ふたり暮らしの手帖

ふたり暮らしの手帖

PR

プロフィール

サリィ斉藤

サリィ斉藤

バックナンバー

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07
2025.06
2025.05
2025.04
2011.11.12
XML
カテゴリ: お出かけの話
先週半ばから1週間ほど、所用で横浜の実家に帰省していました。
ココロヤさんのお出かけイベント に行きたくてたまらなかったのですが、分身の術を使う訳にもいかず(泣)
親孝行週間の合間、この1日だけはフリーに使わせてもらうと決めて、取ったチケットは「 平成中村座  十一月大歌舞伎」でした。

せっかく浅草まで来たから…と、やや遠回りですが雷門をくぐり、仲見世の和装小物のお店「かづさや」さんで、帯枕と帯板を購入(なぜこんな買い物が必要だったか、理由はまた別項で…)。

隅田公園へ向けて大きな通りの横断歩道を渡ったら、わぁ!いきなり目の前に現れました!

111112_155057.jpg


何度目にしてもスカイツリーは、その「高さ」よりも「大きさ」を強烈に感じて、圧倒されます。

開演時間ギリギリの到着になってしまった、平成中村座の芝居小屋。


111112_155509.jpg


…しかし、席について前方を見た瞬間、ガックリと力が抜ける思い。
小規模な空間で、客席と舞台の距離感が近いのは素晴らしかったのですが、目の前にも、その前の列にも、とても背の高い(その上背筋がピンと伸びた)女性が座っておられ、私の視界の中央部分は完全にその方々の後姿に独占されておりました…

自分の後ろに座っている方には申し訳ないと思いつつ、ついつい首を右に左に動かして役者の動きを追ってしまいました。上げ底になるクッションでも持参するべきだったか。
名物の、舞台奥の大扉を開けて戸外を見せる演出でも、後方の私たちの席からは、スカイツリーの足とマンション群が見えるだけだったという…
花道の上はよく見えたので、一番いい席と同額の料金はその分だ、と自分を納得させましたが。
正直、終わってから身体がくたびれました(苦笑)

この日の夜の部の演目は、

 猿若江戸の初櫓(さるわかえどのはつやぐら)
 伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)
  沼津
 弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)


「沼津」は、前回のブログに書いた文楽公演でも上演されていたものです。立て続けに文楽と歌舞伎で同じ演目を鑑賞できるなんて、幸運でした。

歌舞伎や文楽の物語は、多くが「義理」や「しがらみ」に絡め取られて、人生を大きく変えられてしまう人々が主人公。
そのあまりの理不尽さに、自由で合理的な現代に生まれ育った私などは、文章で筋書きを読んでも「な、なぜにその選択??」と、登場人物の行動原理が理解できないこともしばしばです。
それなのに、いざ舞台で同じあらすじが演じられてみると、思いっきり感情移入して泣けてしまうのが不思議です。不条理を飛び越えて、理屈抜きで心の深い部分に訴えてくる、芸の持つ力なのでしょうか。

今回の中村座鑑賞の最大のお目当ては、今月ご出演の仁左衛門さんでした。

「客席降り」もあって、間近に拝見できたのはまったく目の保養でした。

心根が優しく、気持ちの温かい仁左衛門さん。
病気休養明けで、半年以上のロングラン興行に挑む勘三郎さんへの思いは大変に強いのでは、とお察しします。

本音を言うと、勘三郎さんは100%の本領発揮とはいかないようにお見受けしました。でも、多くの人の支えとエネルギーを吸収して、前に進んで行かれることでしょう。
舞台の上で抱きあうお二人の絆は、お芝居と現実の二重写しに見えました。

一方で、目を見張ったのが勘太郎、七之助のご兄弟のピチピチのイキのよさです!
これまで「イケメン枠」認定してこなかった勘太郎さんですが(ごめんなさい)、本当に化粧栄えするお顔にきびきびとメリハリのある動き、とってもカッコ良くて、胸がときめきました。
七之助さんが演じた弁天小僧も素晴らしかった!ちょっと倒錯的な、だからこそ見る側をゾクッとさせるワルのキャラクターを、すっかり自分のものにされていて、ハマリ役、当たり役だと思います。

薄幸の女子を演じさせたら天下一品と思う孝太郎さんも、「沼津」で相変わらずいいお仕事をされていましたし、次に控える世代の活躍ぶりが大変に印象的だった「平成中村座」でした。

111112_202439.jpg

終演後、人気もまばらな浅草寺の屋根越しに見上げたお月様です。


それにしても、帰り道につくづく思ったこと。歌舞伎では大勢の俳優さんがそれぞれに語るセリフの部分も、地の文のいわゆる「ナレーション」の部分も、すべて一人で語りつくす、文楽の浄瑠璃語りの凄まじさ。
先日の文楽劇場では、「沼津」の切場(クライマックス)は人間国宝の竹本住大夫さんが語られました。その気迫のこもった熱演は、歌舞伎役者4人分と十分に釣り合うエネルギーでした。
「おやじさまァ!」という、呉服屋十兵衛の胸を引き裂く絶叫は、住大夫さんの声と仁左衛門さんの表情の合わせ技で、強く今の私の心に残っています。


人形浄瑠璃の若手演者が主人公。三浦しをんさんのこの小説は文楽入門にもお勧めです。    





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2011.11.16 23:50:11
コメント(4) | コメントを書く
[お出かけの話] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: