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2007年06月23日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
最近チョイ忙しくしている道楽親爺、このブログもこのところ1日おきになってきてしまいましたが、たまには真面目なことも書いてみたくなったので、今日はちょっと哲学的なお話をしたいと思います。
ってか、ある「本」のご紹介とウケウリなんですけど(手ぇ抜くなぁッ!)、たぶん道楽者の皆様には気に入ってもらえる内容だと思います。

玉村豊男『花摘む人 ヴィラデスト・ワイナリーができるまで』新潮社1,200円(税別)

ご存知のように私は高校卒業と同時に人生を投げてしまった男ですが(笑)、立派な社会人(笑)になるまでの間、結構いい加減な幻想に惑わされていました。
なんせ私は元々出来の悪い「不良分子」なもんで、ようやく最近になってこの幻想に気が付いたんですね。そんなきっかけになったのがこの本です。

私はかれこれ30年近く、それなりに社会に出てお仕事をしてきたわけですが、かつて創業やビジネスが「簡単に」「急速で」「成功した」事例を見たことがありません。
最近あちこちでもてはやされている「スピード成功」みたいな「神話」を聞くたびに、「良いなぁ」「うらやましいなぁ」「ちきしょう、うめぇことやりやがって(笑)」とか思うんですが、よおく考えてみると、自分の周りにはそんな事例はまずありません。

ってか、たかだか50年程度の自分の人生なんですけど、振り返ってみても、自分の周りにはそんなスピード立身出世物語なんてありませんでした。
たぶん、フツーの人たちも似たようなもんだと思います。
かろうじて、「バブル」時代に、あっという間に大金掴んで、あっという間に消えていった(笑)という人物何人かには会いましたが、それは創業者とか事業家なんてものには程遠い存在でしたね。


なんか、この手の話で踊らされる若者がちょっと気になるんです。ただでさえ拝金主義の塊みたいな日本ですから。

そもそも成功って、何なんでしょうか? 黒塗りの車で出勤すること? ファーストクラスで海外旅行に出かけること?
黒塗りに乗って不幸のどん底にいる人もいれば、満員電車に揺られながらでも一杯の幸せを感じている人はいるはずです。

そんな「暑苦しい」拝金日本の中にあって、本当に栄養のある、おいしい有機栽培野菜のような本が、この本なのです。
もちろんタイムラグのある道楽者推薦ですから、新刊ではありません。

●玉村豊男『花摘む人 ヴィラデスト・ワイナリーができるまで』から引用

自然の流れにさからわず、その方向を見極めて、ある瞬間に思い切って流れに身をまかせる、しかも流されながら自分の位置を意志をもって制御していく、というのが、私が人生の選択を迫られたときに取る方法なのである。(p.12)

文章を書き、絵を描き、料理をつくり、農業をやる。どれが趣味でなにが仕事なのか、と問われると私は返答に窮する。・・・中略・・・それは趣味でもない仕事でもない、していえば、生活そのものなのだ。(p.13)

目の前にあらわれた仕事をひとつひとつ片づけていくうちに一日が終り、そうして一年が終っていくのが「生活」であり「人生」であるということをはっきりと教えてくれる農業という価値観に出会い、自分がこれまでやってきたことのすべてがこの農園での生活に収斂していく、不思議に安らかな感覚を抱くようになったのである。(p.14)

もっとも現実的な選択肢だけが「与えられた条件」なのではない。そこにみずから一石を投じて波紋を起し、その波に揺られる中で自分の向っていく新しい方向を探してみたら・・・。 (p.18)

もしうまく行くようなら、というのは、企画は仕掛けてみるが、無理をせず、多くの人に声をかけているうちに、自然にその方向に向って流れができるなら、という意味である。運があれば、天が道筋をつけてくれるはずだ。(p.19)

そのかわり、案ずるより産むが易くトントンとものごとが運ぶようであれば、もっとも難しいバリアもその勢いで乗り越えることができるに違いない・・・(p.20)


たまたま見つけたサイトの、この本の書評が素晴らしかったので、こちらもコピー掲載しておきますね。(こらー、手ぇ抜くなぁ~!)
ちなみに評は阪本啓一さんです。

●現実は予想できない

ぼくも起業した体験があるのでわかるが、ものごとがうまくいくときは、トントンといく。しかし、現実は複雑で、簡単には単純化できない。レゴブロックで何かを作るとして、青を3つ、黄を4つ、緑9つ、赤3つで設計したとする。レゴならそのまま組み立てれば完成するが、現実は思いもよらないところで思いもよらない人が出てきたり、用意しておいたはずの青がどこかに行ってしまって使えなかったり、「プランのその先」が、必ずある。このときこそが起業の楽しみであり、醍醐味なのだが、現実の波に翻弄されているときにはそうは思えないのが人情である。そして玉村さんも、予想できない出来事に次々と翻弄されていく。

●不思議なシンクロニシティ

玉村さんは資金3億円を必要とする。これは生涯初めてのことという。そこで宝くじなど買ってしまう。たまたまその夜テレビで、長者番付の常連の人のコメントがあって、「落ちている一円を通りすぎるようではお金はたまらない。一円を大切にする人にお金は集まる」というのを玉村さんは聞く。
するとその翌日、東京駅で落ちている一円玉を発見してしまうのである。
このようなシンクロニシティは、「きっとこのあとてんこもりのイベントがある」という予感をさせるのだが、現実の玉村さんにも、てんこもりのイベントがふりかかる。

さて、このあと玉村さんがどうやって巨額の資金を集め、ややこしい役所の許認可を得、鍵となるシェフを見つけるか。山あり谷ありの大冒険である。

あとは読んでのお楽しみとしましょう。

●「成功」とは何か。

何をもって「成功」とするのかという、成功の定義だ。

お金だろうか。ではそのお金を何に使うのか。お金は稼ぐより、使うほうが難しい。自分の生活品質(QOL)の理想の状態とはどういうものか。まずはそこの定義から始めよう。

最後に、玉村さんが好きで、本の中にも掲載しているラテン語の諺を引用して、しめくくろう。Nさん、いい本を、ありがとうございます。

勤勉なる農夫は、みずからがその果実を見ることのない樹を植える。 (p.37)

ということで、今日の道楽親爺は、ひがみでもなく、負け惜しみでもなく、素直な気持ちで皆様に「成功の定義」をお伝えしたかっただけです。
特に私のようなディスコ野郎出身者(笑)には、「趣味でもない、仕事でもない、それが生活」という言葉にかなり触発されました。
昨年あたりから私が抱き続けている「塊」がこれだったのです。
私は間違っていなかった。そう思えたひとときでした。





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最終更新日  2007年06月23日 12時03分07秒
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