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2024.11.25
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テーマ: 読書日記(1760)
カテゴリ: 読書感想



カフカ断片集 海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ (新潮文庫) [ フランツ・カフカ ]


シナモちゅんに刺さる断片は7つ。
① 〔救い〕
 隠れ場所は無数にあるが、救いはひとつしかない。
 しかし、救いの可能性は、隠れ場所の数だけある。
② 〔特権を維持〕
 抑圧されている者たちに対して、特権を持つ者たちは、その責任を果たすと言って配慮してみせるが、しかしその配慮こそ、特権を維持するためのものにほかならないのだ。
③ 〔世界の素顔〕
 家の外に出なければ、などということはない。
 机にすわって、耳をすませるのだ。
 いや、耳をすませることさえ、してはいけない。
 ただ、待っているのだ。
 いや、待つことさえ、してはいけない。
 じっと静かに、ひとりきりでいるのだ。
 すると、世界が素顔をのぞかせる。
 そうしないではいられないのだ。
 おまえの前で、うっとりと身をくねらせる。
④ 〔どこかにある〕
 それはどこにあるのだろう?
 わたしにはわからない。
 そこではだれもが、お互いを認め合い、やさしく混じり合っている。
 わたしには、そういうところがどこかにある、ということがわかっている。それどころか、見えてさえいる。
 しかし、どこにあるのかはわからないし、そこに近づくこともできない。
⑤ 〔せめて〕
 せめて、ひと言だけ。
 せめて、ひとつのお願いだけ。
 せめて、空気の動きだけ。
 せめて、あなたがまだ生きていて、待ってくれているという証拠だけ。
 いや、お願いはいらない。せめて、息づかいだけ。
 いや、息づかいもいらない。せめて、心の準備だけ。
 いや、心の準備もいらない。せめて、思うだけ。
 いや、思いもいらない。せめて、やすらかな眠りを。
⑥ 〔自殺者〕
 自殺者とは、監獄の中庭に絞首台が立てられたのを見て、あれは自分のための絞首台だとかんちがいして、夜中に独房から抜け出し、庭におりて、自分で首をつる囚人のようなものだ。
⑦ 解説より(友人への手紙のなかの言葉)
 自分の城の中にある、自分でもまだ知らない広間。
 それを開く鍵のような働きが、多くの本にはある。

どれも、真実を言い得て妙。








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最終更新日  2024.11.25 21:51:34
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