ライフキャリア総研★主筆の部屋

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2007年06月14日
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「エンプロイアビリティー」(雇用され得る能力)という言葉が、少し前までは盛んに使われていました。

 企業や組織の一員として迎えられて「戦力」として機能し、組織に貢献し、自分自身と組織の未来を築いていける能力とでも言いましょうか。

 就職するとき、履歴書や面接の場面では、自分のエンプロイアビリティーを証明し、それが評価されて初めてその会社に採用されるわけです。

「この仕事が好きだから」「御社の成長性にひかれて」「御社なら自分のやりたいことができると思ったので」という自分本位の理屈では、採用されるのは難しい。エンプロイアビリティーは、潜在能力を含めた能力ですから、

「私はこの仕事ができます」
「私は御社に貢献します」
「成果を出せます」

 といった表現で、エンプロイアビリティーが身に備わっていることを証明しなければ、説得力がない。「好き」「やる気がある」ということ以上に、能力、実務経験、適性、自信とその根拠をアピールしなければ、「この人は、わが社の期待に応えてくれる人物だ」という評価にはならないわけです。

 だから、「いまの仕事は好きではない」「耐えられない」「他にもっとやりたいことがあるはずだ」「何が何でもいまの状態から抜け出したい」という理由で会社を辞めても、決して良い結果につながらないでしょう。



 いまの仕事が好きではない、仕事を愛せないから耐えられないという場合、その原因はいくつも考えられます。

個人の側の問題
1)仕事あるいは自分自身に対する認知のあり方が歪んでいる
 (社会人として未熟であるため、あるいはうつ病などの病気があるため)
2)組織に対するコミットメントが不足している
3)その仕事に対する適性や能力がない

組織の側の問題
4)仕事を与えてくれて評価してくれる人=上司との関係がうまくいっていない
5)組織全体の人材育成方法に問題がある

 組織で働く場合は、個人の問題よりも組織の側の問題の要素が大きいでしょう。3)については、会社が客観的に見て「この人なら適性と能力がある」と評価して迎え入れたのだから、会社側の客観的評価とその人自身の自己理解のギャップが問題であるとも言えるでしょう。

 個人か組織かどちらか一方を被害者、加害者と決め付けるのは難しい。お互いのインターフェースというか、相互理解のズレや関係性の障害に真の原因がありそうです。



 個人がガマンしたり、がんばったり、その逆に逃げたり、放り出しても、決していい結果にはならないでしょう。自己犠牲、敵対、逃避という選択は、あまり賢くない。

 話し合いの結果、別れたほうがいいという結論になるかもしれませんが、それはそれでいい。話し合うプロセスで、お互いに誤解を解いたり、自己理解の在り方を改めることができるので、それはそれで意味があり、将来へつながっていくのです。

 ただ、立場の弱い部下が上司に異議申し立てをするには、たいへんな勇気が必要でしょう。その前に、同僚や先輩、他部署に配属された同期入社組などに相談して、味方になってもらえれば、心強いですね。

 組織全体に問題の根があるとしたら、自分ひとりの問題ではないのだから、まわりに理解を求めて、まわりを巻き込んでいかないと、解決は難しいでしょう。

 こんなふうに考えてみると、誰かに助けてもらえる、味方になってもらえる、自分のことをわかってもらって共感してもらえるという能力、ひとことで言うと「愛される能力」が、仕事をしていくうえではいちばん大切なのかもしれません。



 私が最初に勤めた会社を辞めたのは、入社して3年5ヶ月。26歳の誕生日の少し前でした。

 フリーランスとしてやっていく自信は全然なかったし、辞めた当初の月収は10万円にもなりませんでした。零細企業だったので、退職金は確か3万円ぐらい!失業手当は申請しませんでした。フリーとしてやっていくという気持ちは固まっていたから。

 食べていくためには飲食店でのアルバイトでも何でもするから、決して夢をあきらめないぞと思ったものです。

 振り返ってみると、そのとき、「出世払いでいいよ」と物心両面で支えてくれた先輩や友だちがいたからこそ、いまの私があるんだなあと気づきました。

 ああ、なんて恩知らずな私。暑中見舞いをあの人とあの人とあの人に出して、あの人とあの人の消息を調べておかなくては……と思うのでした。

 愛される能力って、どうすれば身につくのでしょう。

 たぶんそれは、自分がだれかの役に立とうとか、だれかを助けてあげようとか、そういう気持ちをつねに持って、そのときできることをやっていく。その積み重ねで、見返りというと直接すぎますが、ギフトのようなかたちで身についていくようなものではないでしょうか。






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最終更新日  2007年06月14日 20時20分12秒
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