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2006年04月20日
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カテゴリ: カテゴリ未分類



ディスコDJで食いつぶした私はひょんなことから、当時の流行り商売であったレンタル・ビデオのお店を任せられ、そこで旧友DJ仲間だったチェング宮内と再会しました。
ビデオのダビング技術に凝り固まったチェングと新たな生活設計を企む私、そんな二人がセコイ商売を思いつきせっせとビデオのコピーに明け暮れる日々が続いておりました。

道楽者のチープドリームはいよいよクライマックスに突入です。
レンタル商売は在庫数が勝負ですから、とにかく1本でも多くのコピーソフトを作ろうと、せっせと店の片隅でダビングを続ける私のところに胡散臭いおっさんが二人尋ねてきました。

「ここはコピーが随分とありますね」

なんじゃこのおっさんらは?ってなもんですが、そこは商売ですから
「ええ、まあ、そうなんですけど、VHSはオリジナルですから、ベータはそのコピーなんでそんなに画質は悪くありませんよ。その分二百円安くしてありますから」
なんて答えると、そのおっさんはいきなり私の目の前に名刺と身分証明書を突きつけてきました。



さらにそのおっさんの後ろに突っ立っているぼーっとしたおっさんを指差して、

「こちらは○○法律事務所の方です」

うすうすこんな日が来るだろうとは感じていましたが、まさかこんな地味ぃ~でしかもボーっとしたオッサンが調査員だとは思いませんでした。
もっと、こう颯爽とした刑事さんみたいな人たちがドカドカと来て、パッと警察手帳かなんか見せて「査察です」とかなんか言うのかと思っていたのに、ちょっと期待はずれでしたね。なんか「へっ」って感じで、迫力ねぇなぁ~とか思いましたね。

「コピー商品で御商売されているようですが、これは違法行為であることはご存知ですね」

「はあ、でもウチはVHSはちゃんとオリジナルを買ってますから」

「著作権管理上の損害賠償訴訟の対象になります」

「はあ、じゃすぐにしまいます」

「こちらの経営者はあなたですか」

「ええ、まあ、そんなもんです」

「一応、私共の顧問弁護士でありますこちらの先生の事務所に一筆入れて頂いて、これらの違法ソフトを任意提出して下さい」



「はい。今後このようなコピー商品を置かないという約束と、違法ソフトの処分をこちらの弁護士事務所にお任せする旨の書面を頂きます」

「ああそうですか。じゃもう全部持ってって下さい」

「いや、私共が持っていくのではなくて、任意で提出して頂くので弁護士事務所に送付して下さい」

「そ、そうふって、これだけの本数を梱包して送るんですかぁ?」

「そういうことです。ここで扱っているコピーソフトの全てを提出して下さい。それで和解したことにします。もし御了承いただけないようですと訴訟ということになりますので、莫大な賠償金を求められることになります」



「あのぉ~、じゃこっちのアダルトとかも一緒に送った方が良いですよね」

「いや、そっちは私達の管轄外ですからお任せします」

「へぇ~、じゃポルノはコピーしても良いんですか?」

「いやそうじゃなくて、それはそれで違法にあたりますが、今は著作権管理を委託されている会社の商品について調査しているので、それはまた別の機関で行われると思います。ですから、やはりコピー商品は扱われない方が良いと思います」

「じゃあ、この黒ラベルとか覆面ビデオなんかはどうなるんですかね?」

「さあ、これらは著作権協会に登録していないので私の担当外です」

「あのぉ、この先にコピーばかり置いたレンタル店があるんですけど、あそこはどうなるんですか?ウチより悪質だと思うんですけど」

「もちろん先ほど調査させて頂きました」

「ってことは店のテープ全部任意提出するんですか」

「まあそういうことになりますが、詳しいことはお話できません」

「テープの梱包は時間かかるし、郵便で送っていいですか」

「一応これも和解条件の一つなんですが、調査から10日以内と定められていますので、宅配便を使われた方が良いでしょう」

「黒ねこヤマトがよいですかねぇ、それとも佐川急便の方が早いかなぁ」

ということで、そんなくだらない質問を続けてかれこれ1時間くらいグダグダしていたのですが、そのうち向こうも面倒臭くなったのか名刺を置いて帰って行きました。

実はこのおふざけにはちょっとした理由がありまして、当時違法コピーよりも重罪だった「海賊版」と呼ばれる映画ソフトが出回っていて、これは製作者、販売業者、レンタル店の全てを徹底的に調べるという情報が入っておりましたので、なんとかこれだけはかわさなければならなかったからです。
もちろん店頭におおっぴらには出せませんから、常連さんとか、映画マニアみたいなお客さんにこっそり貸し出すというような、いわゆる裏ビデオみたいなものでした。
私の店ではさすがに裏ビデオは扱いませんでしたが、この「海賊版」はしっかりと常連ファンができ、毎月新作は結構な回転率で良い商売になっておりました。

