SF拡張の原理

SF拡張の原理

2009.06.26
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カテゴリ: SF

多聞寺討伐

光瀬龍「多聞寺討伐」
時代SF短編集。文体や内容が独特なので、はじめはとっつきにくいが、作品のパターンをいったん把握すると、けっこう面白く読める。SF的なアイデア自体はエイリアンや時間旅行者など、極めてありふれた基本的なものであるが、それを徹底的に古風な時代小説の文体やキャラクター設定で描いている異質感がたまらない。
「追う」★★★
一読目、よく意味が分からず★1/2評価だったが、1冊通読後に再読して評価が上がった。滝沢馬琴の作品にSF的解釈を施し、同心の視点から時間犯罪者と時間局員の捕り物劇を描いた作品。徹底的に同心の視点から捕り物小説の文体で描かれているのがユニーク。
「弘安4年」★★1/2
元寇と神風の真相を、放射性物質を含んだ刀の鞘をめぐる武士と時間旅行者の交渉を軸に描いている。一読後、再読したがやはり凡作だと思った。
「雑司ケ谷めくらまし」★★★
平賀源内の時間犯罪を同心が摘発する話。完全に捕り物帳の文体。
「餌鳥夜草子」★★★★

「多聞寺討伐」★★★★1/2
寺を占拠し地域を陰で操る時間犯罪者と、町人に化けてこれを追う
時間局員との派手な戦闘を描いたアクション時代SF。独特の味のある文体と、次々と繰り出される珍妙な兵器(時空を捻じ曲げ、テレパシーで人々の知覚まで惑わす)により繰り広げられる派手でシュールな戦闘が圧巻。時代SF版ワイドスクリーンバロックという感じ。首を切られて自分の首を片付ける男の真相の説明がなかったり、全部の伏線を回収していないのがかえってシュールで怖い。さすが表題作だけあって傑作。
「紺屋町御用聞異聞」★★★★
時間局員に対する抜き打ち検査の話。叙述トリックを用いた構成、シュールなどんでん返し、エロチックなネタと、つぼを心得た見事な短編。
「大江戸打首異聞」★★★1/2
単行本初収録。首を切られた罪人が自分の首を抱えて逃げる。その真相とは? オチは予想の範疇だが、普通に面白い。
「三浦縦横斎異聞」★★★1/2
宿敵に再戦を挑んだ剣士をエイリアンが助ける話。SFオチ抜きで、普通の剣豪小説として読んでも面白い。
「瑞聖寺異聞」★★★1/2
天竺から返された男、異人から贈られた妻にかかわる古典作品をSF解釈した作品。普通に面白い。

古典に記された未確認飛行物体をSF解釈した作品。
「歌麿さま参る」★★★★
現代に歌麿の新作を売りに来た男の謎を追って、時間局員3人組が江戸時代に調査に行く。酷い俗物に描写されている喜多川歌麿のくだりが抜群に面白い。その歌麿にヒロインがレイプされちゃうというのがまた斬新でエロイ。なんとも独特の作品。





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Last updated  2009.06.26 22:03:37


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