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2005年07月02日
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蒲田ブルドックの営業は五日目に入りました。
相変わらずお客はありません。
退屈しのぎに、ジョイ吉野と委員長はフロアで踊りの練習などをしているうちに、ジュリーの話題になりました。
いいよなぁ、こんな苦労も知らずに、おねーちゃんたち相手にしゃべくってんだろうなぁ、などと今の自分たちの憂鬱さが腹立たしく、いっちょ、パーッと踊りにでも行こうか、ってなことになりまして、終電に乗っかって新宿まで出かけた二人でした。
久々の歌舞伎町が妙に二人のハートを刺激します。
スタッセビルの地下、パブツモローに到着した二人はジュリーを呼び出すと、嬉しそうに出てきたジュリーは二人を招きいれてくれました。(もちろんタダです)
自分が蒲田に行けない後ろめたさからか、妙にやさしくしてくれたジュリーでした。
ちなみにジュリーとは呼ばれてましたが、ルックスはどうみても布施あきらだったなぁ。
この時、ジョイ吉野は髭なぞ生やして黒い厚手のソフトHATを愛用していて、ヴァンマッコイにそっくりでした。

さて、蒲田での鬱憤を晴らすかのように、二人はフロアで思いっきり踊りまくりました。
すでに深夜に入っていたホールの客もやや踊り疲れてか、フロアで踊る委員長とジョイをショータイムのつもりで観賞しているような感じでした。
営業終了後、ジュリーが言いました。

「お前たちの踊りカッコイイよ。これって商売になるんじゃない?」

おいおい、今頃そんなことに気付いたのかい、みたいなもんで、今更ってな気もしませんでしたが、委員長の夢はもひとつ大きくて、これからはやっぱりBANDだろってことで、またひとつ愚にも付かない道楽話に花咲いたのです。
新宿のジュリーを名乗るくらいですから、この人だってBANDに興味が無いわけありません。典型的な道楽者はまず、歌手とかバンドマンに憧れて道を踏み外した輩が多く、自分の実力に気が付いたときにホンモノになれるかどうかが決まります。

やりたいこととできること、これが自身のなかできちんと整理できた人は、やりたいことを目標に努力を重ねていきます。こういった人はホンモノになれる確率の高い人です。
大概の道楽者は、やりたいこととできることのけじめがつけられずにずるずると業界にぶら下がっているか、己の実力を悟った時点で無駄な努力をせず横跳びして新境地を開く(ずーっと新境地を開拓し続けてる人もいますが)、のどちらかです。
「運も実力のうち」という名言がありますが、委員長の経験から言っても、「実力」は地道な努力の積み重ねでしかありませんから、努力なくして「運」だけで世の中は渡っていけるものではありません。若い頃のほんの一時、強運というかツイてるってヤツがいますが、これも長い人生の中のその一瞬のことですから、その後はやはり自身の努力無くして進めません。あとは何を自分の「成功」と定めるかですね。
世の中というハードは、資本主義というソフトで回っていますから、お金を掴むこと=成功という方程式によって成り立っていることは事実ですね。
金で解決できないことは殆どない、と言っても過言ではありません。

ですから、やはり「成功」は「お金」ということになりますね。
ただ、このお金の掴み方と掴んだお金の使い方がとても重要です。
このふたつの行為には、基本的にパターンがありません。
これこそ、いくらでも追求できる大変奥行きのある行為ですので、皆さんも自分の人生を大切にお使い下さい。
ちなみに非生産活動を推進する道楽者の委員長の夢は、なんと言っても「不労収入」に尽きます。働かずして収入を得る、美しい言葉の響きですね。生産行為と非生産行為の境目のない人生、これぞ究極の道楽者人生です。



「バンドやらない、三人で」

「でも、オレ楽器できないし」

「大丈夫、オレが教えてやるよ」

「じゃ、オレ唄歌うから」

おいおい、お前たちには蒲田のディスコの営業があるだろって、わかっちゃいるけどやめられない。
夢多かりし青春真っ只中の三人ですから、その日は始発まで盛り上がってしまいました。
お調子者では委員長に負けるとも劣らぬジョイ吉野が、まだ薄暗い新宿の街を駅に向かう道すがら突拍子もないことを言い出しました。

「あにき、オレ、ベースやるよ。やるならベースだな」

「えっ、本気かよ」

「今日、このまんま買いにいくの付き合ってくんない」

「買うって、何を」

「決まってるジャン、ベースだよ。オレ楽器のことよくわかんないから、あにき一緒に行ってよ」

「行ってよって、おまえ金持ってんのか」

「丸井なら買えるでしょ。オレ頭金くらいならあるから」

見上げたもんだぜ道楽者根性、と言いたいところでしたが、このジョイ吉野ってヤツはこういった思いつきで行動する、ちょいと変わった芸風の持ち主でありました。

二人はモーニングセットを食って、「丸井」開店を待ちました。
この頃、ようやく赤いカードが出始めた頃で、委員長はこの業界にいる間にウン百万近いお買い物を致しました。(本当に良いお客さんでしたね、後年はキャッシュローン専門になりましたが)
さて、ジョイはグレコのジャズベース(当時6~7万円だったと思う)を買うことにしましたが、手続き上、保証人で引っかかってしまい、結局は委員長のカードを使って委員長名義のローンで購入することになったのでした。(大丈夫かな、仕事もいい加減なのに)

「仕事が終わったら毎晩練習しようよ」

朝まで踊って寝ずに買い物して、目を血走らせた道楽者二人は興奮を抑えきれず、買ったばかりのベースギターを担いで蒲田ブルドックへと向かったのでした。





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最終更新日  2005年07月02日 13時41分57秒
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