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瑚☆月

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『剣』が甦る”夢” 【 たまのを 】さん

中国版半農半X、202… 塩見直紀(半農半X研究所)さん

ぷち・すぴ ぴ子さん
ゆっくり歩こう♪ さいころりん♪さん
2011.08.01
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薬師寺の東塔を訪れたのは23年3月21日の事であった。


それまで何度か行こうとしたのに、ふと見えない手で回される様に寸での処で機会を失っていた。


それが急に行ける運びになったのがその日だった。
初めて。その日は東塔創建以来初めて一般の人が内部に立ち入って拝観できる21日間の最後の日であった。



この日も昼遅い時間の参拝となった。
何も調べもせずに行った為、東塔の参拝が一日3~4回で時間が決められている事も知る由もなかったが、ちゃんと最終参拝時間30分前に到着していた。



この辺も見えない方々に上手くスケジュール調整されているものだ。
その有能なマネージャーぶりを是非うちの奈桜に…イテっ。





話を戻そうか。








「大地からか?」
奈良の古い寺は古代シャンバラ(地下帝国)との繋がりも深く、
以外に地下に何かしらあるので、ここもか?と思ったが、
一瞬にしてそれは違う事に気がついた。



ば、っと上を見上げる。
「天、空か!?」



他の客は伽藍の天井の色彩画を見ているが、月櫻は伽藍内部で中央の心柱の上方に見えない天を診る。





目玉?





巨大な目玉だ。





邪気の塊の様な、
怨霊の塊の様な、





『こちらにこられよ…』




月櫻を引き戻すように頭の中に声が響いた。
声の主を求め、伽藍を進む。



「貴方様ですか、私をお呼びになられたのは…」
そこには「釈迦苦行像」が居られた。




『この塔がここにありしは意味ある事。役目ありてここにありし。』


地脈のエネルギーを奥底に感じる。

先程の時空の歪みは天であったが、
今度は地下に感じる。


やはりこの伽藍の地下にも何かあるのか。



古き寺院や神社は日本の重要なエネルギーラインに建っている事がままある。
単に良い気を発している処に立てたら偶々そうだったという建物もあれば、
巧妙な術式の元にそのエネルギーを利用している処もある。



薬師寺は後者の様だ。




『これを』

釈迦像がそういうと共に、地底から巨大な黒竜が姿を現した。
この地脈のエネルギーが形をもったものだろうか。


~使え、と言う事で宜しいのですか?~

月櫻がそう尋ねると、釈迦像はほほ笑んだ。YESの意味だろう。
しかし、次の瞬間、釈迦像はこう続けた。



『だが、人が始めし事は人が成せ』






どうも竜と目玉は別件らしい。


人が始めし事は人が成せ。
そう人が始めし事による数多の禍根は最後に人が支払う事になるのだ。





竜は消えていた。
東塔の外にでる。



巨大な目玉を今にも突き刺さんばかりに東塔の相輪がそそり立つ。




古代からの人の念。
一つの理想の為に踏みにじまれるか、うとまれる多くの理想。
多くの欲望。


ここはそんな負のエネルギーの吹き出し口か?
そして、東塔はその地のエネルギーを利用してここを封印する剣の役目をしているのか?。


もう答えてくれるモノはいない。
やるべき事は告げられているからであろうか。



強い呪と巨大なエネルギーによるその防御システムは、1300年余り都を守って来た。


しかし、どんなシステムもメンテナンスをせずに永久機関の様に動くモノはない。
有限の存在たる人が作りしものは、いつか有限の終わりを迎えるのだ。




最後にメンテナンスを受けたのはいつだろう。
広大な薬師寺の建造物の中で、唯一創建当時より現存している建物。
1300年の悠久の時を重ねてきた歴史は同時にシステムの鍵としての強固な「守りの呪」によるものであったのかもしれない。


しかし、その呪も切れかけ…。
いよいよ、修復の名のもとに解体されようとしている。




人が始めしモノは人が対応するべし。
しかし動くは人なれど、人のみにあらじ。



人、本願を発っし祈る時、神仏の加護ありし。



意思を発し、行動する。
人にしかできず、また、人が天に求められるのは突き詰めればただそれだけなのだ。




発願の祈りと共に、
守護をたまわりし方々の援助をもとめる。




かつて法隆寺でたわまったかぶら弓を心の中で構え…
次の瞬間、
目玉に光る矢が突き刺さった。



声なき絶叫があたりにこだまし…。



目玉は消えた。




********************************

「しかし、不十分だった…ってことか。」
月櫻はそうつぶやいた。



現在は7月16日。
6月25日は大修理着工奉納がなされていた。


大勢の人の手で、大勢の人の法要の祈りで薬師寺東塔はその機能を停止したようだ。



つづく


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Last updated  2011.08.02 00:48:39
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