昨日の日記のテーマ――「安い人」は安い仕事しかもらえないの続きです。
以下は、「安い人」にありがちな思考パターンの一例で、ある転職関係のコミュニティの書き込みから拾ってきてリライトした文章です。
聞いたところによると、医療事務の資格が無くても採ってくれるところもあるみたいだし、それならとりあえず転職して仕事を通じて実務を学んでから資格を取ろうなどと考えています。
でも、資格がないと採用されても最初は給料が低くて、一人暮らしができないのではないかと心配です。資格を取れば、給料が上がるのでしょうか。どなたか教えてください」
ここには、誤った思い込みが多々含まれているので、まずはそれを正していきましょう。
1)医療事務――ひとくちに医療事務といっても仕事の幅が広く、勤務先の医療機関の規模の大小や性質によって内容が異なります。
2) 安定している――昨今では病院でも倒産あり、公的病院の民営化あり、リストラありで、一概に安定しているとは言えませんね。
3)残業もさほどなく――医療事務の仕事の中心は、診療報酬請求業務であり、請求先に請求書を送る締め切りが毎月あるため、その数日前が仕事のヤマ場であり、締め切りに間に合わせるために残業になる場合もあるようです。
4)会社よりも待遇がいい――比べる相手によりますね。大企業の事務職員よりは安いかもしれないけれど、中小企業の事務職員と同じか、大きな病院の正規職員であれば若干よいかもしれません。
5)将来性――病院のすべてに将来性があるわけではなく、経営者によりますね。
6)医療事務の資格がなくても採ってくれるところがある――そういう例は、あまり多くありません。資格も実務経験もない人は採用されるのが難しい。たとえ採用されても給料は非常に低いレベルであり、非正規職員の扱いになるでしょう。資格か実務経験のどちらかがあれば、もっと条件は良くなります。
7)資格がないと採用されても最初は給料が低い――そのとおりです。
8)資格を取れば給料が上がる――上がらないでしょう。
以上で「間違い探し」は終わり。でも、「間違い探し」だけしたのでは、相談している本人は「やさしくない」「きびしい」「冷たい」と思うでしょうね。そして、「間違い探し」だけでは、正しい決断へは導かれないでしょう。
実際、この質問に対するコミュニティのメンバーの対応はというと、だいたい以上のような「間違い」の指摘が並んでいました。それを読んだ上での、質問した本人の結論は、「それなら、一般企業に転職したほうが賢いかも」でした。
この結論は、明らかに間違っていますね。
「安い人」の思考パターンは、ひとことで言うと「浅はか」です。このように、誰かの発言や何かの事象を「額面どおりに受け取る」だけで、「なぜそうなるのか?」と自分のアタマを使って考えようとしない。非常に依存的です。
「なぜそうなるか?」を自分で考え、答えを求めていくことによって、「そうならないための方法」、「よりよくするための方法」が必ず見つかります。
「間違い探し」ではなく、「解決策探し」に切り替えて、以上の8項目を再検討してみましょう。
1)医療事務――詳しい仕事の内容と、どのような能力が必要とされるかについて、自分で調べてみましょう。診療報酬請求事務に関する知識がなければ医療事務の仕事はできないので、最低限、この知識は必要で、他にパソコンの操作能力、秘書実務能力、接遇のスキルとマナーもあったほうがいいでしょう。また、この仕事を長く続けようと思うのであれば、苦情処理、リスクマネジメント、コンプライアンス、医療メディエーター、患者満足度の向上といった分野についても調べておきましょう。
2)安定している――安定するかどうかは経営者しだいですが、もっといえば、その病院で働く職員の質にも左右されます。優秀な職員の集まる病院に就職したければ、自分が「優秀になる」ことが先決です。では、「優秀な医療事務職員」とは、どのような人のことを指すのでしょうか。そのことについて、考えてみましょう。
3)残業もさほどなく――仕事の進め方によって、残業になるかならないかは違ってきます。個人単位でいえば、業務に熟達していること、要領がいいこと、優先順位を考えて処理できることなどの条件を満たせる人は、残業にならずに済むでしょう。ただ、どんなに個人が優れていても、上司による仕事の割り振りや、チームワーク、労働環境がうまくいっていないと、残業になるケースもありますね。この問題を解決するには、上手に異議申し立てができる(アサーティブネス)、協調性、コンピュータリテラシー、ストレス耐性、創意工夫の改善活動などが必要でしょう。また、それ以前の問題として、適正な労働時間と処遇に関する最低限の法律知識が必要です。
4)会社よりも待遇がいい――医療事務職員の賃金相場を自分で調べてみましょう。10件とか20件ぐらいの求人広告(求人票)を集めてきて、モデル賃金や初任給を比較検討してみましょう。求人には波があるので、長年、医療事務系の求人を扱っているベテランの相談員に相談してみるといいでしょう。
5)将来性――病院の将来性をうんぬんする以前に、自分のキャリアプランを明確にし、プランを確実に実行するためのスキルアップを怠りなく。そうでなければ、低賃金の不安定就労をえんえんと続ける生活になってしまうリスクがあります。いわゆるワーキングプアですね。
6)医療事務の資格がなくても――未経験者で資格がなければ、医療事務の仕事について何にもわからないということですね。何もわからない人は、雑用程度の仕事しか与えてもらえないので、当然、低賃金の不安定就労になってしまいます。わからなければ、だれかに教えてもらうか、自分で勉強するかでしょう。親切に教えてくれる人ばかりとは限りませんし、教えてもらうということは、相手の業務を中断させてしまうわけで、迷惑になりますね。自分でしっかり勉強し、責任を果たせるレベルに到達することが先ですね。
7)資格がないと採用されても最初は給料が低い――ですから、経験のない人は、まずは資格を取るべきですね。
8)資格を取れば給料が上がる――上がらないので、じゃあ、どうすれば給料が上がるのか、考えてみましょう。給料が上がる仕組みは、年功序列型か、成果主義型かによって異なります。病院の場合は、公務員の賃金体系に準じているところが多いので、大半が年功序列型でしょうね。ただ、最近は目標管理と成果給を取り入れる医療機関も増えてきました。
年功序列型の組織で給料を上げていくには、まずは正規職員になること、次に地道に勤続年数を増やしていくこと、管理職になる(職位を上げていく)ことですね。管理職を目指す気持ちがあるかどうかで日々の仕事への取り組み姿勢が異なり、そこから引き出されてくる成果も違ってきますね。
以上に挙げたような思考方法を推し進め、問題解決のための行動を積み重ねていくと、「安い人」も「高い人」に変わっていくはずです。
お試しください。
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