ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2022.03.15
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カテゴリ: 国際政治
ウクライナ問題あれこれ (2)

また数日経ってしまいました。ロシアとウクライナの関係は、歴史的な由来を理解しないで、現在だけ見ていても、不正確な評論しか出来ないことになります。そこで、16世紀に遡って記すことにしますが、選戦局もめまぐるしく動いていますので、織り交ぜて記すことにします。

<戦局> ロシア軍の苦戦が続きますが、戦力の開きは大きいです。注意すべきは経済制裁の効果ですが、ロシアの庶民生活に大きな影響を与えることは事実ですが、1998年に起きたアジア通貨危機の余波で、ロシア国家がデフォルトみ陥った時のような、ロシア国家のデフォルトは期待できません。あの経験に懲りて、ロシアは金準備を積み上げてきました。現在は世界第2位の金準備を誇ります。ロシア経済全体のGDPは、既に韓国にも抜かれており、完全に2等国レヴェルに落ちていますが、軍備大国であることは確保しています。金での支払いも可能ですから、デフォルトはありえないとご理解ください。

<歴史 その1> タタールの軛
さて、ロシアにとって、ドニエプル川とドネツ川の河口を抑えることが、国家の安全に死活的な重要性を持っているのです。

昔映画にもなりましたガ、イヴァン雷帝(イヴァン4世です)の時代、ロシアがモンゴル系のキプチャップ汗国から独立し、モスクワ大公国と名乗っていた時期の話です。この頃クリミア半島やドニエプル、ドネツ両大河の河口は、タタール系のイスラム教徒が支配しておりました。操船技術に優れる彼らは、船で両大河を遡り、流域を荒らしまわるのが常でした。

防備の甘いモスクワ大公国領も何度も被害に遭ったのですが、一度など首都のモスクワまで占領され、略奪された上に火をかけられて、首都が全滅する被害に遭っているのです。イヴァン雷帝は、この屈辱を忘れず、何時か両大河の河口まで、ロシアの領土を拡げる。阻止なければ本当の意味でのロシアの安全は確保できないと決心したのです。これはイギリスに対抗するために、西へ西へとフロンティアの開拓を進めたアメリカ合衆国の拡大政策と良く似ています。

この悲願が実現するのは、ロシアの大国化を大きく進めた18世紀初頭のピョートル大帝と同じく18世紀の末に活躍したエカチェリーナ2世です。エカチェリーナの時代にクリミア半島支配は現実のものとなり、ロシアの黒海艦隊も創設されたのです。

以来クリミア半島は、ずっとロシア領としてロシアが支配してきました。社会主義革命が成就し、ソヴィエトが権力を握ってもこの構図は変わらなかったのです。
                                  続く





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最終更新日  2022.03.15 21:25:01
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