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カテゴリ: 映画の話
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その半生を描いたのがこの作品です。
チェン・カイコーが、パルム・ドールを獲った出世作「 さらば、わが愛/覇王別姫 」以来、また京劇を題材に映画を撮った!というので、ぜひ観たいと思っていました。

以前、坂東玉三郎さんが昆劇に挑むドキュメンタリーの中で、エイゼンシュタインが撮影した生前の梅蘭芳を見たことがあります。
主演のレオン・ライは、確かにその面影があるかも…と思いました。

白い麻のスーツ姿などさすがの色男ぶりでしたが、私にとって最も印象的だったのは、梅蘭芳の青年期を演じたユィ・シャオチュン。
本来は、「越劇」という中国の伝統芸能の若い役者さんなのだそうです。

彼が女形を演じる舞台の場面は、本当に美しく気品があって…京劇の古い劇場の雰囲気は(私は映画でしか観たことがありませんが)幻想的で夢のようです。

ストーリーの中でも、彼が登場する前半部分、京劇の改革を賭けた師弟対決の場面が最も印象的でした。(師匠役の俳優さんがまた、素晴らしい存在感!)

清朝の名残深い時代から日中戦争まで、時代に翻弄されつつ自らの道を求める主人公。
「役者の人生は、観客の気分が決めるのだ」
という意の、切ないセリフにハッとさせられました。
人気と実力を兼ね備え、成功を掴んだ表現者が、内側に抱え続ける孤独はどれほど深いものか。
チェン・カイコーのエレガントな美意識に貫かれた映像美に酔いつつ、その哀しさに胸を打たれた2時間半でした。

まったくテーマの異なる別の映画とわかってはいても、どうしても頭のどこかで、この映画のレスリー・チャンの凄まじいほどの美しさを思い出してしまった…

さらば、わが愛/覇王別姫
レスリーの自死の真相を私は詳しく知りませんが、彼の中にもきっと、深い孤独の闇が常に口を開けていたのではないかと思えてなりません。





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最終更新日  2010.03.25 22:25:52
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