近々上映されるドキュメンタリー映画『蟻の兵隊』の主人公である奥村和一さんの半生を描いた聞き書き『私は「蟻の兵隊」だった』(岩波ジュニア新書)を読み始めたら止まらず、イッキ読みしてしまった。
奥村さんは、日本が無条件降伏をした後も中国に残されて国民党軍とともに八路軍(人民解放軍)と戦った山西残留兵のひとり。豊かな鉱物資源の利権を狙う中国人軍閥と、戦犯としての追及を逃れようとする将校たちの思惑に翻弄され、駒として使われた。何も知らずに、純粋に日本の再興を願って黙々とひたむきに戦った兵隊たちは、後世になって自らを「蟻の兵隊」と称した。
残留兵2600人のうち550人が戦死するという凄絶な戦いの中で辛くも生き残り、捕虜収容所で何年か過ごした後で日本へ帰国したとき、彼を待ち受けていたのは「逃亡兵」の扱いだった。山西軍は、指揮官の命令の下、天皇制の護持と国家再興の大義名分を抱いて戦ったのに、日本政府は彼らを「傭兵」と見なし、軍人恩給の対象から外した。
忘れ去られようとしていた山西軍の真実を世に伝えるため、奥村さんは老いてもなお、訴え続ける。
広島の原爆慰霊碑には「安らかに眠って下さい/過ちは繰返しませぬから」と書かれている。その「過ち」の中身がなんだったのか、いまや人々は忘れ去ろうとしているのではないだろうか。
とくに加害者側が重い口を開かない限り、「過ち」の実態は封印されてしまう。
奥村さんは言う。
「私ははじめから人殺しではなかったのです。人を殺すのが正しいとは思っていなかった。しかし兵隊に行けば、人を殺すほど正しいということになっていくわけでしょう。殺される人間は敵だから、殺されるのが当たり前だと。殺されるのが悪いんだという。そういうふうに人間性そのものから変えられていくわけでしょう。戦争とはそういうものなんです。そうでなかったら戦争はできないんです。
イラク戦争にしたって一般の人がどれくらい殺されているか。決して兵隊だけではないのです。破壊されるのも兵舎だけではなくて、一般の家屋なんです。誰がいちばん悲惨な目に遭っているかといったら、そこに住んでいる民衆なんです。それでこれが正しいことなのかどうか、それをみんなで考えてもらいたい」
「制裁」だの「報復」だの、戦争につながりそうな恐ろしい言葉が飛び交っているいまだからこそ、読んでおきたい本、見ておきたい映画です。
この映画に興味のある方は、下記をご参照ください。私も「蟻の兵隊」を応援する一人です。ある雑誌の仕事で監督の池谷薫さんにインタビューさせていただいたのがご縁でした。
「蟻の兵隊」HP
「蟻の兵隊」を観る会blog
良かったら、投票してね!Yahoo!ムービー↓に「ムービー投票」というのがあって、これで上位5位に入ると、TVの「やじうまプラス」で映画を紹介してもらえるのです。右側のカラムの下のほうです。
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