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2003年07月18日
嫌な世の中だけれど希望はあるサ
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犯人は「異常者」「怪物」「極刑に処して抹殺すべきもの」と言われ、それで人々は自分の心に決着をつけ、心の平安を保とうとする。
「犯人は特別な存在だ。自分とは関係がない。世の中の悪者は一人残らず始末してくれ。そうでないと私が困る。悪者を退治することのできないやつらは無能だ。なんとかしろ!」
でも、それは違うぞと私は思う。
怪物は自分たちの中にもいる。犯人は怪物ではなく、人間だからだ。
繰り返そう。「怪物は自分たちの中にいる」という認識に立たなければ、今後、何も変わらないだろう。同じようなことが繰り返されるだけだ。
罪を犯さず、真っ当な社会人として生きていくことのできる人は、自分の中の「怪物」をうまく飼い馴らすことができる。それはとても重要なことだ。
ときには「怪物」の本性が表に出そうになったり、少しだけ出てしまうことがあるけれども、自分でコントロールでき、「怪物」のいる「向こう側の世界」から戻ってくることができる。だから大丈夫だ。自分でコントロールできるということが、とても重要なことだ。
でも、子供はコントロールが効かない。怪物のいる「向こう側の世界」から戻って来れない。
コントロールの方法を教えるのが親であり、学校であり、地域であり、社会である。
長崎の事件を起こした少年を、孤独にしてはいけなかった。彼は、マンションの1階でひとりぽつんと椅子に座っている姿をしばしば目撃され、近所の人たちに「何時ですか?」としつこく尋ねたという。そんな彼に対して、人間としてまともな付き合いができなかった大人にも多少の責任はあるのではないか。
起こってしまったことに対しては何とでも言える。人間の頭脳は、そんなことのために使うものではない。二度と同じようなことを繰り返さないために、使うべきではないだろうか。
少年法を改正せよ!という意見には、私は反対だ。善悪の判断が未成熟で、衝動的に罪を犯してしまう幼い子供たちには、重い刑罰が抑止力になるはずがない。げんにサカキバラ事件以降、適用年齢の引き下げが行われた後も、犯罪の発生件数は減っていないと聞く。
少年の親を市中引き回しにして、打ち首にせよ!と言った大臣や、彼を支持する人々を、私は軽蔑する。少年とその親を憎み、罰するだけでは何も解決しない。
少年とその親を憎み、重い罰を与えようという人は、自分の中の「怪物」と対決するのが怖いのだろう。臆病者め。もしかすると、怪物をコントロールする力が弱いのかもしれない。次に「理解不能」な罪を犯す人間は、むしろこういう人たちの中から出てくるのであろうと私は思う。
だから、「もしかすると、私もあの少年のような子どもに育ててしまうのかもしれない」と震撼した親たちが多いという報道を聞いたとき、ああ、世の中には真っ当な人がまだまだ大勢いるのだ。嫌な世の中だけれども希望はあるサと心底思った。救いを感じた。
私たちは、自分の中の「怪物」とずっと闘っていかねばならない。でも、その闘いは、決して孤独でも無益でもない。みんなで手を携えて一緒に闘えばいいじゃないか。
自分や自分の愛する子どもの中に潜んでいる「怪物」に気づき、おびえを感じる人たちは、決して少数派じゃないと思う。みんなで一緒に「怪物」と闘おう。ひとりで闘おうだなんて、無理しちゃだめ。
駿ちゃんが亡くなった駐車場前に置かれた中学校教師の手紙が話題を呼んでいる。「スタンドプレーだ」「ええかっこしぃ」「いまさら遅い」と批判するムキもあるが、私はこの手紙に希望を見出した。こういう人がいる社会なら、まだまだ生きていく価値があるぞ。仲間がいるぞと思った。
「駿くんのことを、生徒と一緒に語り合いました。命を命と思わない心、自分自身の中にもあるかもしれない邪悪な心と対決していく誓いを交わしました(中略)教師である限り、それを続けます」
自分自身の中にあるかもしれない怪物と対決していくのは、何も教師だけの仕事ではなく、同時代に生きる私たち全員の「人間としての仕事だ」と私は思う。
おまけ。久々にスティーブン・キングの小説が読みたくなったぞっと。
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最終更新日 2003年07月18日 12時14分36秒
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