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2005年11月11日
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リトと会うのも久しぶりだったので、委員長の今までの空虚な気持ちは多少なりとも慰められました。
そして案内されたテーブルに着いた委員長は、またまた驚愕の事態に遭遇したのでした。そのテーブルの隣に座っていたのは○江という娘で、彼女とは79年のひと夏だけのお付き合いをした委員長には少々心の痛む思い出を持つ彼女だったのです。(テキトー野郎の女遊びのツケが回ってきただけだろ)

彼女とはトゥモローUSAの崩壊直前に知り合い、その後ワンプラスワン、新宿クレージーホースと委員長の後を追って来てくれて、自然にお付き合いが始まったというような感じでした。
委員長はちょうどその頃C子から亀屋マンションへの出入り差し止めを食っていた時期でもあったので、彼女とは湘南へ泳ぎに行ったり、映画を見たり、ゲームをしたりとそれなりのお付き合いで楽しんだ仲でした。
同時にこの頃クレージーホースでカミさんとも出会っていたのですが、精神的にも不安定だった委員長はこんな浮かれた気分が救いにもなっていたのだと思います。(単なるスケベ野郎ってだけだろ)
ちなみに千葉県銚子市出身のカミさんはこの当時19歳の上京娘短大生でした。(って関係ないか)ただ、委員長はこの時カミさんとは特別な関係にはならなかったんですけどね。年が5つも違っていたし、やっぱり子供に見えたんですね。(誰も聞いちゃいないよそんなこたぁ)

確かに女遊びは水商売にはつきものですから、今更懺悔するつもりも無いのですが、この○江との付き合いだけは単なる遊びと片付けられないところがありました。
それはちょっとした因縁めいたもので、彼女が幼い頃住んでいた所が委員長の育った世田谷は梅が丘の貧乏長屋と目と鼻の先だったこと、そこで彼女は父親を亡くし一家で同じ世田谷の小田急線沿線の喜多見に移り住んだこと、彼女の兄が委員長の高校の後輩にあたること等など、すべて委員長の故郷である東京世田谷と小田急線に纏わる縁で結ばれていたのでした。


というような経緯がある彼女と、まさかこんなところで出会うとは思ってもいませんでした。
しかもその場には○江よりも更に古い因縁のミキがいるのです。
まるで今まで委員長のしてきたことがそのまま返ってきたような状況でした。
○江は相変わらず暗い眼差しを向けて委員長に近況を尋ねてきましたが、彼女と別れてから今に至るまでのことを一口では説明できません。
そんな彼女の目を意識して見栄を張る委員長は、おどけて見せたりしてあくまでもカッコマンを貫こうとします。自分の勝手で振ったくせにまだ彼女の視線を気にしています。
まだオレに関心があるのかなぁなんて思ったりして、男って本当に馬鹿ですよね。(おまえが馬鹿なだけだろ)

そんな○江と委員長のやり取りを見ていてミキが隣で異常な情念の炎を燃え上がらせます。同席している大学生の坊やもここまで来るとさすがに萎縮してしまって、さっさとダンスフロアに踊りに出て行ってしまいました。
昔の女に挟まれた委員長、しかも両者とも因縁の深い過去があります。
そんな緊張に包まれた委員長のテーブルにリトがやってきて救いの手を差し伸べてくれました。不思議なもので、このリトも二人の女性とはちゃんと縁があるんですね。
ミキはもちろん新宿ビバヤング時代、○江はトゥモローUSA時代、時代のズレこそありますが二人とも妙な繋がりで委員長ともしっかり繋がっています。
奇妙な再会を果たした4人でした。



「ヒサシブリニアッタンダカラ、○江ちゃんトイッショニカエレバイインジャナイ」

「えっ?」

「オレワサァ、キョウハカノジョノウチへイクカラ、ヘヤツカッテモイイヨ」

何でこうなるんだろうって感じでした。
それでなくてもミキとの再会を後悔していた委員長はとてもそんな気になるはずも無く、更にリトまでもが○江との関係をそんな風に思っていたのかと思うと、今更ながらに自分が情けなくなりました。


「エスメラルダヲヤメルンジャナクテ、ロニーガエスメラルダヲクビニシチャウンダヨ」

さすがに古い付き合いのリトは委員長の心情をもしっかりと理解してくれていました。
リト自身も赤坂シンデレラ入店を契機にエスメラルダを辞め、いずれは昼間のきちんとした仕事に就くことを宣言していたので、お互いの時代が終わったことを暗に比喩したジョークでもあったのです。(でも笑えなかったですね)

ここでスタンリー・クラークのA FOOL AGAINがかかり、○江は席を立ってフロアに踊りに出て行きました。リトいわく赤坂シンデレラの常連用定番ロングヒットだそうです。
(う~ん、委員長にとってはまさしくフール・アゲインです)
そんなリトと委員長の怪しいやり取りを感じ取ったミキは、委員長に擦り寄ってきて耳元で囁きました。

「実はさ、あたしさぁ、子宮取っちゃったんだよね・・・・」

な、なんだよ~、藪から棒にって感じでした。
よりによって何もこんなところで告白するこたぁないだろうって。
どういう意味なんだよそりゃって感じでした。
委員長の頭の上にはどんよりとした暗雲が立ち込めている感じでした。

「オレさ、今日は疲れちゃったからそろそろ帰るわ」

今日起こったこと全てがこんなはずじゃなかったって感じでした。
精神的な救いと云うか、安らぎみたいなものを求めて遊びに来たのですが、回りはどうもそんな委員長を許してくれそうもありませんでした。(っていうか全部自分で捲いた種だろ)

「このままここでサヨナラ?」

ミキが肩にしな垂れてきます。
さすがに何も感じませんでしたが、黙ったままの委員長の耳元でミキが勝手に囁きます。

「じゃあさ、先に出てどこかで待っててよ。お願い」

「で、どうすんだよ?」(ほらまた墓穴掘ってるぞ)

「アイツとは今日でお終いにしたいから、もうちょっと付き合ってよ」

「じゃ、そこでピザでも食ってるよ」

結局は寂しい男の情けなさで、このまま帰ったところで暗くて虚しい亀屋マンションが待っているだけかと思うと、またもや懲りずに自分で悪因を作ってしまう委員長でした。

そして神様は明快な答えを委員長に示してくれたのです。

赤坂シンデレラを出て道路の向かい側、ケンタッキーフライドチキンの地下にあった「ピザハット」に入った委員長はピザを注文し、さほど食欲のない胃袋に侘しくピザのスライスを詰め込んでいました。
とそこへ現れたのはなんと、ミキのボーイフレンドの学生坊やでした。
慌てふためいた様子の彼は委員長を見つけるとツカツカと近づいて来ました。

「ミキ、来ませんでした?」

「さあ、来てないけど」

彼は委員長を疑うようにあたりを見回します。

「彼女が先に帰るって言うんで別れたんですけど、お店のロッカーのキーを持ってっちゃったんですよ」

「ここには来てないよ」

相変わらずのミキの愚行には呆れかえりましたが、委員長にはどうでも良いことだったし、この坊やと委員長は何の関係もありませんから、それ以上の会話は成り立ちませんでした。

さてミキ嬢は一体何処へ行ったのでしょう?
赤坂見附駅近くにはシェーキーズ・ピザがあったのです。





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最終更新日  2005年11月11日 07時10分37秒
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