売り場に学ぼう by 太田伸之

売り場に学ぼう by 太田伸之

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Nobuyuki Ota

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2025.08.28
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昨日Instagramに届いていたダイレクトメッセージを見つけちょっと目がウルウル。送ってくれたのはかつて私が新卒予定者面接で内定を出した当時の学生さん、現在はアウトレットモール運営会社の社員だそうです。以下がそのメッセージ、社名は◯◯◯としました。

このたびは、太田さんの講義をぜひ受けたいと思い、ご連絡をさせていただきました。拙文ではございますが、ご一読いただければ幸いです。
簡単に自己紹介をさせていただきますと、20△△年◯◯◯へ入社し、約14年間販売職として店長・セールスリーダーを経験しました。現在はディベロッパーとしてアウトレットモールで営業職に従事しております。転職のきっかけは、
◯◯◯ でブランド価値の向上に重きを置いて取り組んできた経験から、より広い視野でファッションブランド価値の向上と利益の最大化を目指したいと思ったからです。
太田さんに直接お会いしたのは、
◯◯◯ ​​​​​​​​​​の内定式が最初で最後でしたが、学生時代からブログや著書を拝読しており、太田さんの言葉には何度も奮い立たせられました。生涯ファッションビジネスに携わっていきたいと決めたのも内定式にお話されたことがきっかけでした。
そのため百貨店や小売経験が豊富な太田さんから、テナント営業としての在り方を学びたいと強く思っております。 前置きが長くなり恐縮ですが、今後セミナーを開催される際には、このような意見も一つのご参考としていただければ幸いです。また、SC協会のセミナーにもぜひ登壇していただきたいです。 どうぞよろしくお願いします。

内定を出したあと私は退職してしまったので、残念ながら名前も顔も覚えていません。が、こうしてダイレクトメッセージを送ってくださる、ありがたいことです。

前職官民投資ファンド社長時代、全国各地で講演させていただきましたが、東北でも九州でも都内でも最初の拙著「ファッションビジネスの魔力」を読んでくださった方たちから「読みました」と声をかけられました。アパレル企業の社員のみならず、地方自治体の職員、食品関係者、現役大学生と立場は様々、中には「私のバイブルです」と言う方も数人、そのたびに胸が熱くなりました。書籍ってすごく力があるんですね。


このブログもお会いしたことはないSNS繋がりの方から「ブログ読みました」とダイレクトメッセージをよくいただきます。このブログ、Facebookや Instagramで発したことに見知らぬ方々が反応してメッセージくださる、ファッションビジネスでの長い経験から少しは示唆に富むことを書かねばと思っています。

さて、今年経済産業省が「グローバルファッションIP創出プログラム」を開始、事務局が選んだクリエーションやテクノロジーを有する新興企業の支援事業を進めています。私は採択された企業の経営者にメンタリングする専門家メンバーのひとり、時代に合ったビジネスの推進、海外ビジネスで収益を上げる方法などを全体ミーティングでプレゼンし、後日個別企業の相談に乗っております。

全体ミーティングのあと事務局が集めた質問状に昨日回答しました。特にブランド価値をどう高めるか、消費者とのタッチポイントをどう作るか、卸売業ではなく小売業への転換などに質問が集中していました。個別企業への回答をする中で参考事例として申し上げたのは、消費者に対してものづくりの「見える化」、その具体的事例として米国EVERLANEをよく研究してください、と。

EVERLANEのサイト

毎日このような写真付きメールが届きます

EVERLANEを生産している縫製工場

一般アパレルとの減価率の差を説明

ネット通販主体のEVERLANEからは毎日私にも商品情報が届きます。8年ほど前サンフランシスコ路面店で買い物した際レシートはメアドに転送だったのでレジで登録、以来毎日必ず商品情報のメールが届きます。8年間でネット購入したのはベーシックなTシャツ数枚のたった1回のみですが、毎日必ず写真付きメールが来ます。

EVERLANEで私が一番評価している点は、ものづくり現場の情報詳細を消費者にオープンにしていること。当該商品はどの国のどういう工場で生産しているか、その工場内外の写真もサイトに掲載しています。ものづくりの「見える化」で消費者の信頼を得ていますが、こんなに生産現場情報をオープンにしているアパレル企業はほとんどありません。しかも、一般的アパレル商品の価格設定と自社価格との違いまで明確に説明しています。

世界のブランド企業の多くは秘密主義、織物やニットをどの繊維会社で作ってもらっているのかはまず明らかにしません。また上代の内訳は完全な秘密、生地代、付属代、縫製工賃、移送費用、関税、マージンを公開するなんてことは絶対にあり得ない。仮に公開したら、あまりの減価率の低さにお客様は怒り心頭でしょうね。

でも、今回のプロジェクト採択企業の皆さんにはものづくりの見える化を勧めています。どういう特殊技術を使っているのか、どういう工場で生産しているのか、他社との違いは何なのか、こういう情報を自社サイトでビジュアル公開することで消費者の信頼を得てみては、と。EVERLANEを徹底的に研究すべきとアドバイスしています。

もう一点アドバイスしているのは自社サイトのビジュアルレベルアップ。EVERLANEのやり方は素晴らしいと思いますが、そのサイトはすこぶる日常的、特別感は全くありません。起用モデルは隣のお姉さんタイプ、コレクションランウェイに登場するようなトップモデルではありません。しかし、これでは消費者が魅力的に感じるかどうか、少なくとも私はワクワクして「また買ってみよう」という気持ちになったことはありません。

個別メンタリングでも経営者に申し上げましたが、技術の特殊性やものづくり現場をビデオ公開するのであればNHKドキュメントの水準が理想です。消費者がサイトを見て美しく説得力あるビジュアル、あるいは見ていて楽しいビジュアル。かつてロジェヴィヴィエのサイトにはアンバサダーのイネスさんがパリ市内の生活を案内する映像が楽しかったし、クリスチャンルブタンのサイトはコミカルで楽しい仕掛けが随所にありました。見ていて買い物したくなる魅力的ビジュアル、身内で自主制作ではそんなレベルには届きません。ここは専門のクリエイターと組むべきでしょう。

もう一点、リアル店舗とオンラインとの連動も説いています。消費者が見たくなる魅力的なコンテンツで情報発信すれば、リアル店舗が裏通りであろうがビルの上層階であろうがお客様は来てくださいます。表通りで認知されやすい場所で直営店を開くのは20世紀型ビジネス、ネット時代は決してそうではありません。その事例として、私は南青山スパイラルビル5階にあるミナペルホネンCALL視察を勧めます。



まだネットで情報発信できなかった20世紀、ビルの5階でファッション店を開くなんてあり得ないことでした。しかし現在ネットを通じて自ら情報発信、ビルの5階であろうが集客は可能、ただしコンテンツに魅力があればの話です。ミナペルホネンCALL(写真上)がビル5階という立地でありながら、開店時間からお客様でいっぱいになっていることを業界人はもっと分析すべきです。

こういう提案をこのブログでもSNSでもどんどん発信したいと思います。もし少しでも刺激になればダイレクトメッセージを送ってください。励みになりますから。​​​​​​​​​​
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Last updated  2025.09.19 11:13:02
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