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2006年09月24日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
先日中華的電影DVDショップでレンタル騒動のあった映画「トラ・トラ・トラ!」ですが、なぜ再びこの映画を急に見たくなったかというと、実はある本を読んだからなんです。


黒澤明 vs ハリウッド
「トラ・トラ・トラ!」その謎のすべて
田草川 弘 著
http://item.rakuten.co.jp/book/4025617/

著者は、1966年秋、この映画の製作が始まった時から、日米のシナリオ翻訳に携わったフリー・ジャーナリストで、もちろん大の黒沢監督ファンです。
皆様のご記憶にあるかどうかはわかりませんが、多少なりとも映画ファン、黒澤ファンを自称する私にとっても、この映画は大変に印象深い作品でもあります。

真珠湾攻撃を日米の双方から描くという試みに加え、日本の巨匠黒澤監督が描く戦争映画は映画ファンのみならず、各方面から注目を浴びた超話題作でありました。


当時、中学生だった委員長も、理由はともかく期待した映画が頓挫したことにひどく落胆した覚えがあります。
当時は日本を代表する巨匠黒澤監督、三船敏郎など、映画関係者のゴシップなどが飛び交い、真相はまさしく藪の中という感じで、映画は後任の監督によってクランクアップしましたが、興行的には世界的な成功には及びませんでした。

さて、この本では、この映画の一番肝心な部分であるシナリオ翻訳にかかわった著者が、未だに明らかにされていないこの降板劇の謎に、じっくりと、かつ確実に資料と見聞を重ね、丹念に確信に迫っていきます。
486ページという大作ながら、莫大な資料からその全貌を顕わにしていく過程はちょっとしたサスペンスあるいは事件モノのドキュメンタリーのようで、一気に読める素晴らしい出来栄えでした。

著者があとがきで述べているように、テーマは非常にシンプルな2点です。
ひとつは幻の大作「虎・虎・虎」で描きたかったのは何か?
ふたつめは、その試みは何故「解任」という無残な挫折に終わったのか?
ということを著者自身が答えを求めて彷徨った、まさに真摯な記録です。
もちろん著者も言っておられるように、著者自身はこの回答を書いてはいません。
あくまでも読者それぞれにその回答を委ねています。

映画ファン、あるいは黒澤明ファンならば絶対必読の一冊です。

そして、この対立の構図は図らずとも映画のテーマ「真珠湾攻撃」とは何であったのか?という対立のシルエットでもあり、黒沢監督自身が導きだした言葉にも表れています。

「この作品は勝利の記録でもなければ、敗北の記録でもない。一口で言えば、日米両国の誤解の記録であり、優秀な能力とエネルギーの浪費の記録です。つまり典型的な悲劇の要素を根底にした作品と言える・・・」(本文より抜粋記載)
製作発表で黒澤監督が語った言葉です。
そして最後まで監督がこだわり続けた「これ(この映画)はトラジティ(悲劇)だ」という言葉が、この映画制作自体と重なり合ってひどく心に引っかかります。

映画産業の構造、システムの違い、言葉の障害、あらゆるものがこの映画制作にネガティブな要因としてのしかかってくる姿は、まさに第二次大戦に突入せざるを得なかった日本帝国、牽いては真珠湾攻撃の総責任者山本五十六と黒澤監督がダブってきて、その異様さも十分に伝わってきます。






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最終更新日  2006年09月25日 09時07分22秒
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