エデンの南

エデンの南

November 12, 2004
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カテゴリ: 読書
音楽でも何でもそうだと思うんですが、例えば好きなミュージシャンが影響を受けたミュージシャンを遡って聴きたくなったりしますよね。そして、そうやって趣味も深まっていきます。オリジナルを聴いてみて、カバーの凄さがわかったりとゆー楽しみもあるし。

ゲーテの『ファウスト』は10何年か前に既に読んではいましたが、今回、小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』を読んだのがきっかけになり、再読を果たしました。
『黒死館…』の元になってるのがゲーテの『ファウスト』なのです。

ちなみに、にわかに黒死館について書いた日記にコメントがつきはじめて、嬉しいかぎりです。過去の日記のコメントも大歓迎です!
小栗虫太郎『黒死館殺人事件』
小栗虫太郎『黒死館殺人事件』2
小栗虫太郎『黒死館殺人事件』 3
小栗虫太郎『黒死館殺人事件』4
『黒死館殺人事件』番外編 小栗虫太郎という人

んで、『ファウスト』ですが、二部構成になってまして、一部はグレートヘンの悲劇とワルプルギスの夜を中心に、二部はトロイのヘレンなんかが出てきたりして、ギリシャ神話の話が主体になっているのと、メアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』を彷佛させるような、ホムンクルスと言う人造人間が出てきたりして、なかなかこの辺はおもろいですね。
(ちなみに『フランケンシュタイン』は、ボリス・カーロフのユニバーサル映画より、ロバート・デ・ニーロのが原作に近い感じです。可哀想な話です。)

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この『ファウスト』、ぬわんと、詩人ゲーテが20歳の時から想を練り、24歳にして書きはじめたものが、完成したのが82歳、死の前年の時であったそうです。まさに大詩人が一生涯を賭けて書かれた小説です。
そのゲーテ本人は、第二部に大変満足し、一部の方はこきおろしさえしたらしいのですが、私が力不足と言うのもあるだろうと思いますが、一部の方が話としちゃあわかりやすいし良かったです。(^^;)
二部はちと哲学的な所もありますね。

なんか、散々ファウストの為に骨折った、悪魔のメフィストフェレスの方がかわいそうになってきちゃうんですよ。(天使に騙されるメフィストは、ちと間抜けで笑えますが。)
グレートヘンを不幸のどん底の貶めたのも、メフィストのせいばかりではなく、自分の欲の為に、例えば長年住みなれた土地を立ち退かせても、替わりに立派な土地をあたえれば嬉しがるに違いないと思う、思い上がった偽善的なファウストと言う人間が、どーも私は好きになれませんでした。ある意味ファウストの方が悪魔的な気もします。
それに、どっかの元球団社長のように、何でも欲しがる人ですよね。(笑)

あと、今回の再読で新たな発見が!
シェイクスピアの、特に『真夏の夜の夢』の影響が強くて、読んでおくとおもしろいです。
二部の方は、これ読む前に、ホメロスの『イリアス』とか、出来ればオウィディウスの『変身物語』なども読んでおくと楽しいと思います。
ギリシャ神話と聖書は、あらゆる芸術の基本中の基本ですよね。

イリアス(上) ( 著者: ホメロス / 松平千秋 | 出版社: 岩波書店 )
イリアス(下) ( 著者: ホメロス / 松平千秋 | 出版社: 岩波書店 )

ファウスト(第1部) ( 著者: ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ / 池内紀 | 出版社: ... ファウスト(第2部) ( 著者: ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ / 池内紀 | 出版社: ...





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Last updated  November 13, 2004 12:54:23 AM
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SEAL OF CAIN @ Re[1]:破壊と再生の2024(01/01) アラネアさんへ いつもコメントありがとう…
アラネア@ Re:破壊と再生の2024(01/01) コメントが超遅くなってしまい、すみませ…
SEAL OF CAIN @ Re[1]:破壊と再生の2024(01/01) まろ0301さんへ お久しぶりです! コメン…
まろ0301 @ Re:破壊と再生の2024(01/01)  大変な年でしたね。ワタクシも交通事故…
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