エデンの南

エデンの南

January 28, 2005
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カテゴリ: 読書
映画評は こちら

この奇妙な、小説ともシナリオとも言い難い書きもの、ピエル・パオロ・パゾリーニの『テオレマ<定理>』は、映画の原作かと思いきや・・・こりゃ、最初からキャスト想定してねーか・・・とか思いつつ読んでいたら・・・映画の撮影と併行して書き進められたものだそうです。納得。

映画の進行通りに書いてあるのではなく、構成としても、映画では最初に入ってる部分がラストに来てたりして、なかなかおもろいっす。
又、間に挿入される詩のようなもの ( 作者自身、これを<<詩>>と称してなく、訳者が解説で書いている所の「エセ韻文体散文」) が、なかなかの効果をあげています。

ブルジョア家庭の父パオロが、青年にトルストイの『イヴァン・イリッチの死』を読んでもらう所があるんですが、これに出てくる百姓のゲラーシムと、テレンス・スタンプ演じる青年との見事な一致がおもしろいです。

それぞれの独白がこんな感じで書かれていて・・・

<<貴方ガイラッシャルマデ、私ハタダノ普通 (のおまる) ナ
---御免ナサイネ、コノ際限ノナイ言葉ヲ---人タチト暮ラシテ来タノ。

(ソシテ保護サレ) 、コウシテ自分ノツライ
階級病ノ徴候ヲ隠シテイナケレバナラナカッタノ。>>

<<ドウヤッテアンナ空虚ノ中デ生キテイラレタノカシラ? デモ
生キテイタワ。シカモ、ソノ空虚ト言ッタラ、知ラナイウチニ、
月並ミナコトデイッパイダッタンダワ。ツマリ、
救イガタイ精神ノ醜悪サヨ。>>

作者も誰の独白か書いてないのですが…前者は長女オデッタ、後者は母ルチア。
最後には青年のが来るんですよ。
「下層プロレタリアートと神の共謀」と題して。

そして1968年の記述も。
(1968年について、今迄いろいろ考え書いてきました。是非 こちら

<<一九六八年の若者たちは何を語るのだろうか---
野蛮な髪の毛をして、どことなく軍隊調の
ウィンザー・スタイルの服で、ぼくに似た不幸な体を覆い---
文学、美術を語るのでなければ? そしてこういうことに
何の意味があるだろう---プチ・ブルジョアの
にむかって
祈願するのでなければ---今一度、あの三十八年のときよりも
さらに重大な事態で彼ら自身を罰してくれるようにと。
ただわれわれブルジョアだけにギャングの振舞いができるのだ、
マルクスをひきずりおろして、蚤の市じこみの服を着こんだ
技師が技師にむかって咆えたたえるだけのことしかできないのだ。
まさに同胞相搏つ争い。
齢十六にも達せず、百姓の服を着て、
ほんとうにやつれ死んでしまうものこそ、
恐らくは、たった一人の正しい人間だろう。
ほかのやつらは互いに相手の咽喉を掻き切っている。>>

引用したいと思うとどうしても長くなっちゃいますね・・・
つづきは明日書きます。

ちなみに私が読んだのは、 コレ と同じものです。
ただし、初版ではなく第2刷 (1970年4月12日)
これ、第1刷発行が 1670 年3月4日って書いてある~
あと、帯付いてないっす。状態もあまり良くない。しかし、ぬわんと、600円で買ったのでありました! (値札が付いてたの。どうやら地元の古本市で買ったらしい。)
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Last updated  January 29, 2005 02:26:57 AM
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Re:【本】パゾリーニ『テオレマ<定理>』(01/28)  
ricecocoa  さん
パゾリーニ、見てみたいです。恐れず、日本に帰ったら、ビデオを借りに直行!!!見たい映画がたくさん、です。とはいえ、私、恐がり屋なのに、アップリンクから招待状のようなものが届いて、インマイスキンを見にいってしまいました。オゾンのもとで仕事をしていた監督とだけあって、恐ろしかった!しかし、そんな恐ろしさも、ただ、恐ろしさで終わるのではなく、私に何かこの現実の局面を垣間見せてくれるのであれば。ある種、そういう恐ろしさを忘れてはいけないような。私の中で、私の価値観を壊してしまいたくて、映画館に行く、というのもありますが、心の中で、漠然と真実とは何か、という、答えることの不可の疑問を常に持っていて、その為に見にいくというのもあります。何だか、ぞくぞくします。そんな映画が見たいのよ!!! (January 29, 2005 05:02:41 AM)

Re[1]:【本】パゾリーニ『テオレマ<定理>』(01/28)  
SEAL OF CAIN  さん
ricecocoaさん
>パゾリーニ、見てみたいです。恐れず、日本に帰ったら、ビデオを借りに直行!!!

パゾリーニ、レンタル屋には、多分『ソドムの市』ならあると思います~(笑)
最初からコレはかなりキョーレツ!
場所によっては『豚小屋』とかもあるみたい。
うちの方のツタヤは、ほんと品揃え悪くて…しかもすっっごく探しづらい・・・監督別とかにしちくり~。
大昔によく通ってた新宿のマニアックなレンタル屋には、『大きな鳥と小さな鳥』もあったのだけど。(その頃は『パゾリーニの鳥』とゆータイトルだった) 一時期レンタル屋がいっぱいつぶれちゃったんですよね~。

>しかし、そんな恐ろしさも、ただ、恐ろしさで終わるのではなく、私に何かこの現実の局面を垣間見せてくれるのであれば。ある種、そういう恐ろしさを忘れてはいけないような。私の中で、私の価値観を壊してしまいたくて、映画館に行く、というのもありますが、心の中で、漠然と真実とは何か、という、答えることの不可の疑問を常に持っていて、その為に見にいくというのもあります。

わかるわかる~!
そうそう、忘れちゃいけない恐ろしさなんですよね~。パゾ映画は、ホラー系の恐さとは違う、そういう恐さを描いてる監督だと思います~。
私ホラーも好きなんですけどね。 (January 29, 2005 01:35:05 PM)

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