ライフキャリア総研★主筆の部屋

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2003年09月18日
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●特例制度「中小企業挑戦支援法」の中身
 ~どのようにすれば資本金1円で起業できるか

 資本金が1円でも会社を設立できるよう最低資本金規制を免除する特例制度「中小企業挑戦支援法」(中小企業等が行う新たな事業活動の促進のための中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律)が今年2月から施行されました。詳しい事業計画の提示や、財務内容を公表することを約束し、正式に経済産業省に申請すれば起業できます。

 この特例制度を使って設立された株式会社と有限会社は、それぞれ「確認株式会社」、「確認有限会社」と呼ばれます。

 会社設立の手続き自体は、従来と変わりません。経済産業省への申請手続きがひとつ増えるだけです。申請手続きに必要な書類の様式は、以下の経済産業省のホームページで入手できます。このページで制度の内容を詳しく紹介したパンフレットとQ&A集も見ることができます。

http://www.meti.go.jp/policy/mincap/
経済産業政策局 新規産業室

●特例制度が設けられた背景
 ~だれのため、なんのための制度か

①意欲やアイデアはあるけれども、お金のない人のため制度

 会社を設立するには、有限会社300万円、株式会社1,000万円の最低資本金が法で定められています。事業を起こす意欲やアイデアはあるけれども、資金がないといった人が、より簡単に会社を設立できるようにと、最低資本金規制の例外を認めたのが、この中小企業挑戦支援法です。

②資本金不要論も出ている

 会社経営には、オフィスを借りたり事業に必要な設備を購入する代金(イニシャルコスト)や、月々の事業を運営していくための人件費などの必要経費(ランニングコスト)など、さまざまな費用がかかります。

 もしも資本金として一定の金額が準備されていれば、仮に経営がうまくいかなくなっても、債権者や従業員の保護に活用できるというのが、一定額以上の資本金を求める理由の一つになっています。

けれども、現実にはほとんどの会社は資本金の何十倍もの金額の取引を行っており、資本金だけでは十分な債権者保護につながらないとの指摘もされています。あっても足りないなら、むしろ1円でも同じというわけですね。

その一方で、最近ではIT(情報技術)の発達によって、自宅にパソコン一台を置くだけでビジネスを始めることだって可能です。アイデアしだいで多くの費用をかけなくても事業を運営できるわけで、スモールビジネスにとって、1,000万円とか300万円といった多額の資本金の必要性は薄れているとの指摘もあります。

③落ち込む開業率、高まる廃業率―このままでは日本経済が縮む一方

日本での企業の開業率が大幅に低下しているのも、今回、特例が設けられた背景の一つとなっています。

 開業率とは、事業所数全体に対する新設事業所数の割合であり、1970年代に6%台前後だったのが、2001年には3%程度と半減し、最低資本金規制のない米国に比べ3分の1以下の水準に落ち込んでいます。

 加えて最近では、廃業率が開業率を上回り、企業の数が年々減少して、日本経済の規模を縮小させる一因となっています。

 中小企業や個人商店が廃業を迫られる要因はたくさんあるけれども、開業の壁となる「資金調達」をラクに飛び越えられるような有効な支援策がほとんどないのが現状です。既存の銀行が助けてくれないから、東京都などが中小企業支援専門の銀行を作ろうと言っていますね。

●そもそも最低資本金規制とは
 ~有限会社300万円、株式会社1,000万円になったのは90年から

 特に中小企業の経営体質を強め、取引先や従業員を保護するのが目的でつくられた規制だそうです。

 1990年以前は株式会社は35万円、有限会社は10万円だったけれども、バブル時の実体のないペーパー企業の増加などを背景に、倒産の際の十分な債権者保護を重視する政策に転換し、90年の商法改正で現在の金額に引き上げられました。

 そういえば当時、駆け込み起業が結構増えたし、「女性のための有限会社設立のハウツー」みたいな本のゴーストライターをしたこともありました。

 欧米と比較すると日本の最低資本金は最も高額で、創業者にとって経済的な面だけではなく、心理的な障壁にもなっているとの意見もあるそうです。

 経済産業省の中小企業政策審議会企業制度部会の2003年の調査では、取引先の信用判断の基準として「資本金の大小」と答えた企業は3%に過ぎませんでした。あまり関係ないんですね。

