ザビ神父の証言

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2007.11.11
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カテゴリ: 日本経済
バブルを考える(43) 

拓銀倒産の余波

拓銀の倒産は,北海道経済を揺さぶりました。

旭川に近い、上川管内の美深町に本社を置き、「テンモク」さんの名で町民に愛されていた、道内屈指の木材業、天塩川木材工業は、メーンバンクだった拓銀の支えを失い、連鎖倒産に追いこまれました。拓銀倒産から僅か11日後の、28日のことでした。旭川地裁に自己破産を申請し、自らケジメをつけたのでした。

木材業は、安価な輸入木材に押され、どこも青息吐息で営業を続けていただけに、頼りのメーンバンクが倒れたとなると、後が続かなかったのです。同社に続いて、98年3月までの4ヶ月間に、道内で25もの木材業者が立て続けに倒産しました。

同年12月24日には、函館の漁業資材製造の名門、函館製網船具が函館地裁に自己破産を申請、その日のうちに破産宣告を受けました。年の瀬の破産、突然の解雇は、従業員にとって何よりも辛いものです。こんな時期に資金繰りに追い込まれての倒産は、経営者の無能と、企業家としての社会的責任の欠如を明白に物語っていました。「年末の資金繰りがつかない」として、1ヶ月も早く身をたたんだ天塩川木材工業との、経営判断の差は歴然としていました。

芦別市のスーパーかくはた(角幡商店)も、拓銀の破綻で経営環境は一機に厳しくなりました。98年8月末の決済資金が用意できない可能性が出てきたのです。同社は道内最大手のスーパー・ラルズへの身売りを決意します。
「雇用契約の継続を希望する従業員は、全員引きうける。ただし、かくはたの債務は引き継がない」というのが条件でした。

拓銀破産は、北海道経済に縮小均衡の茨の道しか残さなかったのです。経営陣が保身のために、経営不振企業の延命に手を貸し、その挙句に破産した拓銀は、北海道経済に大きな爪あとを残したのでした。企業のとりわけ、大手銀行の社会的責任とは何かを、考えさせられる出来事でした。






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最終更新日  2007.11.12 00:25:11
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