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カテゴリ: オリジナル小説
 先日エウリアの元を尋ねてから、ヴィシュヌは不快感を抱えながら過ごしていた。シヴァもエウリアも何を考えているのか自分にはわからない。
 そして今日、まったく想定外のことを目の前にいるクヴェーラに聞かされる。
「・・・なんで・・・。」
 ヴィシュヌは自分がある程度わがままを許される立場だと自覚している。だから自分に従うしかない相手には無茶を言ったりわがままを通そうなどと思っていないつもりでいる。
 だが、とりあえずは友人であるシヴァやエウリアが自分の考えにまったく合わないことを腹立たしく思う。自分の気持ちをいつまでも気付かないシヴァには焦れながらもいつか想いが通じればと思う半分、年も立場も近い友人としていつもともにありたいとも思う。
 他の誰かとことなら適当に流していける。だが、ずっと心を許してきたシヴァとずっとライバルだと思っていたエウリアにだけは自分に隠し事などしないと信じていた。
「・・・ヴィシュヌが知らないとは・・・。」
 呆然としているヴィシュヌに言ってはまずい内容だったのかとクヴェーラは困惑している。
「・・・いや、いいんだ。クヴェーラ、今日はもう帰るよ。」

 久々に会議にでて、上やら下やらに小言を言われながらも何とか一日を我慢して過ごした。そして、クヴェーラから他愛もない世間話をして・・・。
 今日の会議にはシヴァは来ていなかった。シヴァも自分と同じでかなりのサボリ魔だから気にしていなかった。
「・・・まさか、こんなことになってるなんてな。」
 誰に言うでもなく呟く。エウリアはこのことを知っているんだろうか?知っていてこの間の諦めたような態度だったのだろうか?
 また、エウリアの元を尋ねる気にはならなくてそのまま自分の城に帰る。
 どの道、もう自分も諦めるしかないのだと絶望的な気持ちでいた。

 今日も<闇の神殿>に訪れる数少ないうちの一人が来ていた。
 エウリアは一人でいることを好んではいるがこの相手だけは訪れを素直に喜ぶ。だが、今日は表にこそ出していないが少し不愉快な気分でいた。
「・・・何を言われても私には関係ありませんわ。」
「・・・まぁ、そうだろうな。だが、あれはだめだ。」
「・・・インドラ様?」

「ヴィシュヌのことは措いておいても、おそらく破滅に向かう。」 
 インドラは出された茶を引き寄せ、呟くように話す。
「・・・それが選んだ道ならば詮無いことです。」
 すべてを諦めているようですべてを悟っているような、そんな瞳でインドラを見つめる。
「先がどうなるかで動く人ではないでしょう。」

 インドラは目の前の儚げな様で芯のしっかりしている女を哀れに思っている。彼女はヤマ神のところで出合った時から何一つ欲しようとしない、ただ穏かにいる。
 それが役割で天命だと笑った顔を今でも鮮明に覚えている。
 あれから与えられた役割をそのまま受け、ヤマ神からルドラ神の元に移り、シヴァの元へ。そして今、神界と人間界の狭間のこの神殿で自信の立場をひたすら守っている。
「・・・あの方たちに出合った時から覚悟は出来ています。出会いは必然。私にはすべて最初から決められていたこと・・・。」
 そう、遠くを見つめて呟く。
「変えられるやも知れない未来でもそのまま受け入れるのか?」
「・・・変えてもいずれ同じ道に繋がっていく・・・そういうものなのでしょう?」
 せめて、言葉でだけでも安らぎを与えてやれるならどれほどましだろう。エウリアに嘘やごまかしは効かない。
「・・・インドラ様、愛を侮ってはいけません。痛い目を見ましてよ。」
 インドラの苦悩に気付いてか軽い口調で笑顔を向ける。
 そんな様子に苦笑して答える。
「どうせ分っている未来なら変えられるといいのにな。」
「人の本気がすぐには変えられないのと同じなのですわ。」
 先ほど自分の分も煎れた茶をエウリアも口元に運ぶ。
「そうだな・・・。」
 インドラはまだ若い後輩達を思い浮かべた。

 そうして、周りの心配や苦悩をよそに一年がすぎた。





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Last updated  2005/11/25 10:52:14 PM
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