売り場に学ぼう by 太田伸之

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Nobuyuki Ota

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2025.06.28
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カテゴリ: ファッション
ご縁があって長い間文化服装学院流通専攻科3年生のクラスで週1回講義を担当しました。ほかにもマーチャンダイジング科3年生やグローバルビジネス科4年生のクラスを受け持ったこともあります。流通専攻科はスタイリスト科とビジネス科2年を終了した学生がエントリーする上級クラス。これまでこのクラスから多くの若者を引き抜いてファッションコーディネーターや販売スタッフとして採用もしました。

2001年頃だったと思います。卒業間近なのにまだ就職が決まっていない男子学生3人がいました。ちょうどその頃私は百貨店の大改装を進めており、新規オープンする自主編集自主販売売り場の販売を手伝ってみないかと3人に声をかけました。このショップSOHO'S ROOM(Small Office Home Office)の運営を統括していた部下のファッションコーディネイター田中英樹くんも元はと言えば文化服装学院流通専攻科の出身。3人は同じ科の先輩にいろんなことを教わりながら働いてくれました。

その後私はアパレルメーカー社長に転じましたが、3人のうちひとりがこの会社に転職してきました。大島隆之と言います。彼は数年間本社のメンズ部門で販売促進担当し、そこから独立していまでは自分で企画会社をしているらしいと風の便りで知りました。

先日たまたまネット検索していたらランバンのメンズコレクション企画ディレクター交代の記事に目が留まり、後任はなんとあの3人組の大島くんでした。


展示会の案内

さっそく一昨日ランバンコレクション(紳士服メーカーのジョイックスコーポレーション)展示会に行ってきました。頭髪に白いものは増えましたが、文化に通っていた頃の面影があり会場ですぐに本人とわかりました。およそ20年ぶりの再会でしょうか。

大島くんの説明によれば、百貨店から独立した田中英樹くんから紹介されたのがこのプロジェクトだそうですが、文化服装学院のデザイン系や技術系の学科ではない人がブランドの企画ディレクターに起用されるとは異例でしょうね。

大島くんは文化服装学院の授業でもアパレルメーカー時代の社内MDスクールでも私からマーチャンダイジングの原理原則を学んだ教え子、基本の「誰に、何を。いくつ作るのか」をしっかり考えながらものづくりしているとか。自分が教えてきたことをのちのちまで忘れず実践していると聞いてうれしくなりました。こういう教え子、本当にありがたいです。

大島くんと一緒にランバンコレクションに携わる責任者金澤誠一さんとも会場でご挨拶しましたが、彼もまたIFIビジネススクールに参加した人でした。IFIは設立に向けて私も奔走した組織、創設当初は多数の講師陣と一緒に私自身も指導しました。だから、金澤さんもマーチャンダイジングの原理原則は十分理解してくれているはずです。

大島くん、金澤さんとたっぷりおしゃべりし、肝心の大島くん監修の新生コレクションの写真撮影するのをすっかり忘れてしまったので、ここにそれをご紹介することができず残念です。



CFD設立直後私はある専門学校の代表者に頼まれ、教員の勉強会で私自身が学んだニューヨークのパーソンズデザイン学校の実践的な講義スタイルをお話ししました。その半年後、CFD東京コレクションでアルバイトしてくれた学生さんの授業ノートを見て、「まだきみの学校ではこんなこと教えてるんだね。パーソンズ式の教え方を先生たちに講演したのに、先生たちが理解してないんだ」、と。ならば自分でパーソンズ式実践教育で若者を育ててみるかと思って「月曜会」を開講したのです。

参加者募集は7月後半専門学校が夏休みになった頃を見計らって繊研新聞に小さな告知記事を書いてもらいました。夏休みに募集した理由は、自宅で繊研新聞を購読していない学生(学校ではクラス単位で定期購読していた)は募集に気が付かない、この業界で将来働くつもりなら繊研新聞くらいは自宅購読して欲しいと考えたから。告知記事に気が付いて応募してきた学生や若き業界人の中から短い論文審査をして選抜、CFDの会議室に入る25人を集めて毎週月曜日夕刻講義しました。

私自身のほかにCFD会員デザイナーやジャーナリスト仲間にも講師になってもらいました。ファッション雑誌の3人の編集長にお願いしてそれぞれの編集方針を2時間述べてもらい、後日「どの雑誌の編集方針が良い悪いんじゃないんだよ。どの編集方針が自分にとって合うか合わないかを考えてね」。百貨店婦人服平場改革をテーマにしたときは、平場改革に意欲を見せる某百貨店婦人服部長に小売店視点で講義してもらい、翌週は大手アパレルメーカー婦人服部長にそれをどう受け入れるのかメーカー視点で話してもらいました。「両者の話、問題点はどこにあるかな」と受講者には考えてもらいました。

私塾はノウハウや情報提供をする場ではありません。マーケティングのスキルは伝授しますが、そのあとはみなさんのお話を伺って「自分で一番いい方法を考えろ」です。登山に例えるならば、どのルートをどう登ったら合格不合格ではなく、いろんなルートから自分でルートを選び自分の力で山頂までたどり着けば合格、それがわが私塾の基本姿勢でした。

「月曜会」受講者の中からのちに大ヒットしたバッグデザイナー、世界的に有名になったプロダクトデザイナー、巨大ナショナルブランドのディレクションをするファッションデザイナーもいれば、小売店の幹部やブランド企業のディビジョンマネージャーもいます。彼らを教えたというよりはただ刺激を与えたあるいは仕事の考え方を伝えただけですが、私にとっては前述の田中英樹くんや大島隆之くん同様活躍する「教え子」なんです。

私は小学校の卒業文集に「将来先生になりたい」と目標を書きました。パーソンズでの実践教育を経験したことも後進指導を始めるきっかけですが、小学生時代の目標通りたくさんの若者に刺激を与え、教え子たちが活躍する姿を見てきました。自分は自分なりにいろんな職種でファッション流通業界に貢献してきたつもりですが、たくさんの教え子たちに刺激を与え続けてきたことが私の存在価値ではなかったかと思います。





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Last updated  2025.07.02 23:22:59
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