ふたり暮らしの手帖

ふたり暮らしの手帖

PR

プロフィール

サリィ斉藤

サリィ斉藤

バックナンバー

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07
2025.06
2025.05
2025.04
2007.08.27
XML
カテゴリ: 映画の話
それは、夫が出張で不在だったある週末。

「リング」 を、よせばいいのに観てしまった時の恐怖と後悔は、未だに忘れられません。

鈴木光司の原作 が、怖い、怖いとゾクゾクしながら、先を読まずにはいられなかったように…
中田秀夫監督の映画もまた、見始めたら後戻りができないような力がありました。
挙句の果てが、あの強烈なラスト。

その中田監督が、三遊亭圓朝の怪談噺『真景累ケ淵』を映画化。主演は尾上菊之助…とあれば、伝統美×ジャパニーズ・ホラー=???
…果たして、どのような世界が描かれるのかと(本当はホラー嫌いな私が)、まさに“怖いもの見たさ”で観に行きました。



序盤、一龍斉貞水の語りに乗って、登場人物たちを操る因縁の発端が語られ、主人公の男と女(菊之助と黒木瞳)が運命の出逢いを果たすあたりは、テンポもよく、映像も美しく…これから、どんな恐ろしい悲劇が待ちうけているのか?と怯えながらもひき込まれていきました。


主人公を取り巻く女性たちの、身分に応じた着物姿(衣装は黒澤和子)がそれぞれに艶やかで、目の保養。

黒木さんをはじめ、麻生久美子・木村多江と、アーモンド・アイズの和風美人の競演を楽しめる映画でもあります。
江戸の町並みや、大川(隅田川)の花火の描写なども美しい。

ただ、肝心の「怪談」の部分は、随分と直接的な描写が目につきました。
遊園地のお化け屋敷のよう、とでもいいましょうか。

観ているこちらの、心の隙間にひゅうっと入り込むような…
例えれば、ガラスがキーッと鳴るイヤな音をいきなり耳元で聞かされるような、そんな種類の恐怖を見せつけられるかと思っていたので、期待が外れたというか、かえってホっとしたというか(笑)

終盤のキル・ビルばりの大立ち回りにも違和感があったのですが、それ以上に、エンドクレジットで流れる浜崎あゆみの歌は、はっきり言って興ざめ。
何か、大人の事情があるのかもしれませんけど、ここは最後まで、江戸情緒たっぷりに締めくくってほしかった、と思ってしまいました。

それにしても、四谷怪談にしたって牡丹灯籠にしたって、女の妄執とはかくも恐ろしいものか…と、古来から伝わる名作の怪談噺は、今の世にも十分、リアリティをもって訴えかけてきているものだと思いますね。

死ぬ時は、誰にも恨みを残さずきっぱり逝きたいものだ…なんて、私も一応、女の端くれですので(笑)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2007.08.27 21:59:02
コメント(8) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: