというのは稀で、ピアノを使わないことを条件とした場合、曲も編成も限られる。軽い、親しみやすい曲の中にカサド作品のような名曲をブレンドしたこうしたやり方は見習うものが多い。

津留崎氏がリヨン・オペラの退団後に東京で開いたリサイタル・シリーズは驚くべき内容だった。その一端でも札幌で体験できないものかと思っていたが、残念ながらこれまで彼の演奏はアマオケとの協奏曲を一度きく機会があっただけ。その演奏でも、凡百の音楽家とは人間の出来がちがうという強い印象がのこったが、今回も同じで、演奏そのものもさることながら、演奏会の構成や司会、さらにはソロではなく室内楽でさほど重要ではない部分を演奏するときなどの知的で機敏な演奏に感服させられた。

日本人演奏家の多くは集団に埋没してしまい個を主張することがない。昔の日本帝国陸軍や今の警察機動隊と同じだ。

しかし彼の演奏はどんな細部でも全体に埋没することがない。強気でしゃしゃり出るわけではない。ほんの少しの、気が付かないほどのニュアンスや音量の変化、テンポのリードや引っ張りなどで「個」を主張し、そのことでアンサンブル全体が非常に生命力あふれるものになるのだ。

とんだひろいもののコンサート。アンコールの「オブリビオン」だけでも千金の価値があった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  January 4, 2016 02:26:44 PM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

ペスカトーレ7

ペスカトーレ7

バックナンバー

December , 2025
November , 2025
October , 2025

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: