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カテゴリ: お出かけの話
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前回のブログ に書いたようなことで、急に思い立って出かけた(そしてその割にはすんなりチケットがとれてしまった)、国立文楽劇場。
錦秋文楽公演、夜の部の演目は下記の3つでした。思いはあってもなかなか足を運べない文楽公演、久しぶりの空間に心が弾みました。

 恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)
  道中双六の段
  重の井子別れの段
 伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)
  沼津の段
 紅葉狩(もみじがり)


私はいずれの演目でも、ハンカチで溢れでる涙をおさえるのが大変でした。

おしまいの「紅葉狩」は打って変わって、錦秋公演の名にふさわしく、一面の紅葉の下で繰り広げられる鬼退治の物語。
お姫様の舞いの華麗な扇子使い、そして驚きの特殊効果(?)も見られる立ち回りのシーンまであって、目を見張りました。

「重の井子別れの段」を語る予定だった嶋太夫さんが、病気休演となったのは残念でしたが、この段が始まるとき、印象的な出来事がありました。

太夫さんと三味線が交代する間、舞台の上では、それまで演じていた場面がひとまず終わり、数体の人形がそのまま残っていました。
人形遣いさんたちは完全に動きを止めて人形を支えています。その、ぴくりとも動かず、いわば「ただ持たれているだけ」の人形たちを眺めていたら

「あ、目があってる…」

と思いました。
舞台上から、人形たちの瞳に凝視されている実感があったのです。

巧みに作られた頭のせいなのか、遣い手さんが取らせたストップモーションの姿形のせいか、私があまりにも舞台にのめりこんでいたからか…恐らくそのすべてが理由なのでしょう。

普段は、遣い手が巧みに動きをつけてみせることで、人形に命が吹き込まれている印象がありましたが、微動だにせぬ人形たちが確かに生きていた、この数十秒が、この日の舞台で最も心に残った時間でした。





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最終更新日  2011.11.10 07:49:46
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