エデンの南

エデンの南

March 13, 2021
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テーマ: 読書(8648)
カテゴリ: 読書
※ネタバレあり

印象操作


現実社会で、こういうのにコロッと騙される人は多いと思います。
ハンク・リアーデンのリアーデンメタルについてのジム達の説明がコレです。

「一定期間酷使すると突然亀裂が生ずる可能性があるかもしれないが、この期間は予想できない……分子反応の可能性は現在のところ定かではないものの完全に否定することはできない……このメタルの張力の強さは明白であるとしても通常以上の圧力下での作用に関する特定の疑問は除外できない……メタルの使用を禁止すべきだという主張を支持する証拠は無いが、特性についての更なる研究は有用であろう」


笑えますよね。何ひとつ確かな事は書かれていません。
まさに実体が無いのに人々に恐怖心を植え付ける新型コロナのような手口ではないでしょうか。
何だかイライラする報道ってありますよね。
感染者数だけを毎日言うような。

報道する側もよく訓練されているようです。
これもまた現実だと思います。
※ジョン・ゴールト線とは、ダグニーが建設した際に、国の破壊者だと思った「ジョン・ゴールト」に挑むように名付けました。

 ジョン・ゴールト線の事務所で開かれた会見に来た若い記者たちは、自分の仕事が世界から事件の本質を隠すことだと考える訓練を受けてきていた。かれらの日課は、何の意味も伝えないよう慎重に選ばれた言葉で公益についてぶつぶついう公人の聴衆を務めることだ。



人気を得るには

大衆向けにレベルを下げた、何の価値もない本が多く販売されています。
国家科学研究所から、わざと価値のない本を出すフェリス博士と、それに怒るスタッドラー博士との会話です。

「あのですね、スタッドラー博士、人びとは考えたいとは思っていないのです。事態が深刻になればなるほど、よけいに頭を使いたがらなくなるのです。だが何らかの本能によって、人は考えなければならないと感じ、それで罪悪感を覚えるわけです。だからかれらは何も考えないことを正当化する理由を与えてくれる人間は誰でも祝福し、追随します。おのれの罪であり、弱みであるとかれらが知っていることを美徳に──高度に知的な美徳に──してくれる者になら、誰でも」
「それで君はその弱みにつけこむべきだというのか?」
「それが人気を得る道です」


スタッドラー博士がダグニーに言うセリフがこれまた面白いです。

「タッガートさん、あなたは二流の人間の烙印をご存じかな? 他人の業績への憤りですよ。誰かが自分の業績を超えてしまわないかとびくびくしている神経質な凡人ども──やつらは頂点に到達したときの孤独をこれっぽっちも知らんのだ。同等の人間を求める孤独──尊敬すべき精神と賞賛すべき業績への渇きを。相手はその輝きで他人の影を薄くするのを喜ぶものだと思ってやつらはネズミ穴から歯をむきだす──実際は他人の中に才能のきらめきを見るためなら人生のうちの一年を捧げてもかまわないと思っているというのに。やつらは成功を妬み、大きな夢といえば、すべての人間が自分より劣ると認められている世界だ。


『人気』という点で、ダグニーのセリフでこんなのがありました。

あのね、わたしは学校で前から人気がなくて、それは気にならなかったけれど、最近理由がわかったの。ありえないような理由よ。みんなわたしのやりかたがまずいからじゃなくて、わたしがよくできるから嫌うの。クラスで一番いい成績をとるから嫌うの。


お金とは

この小説はアイン・ランドの思想・哲学であり、ファンタジー色もあると私は思いました。
ファンタジーについては、次回書きたいと思います。
読むのが最も大変な箇所であり、醍醐味でもある箇所が、フランシスコ・ダンコニアとジョン・コールド (小説内で実在していて後半出てきてビックリ) の数十ページに渡る長〜いセリフです。
長すぎて引用が難しいのですが… wikipedia の『所有権と個人主義』の所にダンコニアのお金に関するセリフが一部掲載されていますので、是非読んでみてください。
一部引用します。

お金は涙ながらにものをねだるたかり屋や、力ずくでものを奪う横領者の道具ではありません。お金は生産する人間がいてはじめて機能するのです。これが、あなたがたが諸悪の根源と考えるもののことでしょうか?
 仕事の代償として金銭を受け取るとき、人はその金を他人の労力の産物と交換できるという確信があってはじめてそうするのです。お金に価値をもたせるのはたかり屋でも横領者でもない。涙で海を満たしても、世界の銃をかき集めても、財布の中の紙切れを、明日をしのぐパンに変えることはできません。その紙切れは、本来金(きん)であるべきだが、ある名誉の象徴──生産する人間の活力を求める権利なのです。


 破壊者が現れるとき、かれらは真っ先にお金を破壊します。というのもお金は人間の護身手段であり、道徳的生存の基盤だからです。破壊者は金(きん)を押収し、その所有者にまがいものたる紙幣の山を残します。これがあらゆる客観的基準をそこない、任意に価値基準を定める独断的な権力に人びとを引き渡すのです。金(きん)には客観的な、生産された富と同等の価値がありました。紙幣は、富を生み出すことを求められた人間に向けた銃によって裏書きされた、存在しない富の抵当証書です。紙幣は法律にのっとって横領をおこなうたかり屋が、自分のものではない口座から、犠牲者の美徳につけこんで降り出した小切手なのです。


『紙幣』に関しては、フランシスコ・ダンコニアがダグニーにこんな事を言うシーンもありました。

やつらがきみに植えつけようとする倫理は、人の美徳を利用して巻上げる詐欺師が刷った紙幣にすぎない。


世界のお金は支配されていて、働いた分を十分に得られないしくみになってますよね。
それが何によってそうなっているのかはハッキリと書けないものの、アイン・ランドはそれを示唆していると私は思いました。
金融支配から逃れると人々は幸せに、今よりずっと楽に生活が出来るようになります。
その世界を作ったカダフィ大佐は殺されました。
カダフィ大佐

まだまだ続きます😅

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Last updated  March 17, 2021 04:43:27 PM
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