この海賊版というのは、輸入ビデオ(アメリカ映画のソフト)にワープロで字幕を打ち込んだもので、当時はロードショーとほぼ同時にこれらのソフトが出回ったりしました。
更に、日本では配給がつかないマイナー、いわゆるB級映画とか、映倫のボカシ修整が入らない画像とかがマニアの間で人気となり、地下の商売としてそれなりのネットワークが張られていたのです。

当時はカバン屋と呼ばれるこれら業者は店の閉店時間ギリギリにやって来ます。
たぶん、改造ビデオは1本で、あとはダビングしていくのでしょうから、流通システム的に言えば裏ビデオと似たりよったりでした。
どうも出自が卑しい私は、こういった反体制的な闇の商売とか密売みたいなものに引かれるタチなものですから、向こうも匂いをかぎつけるというのか、結構お友達になったりして、画質もそこそこ比較的早いルートのダビングが回ってきておりました。

とまあそんなワケで、調査員の手が「海賊版」に触れぬよう、なんとかしらじらしいバカ話ではぐらかしたのでした。
しかし、いつの時代もこういった流行に乗った商売を考えるヤツがいるんだなぁ、と感心したものでした。なんか世の中の隙間を縫うっていうのでしょうか、その発想が非常に面白いですよね。しかも遊び心に溢れています。

さて、ガサいれを喰った私の店ですが、もちろんオーナー会社では「おまえ個人の経営ってことでゴマかしてくれ」ってなことで、まあ、それは当然のオツトメですから反論するはずもありません。この頃、オーナーは系列で4、5軒持っていましたから、組織的にコピー商品を扱っていたことがばれると厄介なことになるので、なんとか私個人のところで抑えきれってことでした。

私はさっそくチェングに電話を入れました。

「おい、ラッキーだぜ、ガサ食ったからテープは廃棄処分だ。どうせ数なんか数えやしねぇから、半分頂いちゃおうぜ」

てなことで、チェングに車を用意させ、閉店後の店にこもって商品の選別です。
人気のない映画は全て任意提出用、回転率の高いソフトは全て私とチェングで責任もって廃棄処分と致しますってなもんです。
音楽ソフトは全て個人の所有物となりました。
(これで私が古いMUSICビデオを所有しているワケがお分かりいただけたと思います)

道楽バカ二人のチープ・ドリームに向けてビデオソフトの在庫が一気に揃ったのでした。翌日、私は早速弁護士のセンセーにお電話を申し上げ、平身低頭慇懃無礼(笑)態度で、どのような処分でもお受けいたしますなどと殊勝なことを言いつつ、センセーのご指示通り始末書一筆添付してダンボール箱に詰めたコピーソフトを弁護士事務所に送付したのでした。(着払いにしたろかと思いましたが、今後のこともあるので自腹切りました・笑)

さて、私の会社からは「よくやった、ご苦労さん」などと労いの言葉を頂きましたが、こんな状態ではこの商売もどうせ長続きはしないだろうから、それならいっそのことチェングと相乗りして一発賭けにでるか、と考えたのでした。
そんなこんなで郊外の駅前店舗を探しているうちにチェングがデカイ山を引っ張ってきたのでした。

「サイパンでビデオショップやろうぜ」

「えっ?裁判?」

「違うよ、サイパンだよ。とにかくもうちょっと辛抱してろよ。近いうちに話が煮詰まるから」

このアホタレの一言で私の人生はトワイライトゾーンへとワープしていったのでした。
爺の話はどんどん脱線して止まらなくなりますので、一応このお話はこれでおしまいということで、レイダース・サイパン編はまたあらためて。。。。。。。。





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最終更新日  2006年04月20日 08時35分18秒
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