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(負けて当然の民主党政権運営)
参議院議員選挙が終わり、その総括や分析をマスコミが
盛んにやっているが、その多くが「衆議院と参議院のねじ
れ」を言い、国会運営は難しく、今のような厳しい状況の
中で国会が機能しなくなったら大変だというものである。
しかし、筆者はそうは思わない。国民は結構バランス感
覚をもっている。衆議院で自民党にお灸をすえ、民主党に
勝たせるのがよいが、勝たせすぎた。そして、政権をとっ
た民主党は、傲慢、横暴、公約破り、無能さを示すことの
連続である。
脱官僚を言っていたのに、官僚の中の官僚である財務省
の実力者である元事務次官を郵政会社の社長に任命した。
しかも、公約では半分に減らすとしていた郵貯の預金限度
額を逆の倍増という法案を衆議院で強行採決した。これ1
だけでも、即退場のレッドカードものである。
そして、このこと以外でもそうだが、問題が起きた時に、
「法律に違反していないから問題ない」「現状も問題は自
民党が作り上げてきたもので、自民党に批判されたくない」
「与党になって、事態の深刻さ、実情が初めてわかった」
という詭弁に終始し、まったくの反省がないし、襟を正す
姿勢がない。
普天間の問題もそうだが、この9カ月の民主党の政権運
営はお粗末の極みである。運営慣れしていないから、もう
少し時間をあげるべきということを言う人がいうが、これ
は時間の問題ではなく、考え方の問題であり、民主党政権
のファッショ、傲慢、独裁を国民が感じたのである。
だから、マスコミは「ねじれが大変」と散々言うが、筆者
は逆に国民は賢い選択をし、民主党に強行採決をさせないと
いう選択をさせたのだと考えるのが正しい選択で、マスコミ
報道はピントがずれていると思う。
(民主党には4つのグループ)
前にも書いたが、民主党政権の中心にいる人たちは4つの
グループである。マスコミはリーダーの下に、小沢派が何人、
鳩山派が何人と報道しているが、そうした表面の話ではなく、
本質の話である。
その1つ目は労働組合の委員長、書記長のOBである。当
然、公務員系の組合は力が強いので、この人たちが大きな力
を持っている間は、公務員制度改革などできない。民主党が
公約に反して、公務員制度改革を自民党よりも後戻りさせた
のがそのよい証拠である。
2つ目のグループは若手官僚OBである。以前は官僚をし
ていて政治を目指す人は自民党で立候補した。しかし、自民
党の世襲化が進み、野心のある若手官僚が自民党から立候補
が難しくなり、民主党で国会議員になったのである。
彼らは理屈では自民党を批判し、民主党のよさをアピール
するが、国会議員になれるのなら、自民党でも民主党でもど
ちらでもよいのである。国よくしたいという思いがある人も
勿論あるが、権力志向、上方志向が非常に強い人たちである。
3つ目が弁護士である。数は膨大にいる訳ではないが、そ
れぞれの問題のキーパーソンが弁護士、法律の専門家である。
弁護士は一般のイメージでは弱者の味方である。
しかし、実際に弁護士と付き合ってみるとわかるが、人間
として首を傾げる人が多い。現実に依頼者の金を横領したり、
犯人とはっきりわかっている人間に智恵をつけて、犯行を否
定させ、無罪にさせるなどしている。
また、最近では消費者金融の過払い金の回収で、依頼者と
の間で金の取り合いのトラブルが多発している。彼らは法律
を知っていることをよいことに、すれすれの行為をし、倫理
を無視し、法律だけでうまく世の中を渡ろうという人が少な
からずいる。
(金権体質そのものの小沢グループ)
4つ目が小沢一郎グループである。自民党の中でも一番悪
い金権体質をそのまま持ち、引き継いだ人間のグループであ
り、金と恐喝で票の取りまとめをして、先の衆議院議員選挙
では、多くの議員を当選させた。
民主党の他の3つのグループが政治の世界の事情に疎いの
で、政治のダーティーな部分に詳しく、何でもやることがで
きる小沢グループは、民主党の中でどんどん勢力を拡大して
きた。
小沢一郎は田中角栄の流れを汲んでいる。ただ、田中角栄
や金丸信と大きく違うところがある。それは、田中角栄が人
の心を理解し、引き付ける魅力があり、国をどういう方向に
持っていこうというビジョンもあったのに、小沢一郎にはそ
れがなく、結果として自身の蓄財にだけ熱心だったというこ
とが明らかになった。
田中角栄はロッキード事件で、マスコミのバッシングの中
で無残な晩年を送った。しかし、最近の研究では、これは、
アメリカが言うことを聞かない田中角栄を追い落とすために
意識的に仕組んだ罠だったという説が有力になりつつある。
昭和40年の東京五輪後の不況時に大不況が来て、金融会
社が危機を迎えた時に、当時、大蔵大臣だった角栄は、瞬時
に決断し、渋る日銀総裁を押しのけて、日銀特別融資を実行
して救済するなど、多くの実績も残している。個人的に会っ
ても、とても魅力にある人だった。
田中角栄は成功して目白御殿を造ったが、書生に両隣の家
の前の掃除や雪かきを命じるなど、人の心を理解する人だっ
た。しかし、小沢一郎は、どれだけ長年仕えてきた人でも、
少し苦言を呈すると、翌日から携帯電話がつながらなくなり、
人間関係を切るという人で人間としてまったく信用できない。
(厄介な存在、松下政経塾出身者)
そして、これに松下政経塾出身者が論客として加わってい
る。松下政経塾の出身者は自民党にも、その他の政党にもい
るが、筆者は極めて厄介な存在で、決してよいものではない
と考えている。
ご存じのように、松下政経塾は、故松下幸之助氏が政治家
の現状に絶望し、より志の高い政治家を育成しようとして、
私財を出して作った塾である。だから、初めは彼が自ら教壇
に立った。
しかし、集まった人たちの言動を見て、松下氏はがっかり
し、その後、教壇に立たなくなる。具体的なエピソードがあ
る。それは、当初、松下氏は集まった塾生に、まず人間とし
ての心がけが大切だとして、塾の中のトイレの掃除を求めた。
これに対して、塾生から大ブーイングが起きた。自分たち
は地盤、看板がないが、政治家になりたいと思って集まった
人たちで、そんなマナーや心掛けよりも、どうやって政治家
になれるかを教えてほしくて集まっているのであり、「トイレ
掃除は時間の無駄」と拒否をしたのである。
そうした人たちだから、弁は立つ。頭はよいかもしれない。
でも、権力志向が強く、人間としてはどうかという人が結構
見受けられる。
(民意を理解でいないマスコミ)
以上の5つの集団が民主党を形作っている。これを理解す
れば、民主党が政権をとってからの、9カ月間の行動は概ね
納得がいく。
多くの国民は、勿論、そうした細かなことなどは知らない
が、それでも、何かおかしいと思い、参議院でも過半数を与
党がとると、極めて危険と判断し、今回の選挙で民主党を負
かせて、ねじれを誕生させたのである。国民の智恵である。
それを理解しないで、「ねじれは大変」と報道するマスコミ
は、高給にあぐらをかき、本当の国民目線で仕事をしていな
いことを露呈したのが、今回の選挙結果の報道だと言える。