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2019年09月12日

子どもの頃、野良猫を追いかけて袋小路に追い詰めたら、猫はこちらに向き直り牙をむいて毛を逆立てました。
急に怖くなって逃げたのを覚えています。
まさに「窮鼠（きゅうそ）猫を噛む」の猫・人版です。
私も猫も緊急事態、交感神経がマックスだったわけです。

太極拳を戦いに使うなら、太極拳とはいえ、交感神経優位状態（緊張状態）でなければ戦えません。
お風呂につかっているような副交感神経優位（リラックス状態）での戦いは無理だからです。

ところが、どんなスポーツでも舞踊でも書道でも、ガチガチに固まった身体ではうまく動けないし長続きしません。
緊張状態の中でありながら無駄な力を抜く必要があります。

その本質を味わうために、一定の緊張感はたもちつつ、戦うという目的も捨てて副交感神経優位な状態にしようというわけです。

しかも、相手の力に力で対抗すれば、ただの力勝負になるだけでつまらないから、もっと工夫しようという用意不用力（意識を用いて力は使わない）という発想です。
さらに捨己従人（自分を捨てて相手に従う）で、後発先至（相手が動いたら反応するがこちらの攻撃が先に届く）というのですから徹底しています。
まあ、実際に勝てるかどうかは非常に疑問ですが、この考え方は面白いです。

柔らかくゆったりしてバランス良く合理的で効率的な動きを求めることになりますから、間違いなく健康に結びつくのでしょう。
とはいえ、多誤捨近求遠（近くを捨てて遠くを求めてると間違えるよ）と言われます。
常に今ここからの一歩が大切なんだと。
たしかに、力が抜けたと思っても、さらにその奥があるんだなと気づく歩みでもあります。