祝祭男の恋人

祝祭男の恋人

Jul 28, 2005
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カテゴリ: 小説をめぐる冒険


 ついに『開高健記念館』へ行ってきた。
 その直後にブログに書こうと思ったのだけれど、
 何となく言葉が舌の上で続いてくれず、というか、
 ヒシヒシと感動の余韻が持続していたから、
 それだけで充分に満足していたのであった。

 いや、というよりも、
 先日、折田裕さんのブログにもあったけれど、
 ブログを日々更新するという僅かな奮起さえ


 けれども頭の片隅にそのことはちらついていて、
 やっとのことで、今日は書く。

 『夏の闇』、冒頭部の直筆原稿を見た。
 あの小説がこのようにして、原稿用紙のマス目を埋めていったのだ、
 ということに、震える気がした。嬉しいような、もどかしいような、
 すうっと背筋を抜けていく感動だった。


 開高氏の書く文字は、礼儀正しさと、可愛さを備えている。
 フワッと肉感的なところが見えるのに、
 鋭くはないがキリッと冴えたものが、すぐに控えている。


 その日はギリギリのところで雨を持ち堪えたような
 水気の多い気候だった。
 しっとりとしたその空気が、
 主をなくした邸宅にはとても似つかわしく感じられた。
 そして、これはとても大事なことだと思うけれど、

 ぐっと身近に引き寄せたような気がした。
 でも、帰路について、自分の部屋で改めて彼の小説を
 読み始めると、薄暗い書斎の前で感じた親密さは
 するするとほどけて、もっとずっと、その言葉の先へ、
 よじ登っていくしかないのだと感じた。






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Last updated  Jul 28, 2005 10:36:45 PM
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