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2006年01月20日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
え~、しつこいと言われそうですが、もう一回このテーマでお話しさせて下さい。
昨日、一昨日とお話した内容はどうも抽象的すぎたようですので、きょうは私の体験談を交えて考察を重ねたいと思います。

私はサイパンという島の、とあるリゾートに勤務しております。
え~、サイパンと唐突に言われてもどこにあるのかわからない方が殆どだと思いますが、事実よくわからないところにある南洋諸島のひとつがサイパンです。
どうしても所在地が知りたいという几帳面な方は世界地図を広げて下さい。
日本の名古屋あたりから赤道に向かって10cmほどやや右下に行ったところに、北マリアナ諸島という点のような島々がいくつかあります。その中のひとつがサイパンです。近くにはグアム島なんかもあるはずです。
ということで、あまり地理的なことには拘らず、年中暑い南国の小さな島というイメージを描いていただければよろしいかと思います。

日本に近いということもあってお手軽海外旅行の代表選手のような観光地ですから、来島者の年齢層も上から下まで幅広く、特に20歳代の男女の皆様にはちょっとしたお小遣いで気軽に遊べるリゾート地とも言えます。
さて、そんなところで生活を営んでおります私が最近ひどく気になることがあるのです。

サイパンというところは基本的にノービザですから、年末年始には彫り物品評会でもあるのではないかというくらい、日本全国からツワモノの皆様がやってこられます。
週間実話とか噂の真相とか、マニアックな雑誌にも登場される有名人の方々などもいらっしゃって、恒例のお正月ゴルフコンペなども行われております。

もちろんこのようなオオモノの方々は人前で裸になるようなことはまずございません。
炎天下の南国の暑さに耐え、必ず長袖シャツなどをご着用され、私共一般人へのお気遣いがうかがえます。
そんなプロ集団の方々とは対照的に、奇抜なデザインや色彩に富んだ刺青をまるでアクセサリーのごとく露わにした若者たちが闊歩する姿を目の当たりにして、私のようなおっさんは少々戸惑ってしまいます。
私等の年代の人間にとっての彫り物といえば、それはやはり一般社会との訣別、もうこの世界には戻らないというような決意の表明ともいえるものでした。
ノスタルジー的に言っても、一生消すことの出来ない墨を体に入れ、それを背負って生きていく覚悟の上で高い金を注ぎ込むわけですから、そこまでに至る精神的な葛藤もあったはずです。
反面、大した考えも無くハッタリで彫り込んじゃったヤツも結構いたりしましたが、そういうやつは結局半端な生き方しかできず、まさに彫り物がその人ナリを表していたのかもしれません。

でもって、そのTATOOを入れた若者のほとんどが別に本職目指して彫り込んだわけでもなく、ましておねーちゃんたちにとっては流行りだからという、かる~い気持ちで入れちゃったというような話ばかりで、一体この子達はどんな大人、どんな親になっていくのか、非常に不思議な気持ちでした。
染髪や衣装はその歳なりに変えることはできますが、墨ばかりはそう簡単には取れません。取れないからこそ、生涯この道で生きる、みたいな意気込みも生まれたわけで、それなりの儀式に近い神聖さも昔はありました。

個人的には、昔の絵柄より今のアートっぽいデザインの方がカッコ良いと思いますが、これから先やり直しの効かない人生を本気で考えているのか、他人事ながらちょっと心配ですね。

昔は墨入れた子なんてのはおおかた本職にかぶれちゃって入り込んじゃってるヤツとか、身内が本職だったりとか、どのみちまともな世界、いわゆる一般社会では生きていけないような奴らばかりで、まさか大学生とか、フツーに勤め人しているなんてことはありえませんでした。
まして女の子で墨入れるなんてのは、もう一生私は裏稼業で生きて生きます、みたいな世間との訣別が男以上にきちんとあったものです。
それが最近のTATOOは、フツーの、それもご近所に住んでるようなフツーの子が平気で入れ込んじゃってるのにはおっさんはコメントすらできません。

私の近辺にも数人おりまして、一応は大学まで行った娘さんたちですが、お尻から腰のくぼみあたりにきちんとアートされておりました。
まあ、この現象はTATOOばかりでなく、昔で言う不良とかツッパリ小僧なんてものは一様に悪ぶった恰好をしていきがっておりましたが、どうも最近はフツーの子が意外と本職の道へ進んでいたりして、もう本当に外見からは判断できません。


英語もよく分からないせいでしょうか、バスが時刻表どおりに来ていないことに少々ご機嫌の悪くなった彼氏の方がフロントで文句を言っております。
どうも言葉が通じないせいでしょうか、語気が荒れてきたので、これはいかんと思い老婆心ながら私が間に入りました。
ところが、言葉の通じる相手が出てきたからでしょうか、突然彼の怒りは私に向けられ、何を怒っているのかもわからぬまま怒鳴られる羽目となってしまったのです。

「いつまで待たせるんじゃいうとんのや、いつになったらバスがくるんじゃ、ボケっ!」

内心、ボコボコにしたろかこのガキゃと思ったりしましたが、自分も若い頃は見境無く牙を剥いたりしたことを思い出して、おっさんらしい諭しかたをしました。

「まあ、こんな土地だから日本みたいにきちんとは動かないんでね。私が送って行ってあげましょう」

車中で話してみると、この怖いもの知らずの若者は少々アウトローの道を歩んでいるようで、これから先の試練が目に浮かびました。
それにしても、もう少しわかり易い恰好をしていてくれないと、私のような世間離れしてしまったおっさんには接し方を考える余裕すらありません。
そう考えると、やはり昔は解り易かったですよね。
パンチ頭に剃りこみなぞした奴らには、まず最初から威嚇されているので「要注意」という警戒警報が発令されたりして、無用なトラブルを回避するよう周りもうまく立ち回ります。
俗に言うフーテンっぽい奴らには、下手な犯罪などに巻き込まれぬよう注意したり、回りが大事に至らぬよう目を光らせることもできます。

私のようなケースは、きっと日本じゃ当たり前になっているのかと思うと、これは中々に住みにくい世の中ではないかと思ったりしてしまいます。
オレはワルだぞぉ~と、きちんと体面的に表してくれていると、同類以外は巻き込まれることなく一般的社会生活を恙無く送れますが、フツーの体面をして突如変身されたりすると、突然の事態に対応できない多くの日本人は大惨事を起こしたりしてしまうのではないでしょうか。
ちなみに最近世間を騒がせている痛ましい事件の数々を見ると、このような時代の流れに皆がついていっていないのかなぁとも思えます。
社会的ポジションや職業、生き方を現す身なりがきちんと型にはまっていることの安心感というのは、意外に大事なことだったのかもしれませんね。

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最終更新日  2006年01月20日 10時24分42秒
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