宇宙探検を通して描かれる未曾有の群像劇
コンタクト
CONTACT
アメリカ(1997年)150分
■ 監督 ロバート・ゼメキス
■ 出演者 ジョディ・フォスター / マシュー・マコノヒー / ジョン・ハート
/ ジェームズ・ウッズ / トム・スケリット
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- Intro -
捨てる神あれば拾う神ありで、
前回紹介した 仕事を干された M・ギブソン
でしたが
それを起用して監督したのが本作の主役を演じている
ジョディ・フォスター
でした。
さてその役柄というのは・・・
仕事に失敗したトラウマから鬱病にかかり
コミニュケーションを取れなくなった男が、
ぬいぐるみを利用して徐々に克服してゆくというシリアス・コメディ
だそうで・・・
これは「打ちのめされた男の傷跡に塩を塗る」かの様な行為か
或いは「ライオンを千尋の谷から引きずり下ろして北極のトドにする」
かの様な行為で
このジョディ・フォスター 救いの女神と思いきや
鬼
か 度S
かもしれないという
お話でした・・・w
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さて、R・ゼメキス監督の隠れた名作で、
ブログ主の 好きな映画ベスト10
の中に挙げられる本作をご紹介します☆
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-STORY-
知的生命体の探査と研究を続けていたエリー(J・フォスター)は
天文学の権威ドラムリン(T・スケリット)の独断によって研究を打ち切られてしまう。
数年後、新たな資金を得て始めた電波望遠鏡による天体探査も
懐疑的な保守派研究者達の干渉を受け中止を余儀なくされる。
失意のエリー達ではあったが突然明らかな外宇宙からの発信を受信して・・・
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-解説-
難解なプロットと宗教的とも取れる数々の言及から
作品の主旨は誤解されがちですが
本作は 宇宙探検物でも
宗教物でも無く
宇宙探検を通して様々な思惑を持った人間達が複雑にからみ合う
群像劇
を描いた作品で
人は個々では力も無く群衆の前に押しつぶされ
宇宙に比べれば塵にも満たない存在だが
だからこそかけがえの無い存在なのだ と訴える
未曾有の人間ドラマ
です
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの
ロバート・ゼメキス監督作ですが
バラエティーな娯楽SF映画だと思って鑑賞すると肩透かしを食わされる
社会派という側面を持ったヒューマニズムを描いた作品でもあります
■
主人公エリーを取り巻く様々な人物達は、共通の目的の元一堂に会しますが
その多くは 個々に思惑を抱き、
互いの結びつきを 損得勘定
で計る様な
極めて欧米的性質の権力志向の強い人物達 として描かれているのが
興味深く
果たして人間とは宇宙の中では孤独な存在なのか
と説く以前に
結束が無い
と 作品は言い放ちます
劇中エリーは 当初誰も見向きもしなかった研究で孤立を余儀なくされますが
ひとたび 前人未到の功績を上げた途端
打って変わった様に 降って湧いた寄ってたかる人物達によって
巧妙に功績も仕事も奪われて 第一線を追われます
巨大企業の人事にありがちなこの描写は、
米国でも社会問題化した「階層社会」を生々しく描いたものと言えます
■
一方エリーの功績を次々と我が物にし その度強大な権力を手にして来た
人を踏み台にしてのし上がる権力の権化
の様に描かれた
ドラムリン博士
(T・スケリット) は
マシン起動テストの前のエリーとの印象的な会話の中で
平等を信じる真っ直ぐな人物だった若かりし頃があり
人が変わってしまう程の大きな何かがあった過去を
思わせる発言をしている事から
一件、
典型的なステレオタイプなキャラクター劇の様にも見える作りの中で
登場人物たち一人一人ひとりの背景まで考慮した
例え悪人であっても薄っぺらではない
非常に深みのある人物描写によって作られている
群像劇を得意とするゼメキスならではの
緻密な構成力が光る脚色の力を感じさせるものがありました。
■
天才であるが故に常人には理解され無い 孤独
を感じ続けて来たエリーは
孤独の象徴の様な宇宙に思いを馳せて
そこに自分の 居場所
を作って来た様に描かれますが
映画クライマックスのマシンのシーンで
圧倒的な宇宙の存在の前に塵のような存在の人類を案じ
人と宇宙との 繋がりと絆 を感じた時
宇宙の真髄を感じる様な体験から 人が存在する真意
に気付き
もう孤独ではないと悟りを得ます
一方、 マシュー・マコノヒー
演じる 宗教家 パーマー
は
エリーがマシンに乗って始めて悟った 人が存在する真意
に付いて
宗教的体験から 早い段階で気付いており、
宗教家として大勢の支持を得ながらも
真の意味で誰一人理解できず、恋人とすら分かち合えない
この悟りの境地に対して
エリーとは又違った形で「孤独」を常に感じていた人物でした
その後法廷で訴えるエリーの演説から
自分と同じ悟りの境地に達していた事に気付いて
パーマーも又、自分はもう孤独ではないと知ります
タイトルの 「コンタクト」
とは知的生命体との接触を指す意味と同時に
人間同士
との 絆
を指す意味でもあるのですが
この場面で描かれる本作のテーマとも言える
人と人との真の繋がりとは、
形を越えた互いの理解にあると説く所に
多国籍民族を抱える米国の社会問題にメスを入れながら
社会派作品としてではなくまして宗教的観点からでも無く
あくまでヒューマニズムの点から訴えている所に
本作の意図があったような印象があります
■
J・フォスター演じるエリーが一人グランドキャニオンで過ごすシーンは、
満天の星空の元1人切りで孤独を噛み締める様に佇む中盤に対して、
薄っすら浮かべる笑みから心境の変化が汲み取れるラストで、
人は1人ではあっても孤独では無い
という
映画全体を象徴する真のテーマがこの場面に凝縮された
宇宙的スケールで人間ドラマを描いた本作は
人との繋がりが真に問われる現代にこそ
再評価すべき作品だと思うのでした☆
■
Carl Sagan
(画像引用:wikimedia)
80年代、 「コスモス」
という宇宙バラエティー番組が放送され大いに話題となり、
この番組製作者であり「コンタクト」の作者でもある
今は亡きカール・セーガン博士の伝えたかった
「我々は孤独ではない」
という 誰もが理解できる単純で奥深いメッセージは、
時は流れ、価値観が変わり
100年に一度の経済危機と呼ばれる世の中になろうとも、
いつまでも変わらずに人の心に響き続けるのでしょう。
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