●2月施行から現在までの申請件数5000社超の内訳
 ~大学発ベンチャー、学生起業、脱サラ起業、サラリーマンの週末起業、主婦の起業などさまざま

 経済産業省の発表によると、8月1日の時点では株式会社2132社、有限会社3018社の計5150社が申請し、その中の合計3364社が発足しました。

 業種はコンピューターのソフトウエア開発や、情報サービス関連、コンサルティング事業などが目立ちます。創業資金がさほどかからないスモールビジネスがやはり多いのでしょうね。

 会社を立ち上げた人の事例がいくつか新聞記事に紹介されているのでピックアップしてみましょうか。資本金1円で起業できるといっても、実際には1円よりももう少し高い金額で始める人のほうが多いようです。その理由は次の項目で。

①秋田県本荘市在住のK・Hさん(28歳)
 ~1人でコンピューター関連の総合サービス会社を起業

 顧客が求める会計や見積書製作などのソフトをインターネットや店舗で探し、顧客のパソコンに導入し、使い方を教えるまで一連のサービスを行う。顧客が望めば、その後の保守も引き受ける。

 本社は本荘市の実家に置くが、仕事の拠点はさいたま市。現在は、会社員時代に顧客だった卸業や建設業など約40社のうち、10社ほどをまわる。

 かつて勤務していた会社は、伝票発行機など高価な専用機を売っていたが、実際には、専用機を購入しなくても、パソコンにソフトを導入すれば済む場合が多いという。

 しかし、顧客自身がソフトを探し、導入するのは難しい。それなら知識と技術を持つ自分が、客の求めるソフトを探して導入してあげられれば、と起業に踏み切った。

 Kさんは仙台市の情報専門学校を卒業。派遣社員などとして4年ほど働いた後、埼玉県のOA機器販売会社で約2年半勤務した。今年1月末で退職し、3月20日に会社を設立した。

 もともと起業志向があり、専門学校では経営も学んだ。ただ、起業には資本金が最低300万円必要なので、「お金をため、30代になってから」と考えていた。しかし、昨年末に特例のことを知り、「これなら出来る」と飛びついた。

 ただ、「1円で起業」とはいっても、会社の登記などに20万円程度かかったほか、顧客訪問のために約27万円のバイクを購入したという。

 起業から3カ月間の売り上げは、目標の60万円に対し48万円と、まずまずの結果。今後1年間の目標は300万円だ。年内は1人で頑張り、資金をため、年明けには営業マンを1人雇う計画だという。

 1人だけの会社で、社長としての苦労は多い。「まず経理が大変。どれだけの値段でどこまでサービスするか顧客と折衝するのも大変です」

 将来的には、社員を10人ぐらいまで増やすのが目標だ。ただ、特例を利用した有限会社は、5年後までに資本金を300万円に増やす必要がある。

 Kさんは「ゼロから始めるのは厳しいだろうが、自分には働いていた頃の経験があり、顧客もいる。(有限会社の最低資本金300万円は)いけると思っています」と話している。
(朝日新聞2003.07.23東京地方版より)

②大学発ベンチャーの起業事例

 大学発のベンチャーは、近畿大教授の水産養殖会社(資本金5万円)のほか、豊橋技術科学大の元教授らが環境工学を応用して汚水や廃棄物処理などを研究し、自治体や民間企業に成果を有料で提供したり、コンサルティングに応じる会社(同20万円)を設立した。また、山口大の元教授や獣医師らはペットの体細胞などを凍結保存し、将来的にはクローンづくりも研究する会社(同315万円)を創業した。
(毎日新聞2003.08.16東京夕刊より)

③シルバー起業の事例

 一方、大手電機の半導体関連企業で保守業務を行ってきた技術者が、日本や海外の半導体メーカーから製造装置の保守保全業務を請け負う会社(同200万円)を起こし、環境に配慮したゴルフ場の芝の管理技術を指導する会社(同1円)を設立した61歳の人もいる。
(同上)

●時限措置か完全撤廃か
 ~2005年に予定されている商法改正の際、最低資本金規制を完全撤廃する方針を政府は固めている

●完全撤廃した場合の問題点
 ~仮に倒産した場合、出資者への責任はどうなるのか

●「1円起業」を志す人のためのお役立ちサイト
 ~「起業の顔」はあのボブ・サップ

 ではのちほど。





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最終更新日  2003年09月19日 11時08分52秒


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