異論・極論・直言――マスコミが言わない解説、提言

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2010.11.05
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 学生の就職活動(=企業の採用活動)の時期を遅くしろということを
国立大学協会が経団連などに強く申し入れなどしたことから、議論が大
きくなり、総合商社が2013年4月入社の学生の採用から、採用時期
を8月以降にすると決めるなど、時期の延期が大きな動きになっている。

 マスコミの論調は、延期を歓迎というトーンだが、現場で採用活動を
10年以上続けている者として、これはまったく事実誤認である。議論
をしている人たちが採用の実情、現場をまったく知らない人たちだから
である。採用時期の延期は学生の負担が逆に大幅に増えるのだ。

(大学生の就職活動開始は3年の夏から)
 まず、就職活動の現状を知らない人が多いので、この実情から少し説

ら企業のインターンシップ、セミナーが開始される。夏休みなので、日
にちをとって、セミナーやインターンシップができるということで、特
に学生を受け入れる余裕のある超大企業を中心に開始され、今では多く
の会社で行われている。

 このセミナー、インターンシップは当初は理系の院生を対象に始まっ
たのだが、それが次第に文系の学部生にまで広がり、筆者が採用を担当
している会社が今年9月と10月に初めて実施した時に、学生にインタ
ーンシップ、セミナーへの参加状況を聞くと、7、8社に参加は珍しく
なく、中には10社以上に参加という学生も何人もいた。

 セミナー、インターンシップは7、8月から始まり、11月頃まで続
く。リクルートの調査では、昨年の実績で、就職活動をする学生の半分


(理系院生インターンは採用選考に密接連結)
 内容は何かというと、理系の院生の場合、1週間、10日、中には2
週間くらいの期間をかけて、会社の研究所などに毎日来てもらい、学生
に研究のテーマを与え、研究をしてもらい、最終日近くに研究結果を発
表してもらう。

 文系の学生の場合、こんなに長くなく、1日とか、数日で、内容は、

て学生にグループで議論をしてもらい、その結果を発表するというもの
が一般的である。

 企業は大学への配慮の手前、採用にはまったく関係なく、会社や働く
ということを知ってもらうためということを言っているが、特に理系の
院生の場合、長く社内に留まり、社員とやりとりをしながら、テーマを
与えて研究をしてもらい、結果発表までしているので、面接・選考より
も、遥かに濃密に学生と接するし、学生がどういう人かよくわかる。

 学生たちの話を聞くと、特に理系の院生の場合、インターンシップが
終わった後、12月、1月、2月くらいの採用選考の時期になると、イ
ンターンシップに参加した企業から連絡が来て、会社の選考を受けるよ
うに促され、行ってみると、人事部の部課長が対応し、次に会社に行く
と最終面接の場が設定されていて、合格・内定という例が少なくない。

 文系の学生はここまでは行かないが、少なくても企業の人と親しくや
りとりをするので、企業は学生がよく理解できるし、学生も企業の印象
がよければ、本番の採用選考を受ける大きなモーティベーションになる
のは当然である。

(リクナビは3年の6月から利用開始)
 インターンシップ、セミナーとは別に、就職情報会社が主催する合同
説明会や、大学の学内セミナーが9月、10月から始まる。これはまさ
に自社を説明し、学生に理解をしてもらうという内容で、企業説明会が
学部生なら3年の秋から開始されているのである。

 今の学生は就職活動で企業情報をどこから得て、企業の説明会などに
予約をしているかというと、リクルートが作っているリクナビというネ
ット上のサイトからである。リクナビ以外にも、マイナビや日経ナビな
どがあるが、リクナビのシェアは9割を超えていて、ダントツの利用率
である。

 このリクナビは10月1日にオープンし、何千社という会社がリクル
ートに数百万円の利用料を支払って、リクナビ上に自社のサイトを掲載
させてもらう。学生はこれを見て、企業の情報を得て、説明会の予約な
どを行うのである。

 そして、近年、文系を含めた多くの学生がインターンシップやセミナ
―に参加するようになってきたので、インターンシップ用のページがリ
クナビ上にできてきた。こちらは夏休みのインターンシップ、セミナー
の予約に間に合うように6月オープンである。つまり、大学生は3年の
6月から就職活動を開始しているというのが現状なのである。

(内定出しは4年の4月、5月が山場)
 実際に会社が会社説明会と明記して、会社の説明を始めるのは3年生
の秋の11月、12月からである。この会社説明会が多くの企業の場合、
3月くらいまで続く。そして、面接や選考は早い会社は11月位から、
遅い会社でも、実質的に2月、3月から始まり、4月から5月の連休明
けにかけて、各社は内定を出していく。

 秋採用をする会社もあるし、採用が多く、学生を確保できない会社は
5月以降も採用活動を続けるが、大半の主要企業の採用活動は5月、遅
くても6月に実質的に終了し、それ以降は辞退者などの補充の採用活動
である。

