寺山修司倶楽部

寺山修司倶楽部

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

shuutera

shuutera

Calendar

Comments

今野寿美@ Re:青森県 昭和の文人 文化人(05/09) 10月6日(2024年)世田谷区経堂図書館・主催…
モカ珈琲は 苦し@ 5月4日は寺山修司の命日 逢わぬ日は胸に満たらぬ思いあり 哀しから…
日本経済新聞・石鍋仁美@ 寺山修司の2つの顔 って?? NIKKEI TheSTYLE日経紙(2024.2.18)日曜版…
三上博史@ 紀伊国屋ホール 俳優の三上博史の主演舞台「三上博史 歌劇…
日生 劇場@ テラヤマキャバレー 寺山が死ぬ前夜、寺山の前に“死”という人…
2015.10.22
XML
母と同じ屋根の下  (産経新聞2015.10.27「産経抄」)


 「私は、母と同じ屋根の下で暮らした記憶をほとんど持っていない」。寺山修司は、自伝抄『消しゴム』に書いている。13歳のとき、九州・芦屋の米軍基地に出稼ぎに出る母を、青森駅で見送った。

 ▼2人で夜鳴きそばをすすっていると、美空ひばりの「悲しき口笛」が聞こえていた。♪いつかまた逢(あ)う指切りで 笑いながらに別れたが…「それが私と母の生きわかれの唄になった」という。

 ▼8歳の少年には、母と指切りする暇(いとま)も与えられなかった。平成7年9月、母は、目の前で警察に任意同行されて、帰らなかった。その2カ月前、大阪市東住吉区の自宅から火が出て、11歳の姉が亡くなったばかりである。

 ▼母は、自宅に放火して長女を焼死させたとして、内縁の夫とともに殺人の容疑などで逮捕された。裁判では、無期懲役が確定する。少年は、何が起きているのかわからないまま、母方の祖父母に引き取られた。

 ▼〈母もつひに土となりたり丘の墓去りがたくして木の実を拾ふ〉。いかにも虚構に生きた寺山らしい。すでに高校1年のとき、新聞に投稿した短歌のなかで、存命の母を死なせている。少年は、事情を知らない学校の友人から、母親について聞かれるたびに、「遠いところにいる」などとはぐらかすのが常だった。世間の好奇な目から、母と自分の身を守るために、編み出した知恵だった。心の奥底では、母の無実を信じていた。

 ▼大阪高裁は先週、自然に発火した「具体的可能性がある」として、2人の再審開始を認めた。2人は刑の執行停止を受けて、昨日の午後、和歌山と大分の刑務所から釈放された。少年は29歳の社会人になっている。51歳の母と20年ぶりに同じ屋根の下で過ごして、どんな会話をかわしたのだろう。



【送料無料】 寺山修司著作集 4 自叙伝・青春論・幸福論 / 寺山修司 【全集】






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2015.10.29 01:23:54
コメントを書く
[寺山修司 天井桟敷] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: