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開催日:2021.11.7(日) 14:00開演
場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ大ホール(1,650名収容→半減)
新国立劇場バレエ団 白鳥の湖<新制作>に行ってきました。
プログラム
第1幕/城の中庭
第2幕/月明かりの湖畔
第3幕/舞踏会
第4幕/湖にて
キャスト
オデット/オディール 米沢 唯
ジークフリード王子 福岡 雄大
ロットバルト男爵 中塚 正博
レポート
第1幕
公演リーフレットよりあらすじ
先王である父の死後、王子ジークフリードは新たな王として戴冠し、結婚することが求められていた。彼はそれまでの自由を失うことを恐れ、愛してもいない結婚相手を選ぶことにためらいを感じていた。ジークフリード21歳の誕生日の夜、彼に弓矢のプレゼントを贈るために宮廷の友人たちが集った。友人でもある侍従ベンノがジークフリードの気晴らしのために催した宴の真最中に、王妃である母が現れる。宮廷がまだ喪に服している中での大騒ぎにショックを受けた、翌日には花嫁を選ばなくてはいけないと王子に告げ、意気消沈した彼をその場に残して立ち去る。ベンノはジークフリードを元気づけようと、友人たちと未来の王位継承を祝って祝杯のダンスを踊る。友人たちが帰っていった後、白鳥の一群が空を渡っていく。ベンノはジークフリードにプレゼントの弓矢を試すように促し、二人は白鳥たちを追っていく。
→宮廷の中庭での様子が描かれたステージですが、あらすじに従って展開される演奏とバレエが見事と感じました。第1幕の終わりに、あの有名な部分が演奏され、これが白鳥の湖なのだなととても感慨深かったです。
第2幕
湖岸に着いたジークフリード王子は、ベンノに白鳥を探しに行かせる。一人残った王子は、そこに魔術師ロットバルト男爵の邪悪な存在を感じとる。突然一羽の白鳥が舞い降りてくる。そして王子が驚き見つめるなか、美しい乙女に姿を変える。その若い娘こそオデット姫であった。オデットと彼女の仲間たちはロットバルトによって白鳥の姿に変えられ、夜の間だけは人間の姿に戻れるのた。オデットにかけられた魔法は、まだ恋をしたことのない者が彼女に永遠の愛を誓い、結婚の約束をすることで、解くことができるという。ジークフリードはオデットへの永遠に続く真実の愛を誓う。姿を現したロックバルトにジークフリードが矢を向けるが、オデットはそれを遮り、魔術師が死ぬと、魔法の呪いは永久に解けなくなると話す。さらにオデットは、もしジークフリードが愛の誓いを破るようなことがあったら、彼女は永遠に白鳥の姿でいなくてはならないと伝える。やがて夜明けが訪れ、オデットと仲間たちは白鳥の姿に戻り、湖へと帰っていく。
→2幕の始まりは、スタートから白鳥の湖の有名な調べがじっくりと演奏されてから、しばらくしてオデットが颯爽と登場。オデットとジークフリード王子との幸せなひとときが描かれるという感じがありました。
第3幕
翌日、壮麗なレセプションには、ジークフリード王子の結婚相手の候補として3人の王女が招かれていた。3人の王女たちはそれぞれジークフリードのために踊りを披露するが、彼は心ここにあらずの様子で、花嫁を選ぶことを断わってしまう。ファンファーレが鳴り響き、予定されていなかった客人の到来を告げる。それは使節に身を扮したロットバルトと、魔法でオデットそっくりに姿を変えた、彼の娘オディールだった。王子は驚くほどオデットに似たこの見知らぬ客人に心奪われ、やがてこの女性が白鳥の姫だと信じ込んでしまう。王子がオディールと踊っているところへオデットの幻影が現れ、彼の誓いを忘れないでと懇願するが、魔法にさえぎられて王子は気がつかない。オディールにすっかり心を奪われた王子は、彼女に結婚を申し込み、ロットバルトはその愛を誓わせる。オディールへの愛を誓った、その瞬間にオデットが窓の外に姿を現す。しかし時すでに遅く、ジークフリードはオディールに誓いを立ててしまった後だった。宮廷は混乱に陥り、王子は絶望にかられ恋人のもとへ走り出て行く。
→3人の王女の舞いが披露された後、黒装束をまとったオディールが登場。白鳥の湖では、オデットとオディールは同一人物が演じることになっており、プリンシバルの米沢唯氏のその見事な演技分けにも釘付けとなりました。またオデットの幻影が現れる場面もとても効果的に演出されていました。
第4幕
打ちひしがれた思いで白鳥の娘たちの処へ戻ったオデットは、自分が人間の姿でいられるうちに湖に身を投げてしまいたい、と願うのであった。ジークフリードがオデットを追っていったことを知り、ロックバルトは嵐を起こすが、王子を止めることはできない。ジークフリードはオデットに許しを乞う。オデットは彼を許すが、誓いが破られてしまった今は、もうどうすることもできないと悲しげに言う。オデットとジークフリードは、離れ離れに生きてゆくことはできないので、死んで一緒になるしかない、と決心する。オデットは湖に身を投げ、彼女に続こうとするジークフリードを阻もうと、ロックバルトが立ちはだかる。夜が明ける。恋人たちは死によって永遠の愛で結ばれる。
→悲劇の第4幕とも言うべきですが、ハッピーエンドで終わらないからこそ輝くものもあるというところなのかなと感じました。先にオデットが湖に身を投げ、そしてジークフリード王子が身を投げる。そのシーンは涙を誘わずにはいられないシーンでした。そして終幕後は、圧巻のカーテンコールがありました。演奏を担当した東京フィルハーモニー交響楽団を指揮した冨田実里氏をダンサーの列に加えて数度に渡る挨拶。さらに幕を下ろしたところからメインキャストの米沢氏、福岡市、中塚氏が数度の挨拶。いつまでも余韻に浸っていたいような素晴らしいフィナーレとなりました。
まとめ
地方ではなかなか見ることができない新国立劇場バレエ団の公演ですが、上田にバレエ衣装を作っているチャコットの工場があることから、故郷に錦を飾るという意味合いもあったのかもしれませんが、生のバレエを東京フィルハーモニー交響楽団の生の演奏で鑑賞できるというとても贅沢なひとときを過ごさせていただきました。また昨年の宮川彬良まつり舞台音楽ワンダーランド公演でバレエの所作を少しだけ拝見し、興味を持ち、どこかでバレエを見るチャンスがあったらいいなと思っていたので、その夢も叶った次第です。
白鳥の湖という楽曲という視点から見ると、これまで白鳥の踊りだけをアンサンブルで演奏したり、白鳥の湖のハイライト的な演奏を聴いたり、白鳥の湖ブラスロックを演奏する機会を得たりしましたが、バレエと演奏であらすじを踏まえて最初から最後まで聴けたことはとても良い体験になりました。これまでバレエ音楽をなんとなく聴いたり演奏したりしてきましたが、これからはそこに踊るバレエがイメージ付けされることとなり、次にバレエ音楽にふれるときにどれだけ想像の翼が広がるか大いに楽しみなところです。
