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2022年01月30日

（つづき）

…では「勁力」と「普通の力」の違いは何でしょう。

ここで「気」を持ち出すと、分かったような分からないような世界に陥ります。
「気」を否定するわけではもちろんありませんが、「気」の定義が明確でないからです。

また「理屈ではなく、勁力は、ただの力と違って強い。ほんとにすごい」と言う人もいます。

しかし、1kgを動かす力は、勁力だろうと力だろうと同じです。
1kgの力で押して動かない物は、1kgの勁力でも動くわけがありません。
あたりまえ～それを否定されると困ってしまいます

。

それは、相手は物ではなく人ということです。

安定している人は1kgで動かなくても、浮ついていたり重心が偏っている同じ体重の人なら1kgでも動くということがあるわけです。
心理的な影響もあります。
大げさに「今から押すぞ」という雰囲気で動作をすれば、相手は身構えて動かないように力を入れるでしょう。
反対に、もし、ふわーっと押されることを感じさせないで押すことができれば「知らないうちに押されちゃった」ということもあります。
ときには指を指しただけで、動いてしまうこともあります。

相手の状況があっての勁力です。
勁力は「普通の力とは違う」と言っても基本は筋力です。
ただ、その筋力（勁力）は、意識がともない全身の筋肉が全部つながって協力して（ときには時間差協力して）の力だろうと思います。

体の中は元々つながっていますが、私たちは、腰とつながる必要なく手を動かすこともできるし、つなげたくても肩が力んでしまえば、力は肩で途切れてしまいます。
野球やラケット競技なら腰の入らない手打ちになってしまいます。

腕力が腕の力なら、勁力は全身力とでも言えるような違いだろうと考えています。
全身の筋肉が総動員されれば強い力が出るだろうことは想像できます。

太極拳は、表層の筋肉（アウターマッスル）だけでなくインナーマッスル（深層筋）も使っている（感じがする）ので健康にはいいはずですよね。

例えば、太極拳の動作の中で、肩胛骨の間の奥の筋肉の働きを感じますし、下半身はお腹の奥や骨盤・股関節まわりの筋肉が使われている感覚が、緩んでくると分かってきます。
これが分かってくるとまた太極拳が面白くなってきます。

さらに日常の生活で身につけている無意識的なバリア（心の鎧）も解放する必要がありそうです。
自分の体のどこで力のつながりが滞っているか、どこが緩んでいないか、意識はどう影響しているかを、発見し理解し解決していく…これが、結果的に勁力理解の第一歩につながっているのかなと思います。

ふう