 選考、内定がいつに時期かというと、数年前までは、理系の院生対象
は秋から12月、1月までで、文系の学部生対象は多くの会社で、2月
から4月にかけてだった。しかし、数年前から国立大学協会から経団連
などに時期を遅くするようにという申し入れがあったため、ここ2年程
は理系の院生の採用活動が大幅に遅くなり、文系の学生の時期と重なっ
てきた。

 選考は4月1日以前には行わないようにという話があるので、ここ1、
2年は、実質選考は2月、3月に行っても、内定は4月1日以降という
会社が増えてきた。ただ、これは経団連加盟企業に対する経団連として
のガイドラインなので、加盟していない企業も多いし、外資系企業はほ
とんど加盟していないので、2月、3月に内定を出す会社も少なくない。

(多くの企業が採用するリクルーター制度)
 そして、経団連加盟企業、大手企業だが、こうした会社は本音と建前
をきれいに使い分けている。ガイドライン上は4月1日以前には選考が
できない建前になっているが、それまで何もしないと、よい学生は他社
にとられてしまう。でも、立場上、ガイドラインを守らないといけない。
その本音から出たのが、リクルーター制度であり、上記、セミナー、イ
ンターンシップである。

 セミナー、インターンシップの話は上に説明したが、リクルーター制
度というのは、入社2、3年から5、6年の若手社員に、自分の大学の
後輩にコンタクトをとらせ、個別に食事をしたり、お茶を飲んだりして
会い、実質選考をする制度である。

 リクルーター制度は採用数の多い、大手銀行から始まったが、今は、
メーカーでも多くの企業が採用している。若手の社員は自分の出身大学
を中心に後輩に会い、よい学生がいれば、人事に報告する。リクルータ
―が3回会い、それで合格なら、次は人事の部課長の面接であり、その
次は最終面接である。

 若手社員は学生と接触し、よい学生を人事にあげてくることが仕事で、
この時期、本来の仕事はしない。よい学生をあげてくるかどうかが査定
で賞与に連動するから、本人たちも必死である。

 昨年、学生を面接していて、実際に学生から聞いた話では、リクルー
ターと2月、3月に接触し、人事の人とも会い、最終面接が4月1日で、
その日に大手銀行や生保から内定を得たという学生が何人もいた。

 また、面接で会った一橋大の男子学生は会社の説明会には一切参加し
ていなくて、5社で最終面接まで進んでいると言った。彼に話を聞くと、
一橋大生になると、リクルーターからの連絡が降るように来るので、待
っていれば、企業から連絡があり、選考が進むので、あえて企業の説明
会に行く必要がないと話していた。

(学生はのんびり卒業旅行ができなくなる)
 こうした現状の中で、大企業が内定出しを4年の8月以降にずらすと、
何が起きるかである。3年の夏から秋にかけてのインターシップやセミ
ナーがなくなるとは思えない。4年の夏から秋にかけてでは遅すぎるか
らである。つまり、学生の就職活動はリクナビのインターシップ用のサ
イトがオープンになる3年生の6月から始まる。

 そして、3年の夏から秋にかけて、インターシップやセミナーに参加
する。企業説明会は現在の11月、12月からというのは少し遅くなる
だろうが、それでも、3年の終わりの時期の2月、3月には始まると思
う。そして、この時期からリクルーターが跋扈し、実質選考は春になり、
形式的な内定出しが8月という感じになる可能性が高い。

 つまり、大学生の立場に立つと、3年生の6月から就職活動が始まり、
終了は1年以上先の4年の8月である。現在の大学生は4月、5月に就
職活動を終え、4年の夏休みはのんびりと卒業旅行とばかりに多くの学
生が旅行をする。海外に行く学生も多い。ゆっくり実家に帰省する人も
多い。

 しかし、2013年4月入社の学生からは、大学生は3年と、4年の
夏休みをともに就職活動にあてないといけなくなり、旅行や帰省どころ
ではなくなってくるのは必至である。

 リクルーターは会社の仕事をしないで、よい学生を探す作業である。
人員の多く、余裕のある大企業はリクルーターを使えるが、中堅の会社
では、それは当然、できない。つまり、採用活動時期を遅くすることは
採用戦線で、大企業が本音と建前を使い分け、好き勝手をし、中小企業
は決定的に不利になるということでもある。

 就職活動については、社会問題化をしたということで、この問題に関
与していない多くの評論家、識者、学者、マスコミなどが好き勝手なこ
とを言っている。しかし、そのほとんどが実態を知らない、ナンセンス
な議論である。採用を遅らせろという国立大学協会の申し入れ自体が一
番ナンセンスなのである。

 筆者はずっと言っている。就職戦線の混乱をなくすのは簡単だ。それ
も大学側の行動だけで、問題は解決する。それは大学生にきちんと成績
をつけ、点数が届かない大学生は落第させることである。学生と面接し
ていて、大学からお情けで卒業という学生が有名大学で3分の1以上い
る。彼らを落第させると、企業は怖くて、早期採用活動などできなくな
る。卒業間際の2月、3月に採用活動を行うようになるのは必至である。





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Last updated  2010.11.05 10:52:46
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